カタロニア・サーキット
サーキット名 | カタロニア・サーキット |
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所在国 | スペイン |
住所 | Camino Mas Moreneta, 08160 Montmeló, Barcelona, Spain |
設立年 | 1991年 |
全長 / コーナー数 | 4,657m / 14 |
最大高低差 | 30m |
周回数 | 66 |
ピット長 / 損失時間 | 367m / 17秒 |
ターン1までの距離*1 | 565m |
平均速度 | 192.9km/h |
最高速度 | 315km/h |
エンジン負荷と全開率*2 | 62% |
ブレーキ負荷と使用率 | 16.4% |
燃料消費レベルと量 | 1.59kg/周 |
フューエル・エフェクト | 0.36秒/10kg |
タイヤ負荷レベル | |
ダウンフォースレベル | |
変速回数 | 40回/周 |
SC導入率 | 60% |
WEBサイト | www.circuitcat.com |
SNS | twitter facebook instagram |
*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離 *2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出
カタロニア・サーキットとは、スペイン・カタルーニャ州の州都バルセロナから北部に25kmのムンマローにあるF1スペインGPが開催されるサーキットのこと。正式名称はシルクイート・デ・バルセロナ・カタルーニャ(西:Circuit de Barcelona-Catalunya)。
ウインターテストやインシーズンテストの開催地でもあるため、F1関係者にとっては馴染み深いコース。各チームとも豊富なデータを所持している。シーズン中にどれだけ車体開発が進んだのかを見極めるのに最適なグランプリとなる。
カタロニア・サーキットは1992年のバルセロナ夏季オリンピックでの自転車競技開催に先立ち1991年に開業。同じ年にヘレスに代わってF1スペインGPの舞台を務め、以降毎シーズンに渡ってグランプリレースを開催してきた。現時点では少なくとも2026年までの開催が決まっている。
例年ヨーロッパラウンドの始まりの地であり、全チームが大規模なマシンアップデートを行うことでも知られる。これは、F1チームの大部分がヨーロッパに本拠地を置いているため、サーキットがチームのファクトリーに近いことによる。
creativeCommonsCaterhamF1
1994年と1997年及び、2008年から2012年までは同じスペインのバレンシア市街地コースでグランプリが併催された。F1では「1国1GP開催」が原則であるため、本来であれば1シーズン中に一つの国で2回のグランプリが開催される事は許されないが、バレンシアでのグランプリ名称を「ヨーロッパGP」とすることで対処した。
コースレイアウト
「このコースで速いマシンはどのサーキットでも速い」と言われるほど、マシンの総合力が試されるテクニカルなサーキットで、実際、プレシーズンテストの常連でもある。
高速・中速・低速とコーナーの種類と速度域がバラエティに富んでおり、なおかつロングストレートと高低差(30m)も備える。
2007年以降、16コーナー、全長4675mのレイアウトが採用されてきたが、2023年大会に先立ち最終セクションのシケイン(旧ターン14、15)が撤去され、2006年以前のレイアウトに戻された。
高速のセクター1と2、特にターン3・9の高速コーナーではエアログリップが重要で、チームはミディアム・ハイダウンフォース仕様のパッケージを持ち込む。ターン3では強烈なGフォースがマシンとドライバーを襲う。時速285km/hにも達する超高速コーナーだ。
ヘビーブレーキングが必要になるのは2回、ブレーキ使用率も16%とブレーキにはやさしいサーキットだ。燃料・エンジンへの負担は低く、マシンのトータルバランスがモノを言う。平均速度も190km/hほど。
低速コーナーのほとんどは左コーナー。対照的に右コーナーのほとんどは高速となるため、左右で微妙にクルマのセットアップを変える。左タイヤの消耗が早く、右タイヤには熱が入りにくい。
高速コーナーが多い事もあり、タイヤとしては最も硬いコンパウンドセットが持ち込まれる。ターン3やターン9等、高速左コーナーが存在するため、左フロントタイヤの摩耗が特に酷い。
改修と変更
2018年には路面が再舗装され、それ以前に見られた凹凸やタイヤへの攻撃性が変化した。
2021年に向けては、F1を統括する国際自動車連盟(FIA)並びにMotoGPを管轄する国際モーターサイクリズム連盟(FIM)との合意に基づき、バックストレート終端のターン10、スタジアムセクション入口にある通称ラ・カイシャの改修工事が行われ、全長が4,655から4,675mへと20m長くなった。
変更されてなお、F1マシンはこのコーナーを以前と同じく3速で駆け抜けたが、通過速度は85km/hから110km/h程度にまで上昇した。
2023年に向けては、2007年に最終コーナー手前に導入されたシケイン(ターン14/15)が撤去され、以前のオリジナルレイアウトに戻された。
これに伴い、安全性強化のためにラップ最後の2つの高速コーナーにTECPROバリアが導入され、公式コース全長は従来より18m短い4.657kmへと変化した。
また、ターン1のランオフエリアは拡大され、ターン1・2には新しいフェンスが設置。ピットレーン出口のスコアボードも「より近代的な」ものに改装され、縁石やタイヤバリアの再塗装と交換も行われた。更に、メインストレートに沿うピットビルのホスピタリティとコーポレートエリアも拡大・近代化された。
ドライバーを翻弄する風
海岸に近いという立地が原因の不安定な風向きが、マシンパフォーマンスに大きく影響する。そのため、下手にセッティングを詰め過ぎると、僅かなコンディションの変化に翻弄される事になる。
例えば、初日午後のFP2で突き詰めたセッティングを行ったとする。そのセッティングがバシッとハマり、FP2では最高のマシンバランスだったとしても、翌日の午前のFP3では最悪のマシンバランスに感じられる、ということが往々にしてある。
無線にむなしく響く「昨日までは最高だったのに、どういうわけか今は全くグリップがない。。」のようなドライバーのコメントが、このカタロニア・サーキットではよく聞かれる。
©F1 ホームストレート
オーバーテイクとリタイヤ統計
唯一のロングストレートであるホームストレートに先立って高速コーナーが配されているため、後続車はダーティーエアーの影響で前走車を追従しにくく、ストレート終端も特に激しいブレーキングゾーンというわけではなく、またコース幅も狭いためオーバーテイクは難しい。
年 | オーバーテイク | リタイヤ | ||
