ヘルマン・ティルケ
人物データ
名前 | ヘルマン・ティルケ / Hermann Tilke |
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国籍 | ドイツ |
出身地 | オルペ |
生年月日 | 1954年12月31日 / 69歳 |
WEBサイト | tilke.de |
SNS |
ヘルマン・ティルケとは、ドイツ人の建築家でありF1サーキットのデザイナーとして知られている人物。サーキットデザイナーとして著名であるが、実はサーキット専門というわけではなく、本業は建築家である。1980年代には、ツーリングカーなどのレーシングドライバーをしていた元ドライバーデザイナーである。
1983年にティルケ・エンジニア&アーキテクツ社(Tilke Engineers & Architects)を設立。グランドスタンド、ピットビルディング、チームビルディング、その他のインフラ施設を含むレーストラックやテストコースを始めとして、ホテル、管理棟、住宅プロジェクト、モール、およびスポーツおよびレジャー施設の設計を手掛けてきた。
2015年には息子カーステン・ティルケがプロジェクト・マネージャーとして入社。2017年にマネージング・ディレクターに就任した。現役のGTドライバーで、2009年のドバイ24時間レースで総合優勝を飾った事もある。
ティルケが設計したF1サーキット
1998年以来、ティルケはマレーシアのセパン、アブダビのヤス・マリーナ、米国のCOTAをはじめとする計12カ所のF1サーキットの設計を手掛けてきた(2020年8月現在)。また、メキシコのエルマノス・ロドリゲスやフランスのポール・リカールといったオールド・サーキットの改修や再設計も手掛けている。
新設
- 1998年 セパン・インターナショナル・サーキット
- 2004年 バーレーン・インターナショナル・サーキット
- 2004年 上海インターナショナル・サーキット
- 2005年 イスタンブール・パーク・サーキット
- 2005年 韓国インターナショナルサーキット
- 2008年 ヤス・マリーナ・サーキット
- 2011年 ブッダ・インターナショナル・サーキット
- 2012年 サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)
- 2014年 ソチ・オートドローム
- 2016年 バクー市街地コース
- 2020年 ハノイ・サーキット
- 進行中 ニューヨークF1トラック
- 進行中 ジェッダ市街地コース
シンガポールGPの舞台、マリーナベイ市街地コースはヘルマン・ティルケのオリジナルプランを元に米国のKBRがデザインしたもので、公式にはヘルマン・ティルケの設計作品ではない。
改修・リデザイン
- 2002年 ポール・リカール・サーキット
- 2002年 ホッケンハイムリンク
- 2002年 カタロニア・サーキット
- 2010年 ニュルブルクリンク(グランプリコース)
- 2011年 レッドブル・リンク
- 2005年 富士スピードウェイ
- 2015年 エルマノス・ロドリゲス・サーキット
F1以外
- 2007年 ブカレスト・リンク(ルーマニア)
- 2009年 モーターランド・アラゴン(米国)
- 2011年 ルードスコーゲン・モートルセンテル(ノルウェイ)
- 2012年 モスクワ・レースウェイ(ロシア)
- 2013年 アトランタ・モータースポーツパーク(米国)
- 2014年 チャン国際サーキット(タイ)
- 2015年 メルセデス・ベンツ・アリーナ(ドイツ)
- 2016年 ムーレイ・エル・ハッサン・サーキット(モロッコ)
- 2018年 V1オート・ワールド(中国)
- 2018年 クウェート・モータークラウン(クウェート)
F1以外のサーキットを含めると全世界で計80以上のサーキットの設計に関与してきた。2022年末開業予定の会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB(千葉県南房総市)」は、ティルケ・エンジニア&アーキテクツがゼロからデザインするコースとしては日本初となる。
ティルケデザインの特徴
ティルケデザインに関しては賛否両論で、批判の声も根強い。6.823kmから4.574kmへと短縮されたホッケンハイムリンクの改修では、深い森を時速350kmオーバーで駆け抜ける名物セクションが消滅。非難が相次いだ。彼らしさを感じるデザインコンセプトを数点あげてみよう。
- トリッキーなコーナー⇒ロングストレート⇒ヘアピンコーナーの組み合わせ
- 安全重視の設計(ランオフエリアが広い)
サイト・スペシフィック(国柄などを反映)
上海ではコースレイアウト自体が漢字の「上」を表しており、施設のデザインにユリの葉の形を盛り込んでいる。セパンでは、グランドスタンドの屋根を「バナナの葉」をイメージした造形にし、スタンドは「ハイビスカスの花」をイメージした屋根をデザイン。富士スピードウェイでは「折鶴」や「神社仏閣の屋根」等のモチーフを随所に組み込んだ。
そもそもクライアントワークとしてのデザインは安全性や予算、使用可能な土地の形状などの様々な制約事項や、クライアントからの要求と口出しがあるのが常で、全ての責任をデザイナーに負わせるのは不適当だ。