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通常 | DRS | 接触 | 機械的問題 | |
2023年 | 7回 | 56回 | 0台 | 0台 |
2022年 | 6回 | 37回 | 0台 | 2台 |
2021年 | 11回 | 37回 | 0台 | 1台 |
2020年 | 6回 | 25回 | 0台 | 1台 |
2019年 | 7回 | 15回 | 2台 | 1台 |
2018年 | 3回 | 10回 | 3台 | 3台 |
2017年 | 4回 | 16回 | 3台 | 1台 |
2016年 | 24回 | 38回 | 2台 | 3台 |
2015年 | 10回 | 12回 | 1台 | 1台 |
2015年 | 10回 | 12回 | 1台 | 1台 |
ウェットコンディションで行われた1991年の開幕戦では61回、2011年には60回、2013年には50回の追い越しが記録されるなど、一時は華やかなレースもあったが、基本的に追い抜きは困難だ。ちなみに2005年と2008年は僅か2回で、2000年と2002年も3回に留まっている。
カタロニア・サーキットで行われた過去31回のグランプリの内、ポール・トゥ・ウインは23回と、その確率は74%にも達する(2021年大会終了現在)。だが、ポールからターン1のエイペックスまでの距離は579mとカレンダーで4番目に長く(2021年時点)、上手く蹴り出さないとターン1までに追い抜きを許す事もあり得る。
2013年にフェラーリF138を駆ったフェルナンド・アロンソを除き、優勝は2列目以上に限られている。なお表彰台獲得としては1997年のオリビエ・パニス、2001年のファン・パブロ・モントーヤが12番グリッドから表彰台に上っている。
スペインGPは女性ドライバーが唯一入賞したレース
スペインGPは女性F1ドライバーが初めて、かつ唯一のポイントを獲得した場所でもある。
イタリア出身のレラ・ロンバルディはモンジュイック・サーキットで開催された1975年4月27日のF1スペインGPでマーチのステアリングを握り6位入賞を果たした。
29周目に首位を走行していたロルフ・シュトメレンがクラッシュし、ジャーナリスト2名、観客1名、コースマーシャル1名が死亡してレース打ち切りとなった事で、ハーフポイントの0.5点が与えられた。
コースレコード
タイム | ドライバー | チーム | 年 | |
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4.655km(2007~2020年) | ||||
ラップレコード | 1:18.183 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 2020年 |
コースレコード | 1:15.406 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 2019年 |
4.727km(2021年~) | ||||
ラップレコード | 1:18.149 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダ | 2021年 |
コースレコード | 1:16.741 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 2021年 |
4.657km(2023年~) | ||||
ラップレコード | 1:22.272 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 2023年 |
コースレコード | 1:16:330 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 2023年 |
F1スペインGP歴代ウィナーとポールシッター
開催年 | ドライバー | チーム | タイム | |
---|---|---|---|---|
2023 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 1:27:57.940 |
ポール | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 1:12.272 | |
2022 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・RBPT | 1:37:20.475 |
ポール | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 1:18.750 | |
2021 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダ | 1:33:07.680 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:16.741 | |
2020 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:31:45.279 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:15.584 | |
2019 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:35:50.443 |
ポール | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 1:15.406 | |
2018 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:35:29.972 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:16.173 | |
2017 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:35:56.497 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:19.149 | |
2016 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・タグホイヤー | 1:41:40.017 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:22.000 | |
2015 | 優勝 | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | 1:41:12.555 |
ポール | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | 1:24.681 | |
2014 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:41:05.155 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:25.232 | |
2013 | 優勝 | フェルナンド・アロンソ | フェラーリ | 1:39:16.596 |
ポール | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | 1:20.718 | |
2012 | 優勝 | パストール・マルドナド | ウィリアムズ・ルノー | 1:39:09.145 |
ポール | パストール・マルドナド | ウィリアムズ・ルノー | 1:22.285 | |
2011 | 優勝 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 1:39:03.301 |
ポール | マーク・ウェバー | レッドブル・ルノー | 1:20.981 | |
2010 | 優勝 | マーク・ウェバー | レッドブル・ルノー | 1:35:44.101 |
ポール | マーク・ウェバー | レッドブル・ルノー | 1:19.995 | |
2009 | 優勝 | ジェンソン・バトン | ブラウン・メルセデス | 1:37:19.202 |
ポール | ジェンソン・バトン | ブラウン・メルセデス | 1:20.527 | |
2008 | 優勝 | キミ・ライコネン | フェラーリ | 1:38:19.051 |
ポール | キミ・ライコネン | フェラーリ | 1:21.813 | |
2007 | 優勝 | フェリペ・マッサ | フェラーリ | 1:31:36.230 |
ポール | フェリペ・マッサ | フェラーリ | 1:21.421 | |
2006 | 優勝 | フェルナンド・アロンソ | ルノー | 1:26:21.759 |
ポール | フェルナンド・アロンソ | ルノー | 1:14.648 | |
2005 | 優勝 | キミ・ライコネン | マクラーレン・メルセデス | 1:27:16.830 |
ポール | キミ・ライコネン | マクラーレン・メルセデス | 2:31.421 | |
2004 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:27:32.841 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:15.022 | |
2003 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:33:46.933 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:17.762 | |
2002 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:30:29.981 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:16.364 | |
2001 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:31:03.305 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:18.201 | |
2000 | 優勝 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 1:33:55.390 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:18.201 | |
1999 | 優勝 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 1:34:13.665 |
ポール | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 1:22.088 | |
1998 | 優勝 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 1:33:37.621 |
ポール | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 1:20.262 | |
1997 | 優勝 | ジャック・ヴィルヌーヴ | ウィリアムズ・ルノー | 1:30:35.896 |
ポール | ジャック・ヴィルヌーヴ | ウィリアムズ・ルノー | 1:16.525 | |
1996 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:59:49.307 |
ポール | デーモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 1:20.650 | |
1995 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・ルノー | 1:34:20.507 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・ルノー | 1:21.452 | |
1994 | 優勝 | デーモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 1:36:14.374 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・フォード | 1:21.908 | |
1993 | 優勝 | アラン・プロスト | ウィリアムズ・ルノー | 1:32:27.685 |
ポール | アラン・プロスト | ウィリアムズ・ルノー | 1:17.809 | |
1992 | 優勝 | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ・ルノー | 1:56:10.674 |
ポール | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ・ルノー | 1:20.190 | |
1991 | 優勝 | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ・ルノー | 1:38:41.541 |
ポール | ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1:18.751 |
サーキットの場所と航空写真
余談だが、サーキットの形が「ゴリラが両腕を上に上げて”ウホッ”と吠えている」ように見えることから、我々は「ゴリラ・サーキット」と呼んでいる。