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ハンガロリンク

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サーキットデータ

名前 ハンガロリンク
所在国 ハンガリー
設立年 1986年
デザイン ヘルマン・ティルケ
コース全長 4,381m | 16コーナー
周回数 70周 | 時計回り
ピットレーン長 365.2m| 21.338秒
最初の制動地点までの距離 387.84m
平均速度 189.134km/h
最高速度 319.2km/h
エンジン負荷レベル
全長に対する割合
| 全開率 : 56%
ブレーキ負荷レベル | 使用率 : 16%
燃料消費量 | 1.50kg/周
フューエル・エフェクト | 0.39秒/10kg
タイヤ負荷レベル
エアロ重要度
セーフティーカー出動率 40%
ウェット確率 12%
最大高低差 35m
収容人数 120,000人

ハンガロリンク(Hungaroring)とは、ハンガリーの首都ブダペストから約20km北東にあるサーキット。丘陵地(標高264m)に建設されたため、比較的高低差が大きく、サーキット中心部標高が最も低い”お椀状”のフォルムを持つ。そのため、どこに陣取ってもコースの約80%近くを見渡すことが出来る観戦にもってこいのサーキットとしても知られる。

ハンガロリンクの最終コーナー
© FOTO STUDIO COLOMBO PER PIRELLI MEDIA / ハンガロリンクの最終コーナー

例年、シーズン中のテストコースとして用いられる他、シーズン前半の最後のグランプリとなるため、チームやドライバーにとっては夏休みの始まりを予感させるシグナルとなっている。オーストリアGPの舞台、レッドブル・リンクとの距離が近く、東に約350kmの位置にある。

コースレイアウト

一周が僅か4.381kmしかなく、ストレートと呼べる直線区間は908mのホームストレートのわずか1本。例年7月の終わりに開催されるため気温が高く、路面温度は度々50℃を超える。そのためドライバーへの肉体的要求は厳しく、マシンの冷却性能が重要なファクターの一つであり、ブレーキやエンジントラブルに注意が必要となる。

ハンガロリンクのコースレイアウト図、2018年版

特徴

エンジンパワーよりも車体性能

直線区間が1箇所のみ、かつ低速コーナーが主体であるため全開率が低くエンジン性能差が露呈しにくい。ハンガロリンクよりも全開率が低いのはシンガポールとモナコのみ。そのためパワーに劣るルノーやホンダパワーユニット勢にとっては大きなチャンスとなる。チームは最大ダウンフォースレベルのパッケージで週末に臨む。

最高速度は時速318kmに過ぎず、F1カレンダーの中で最もトップスピードが低いコースの1つ。F1マシンがハンガロリンクを1周する間、ストレートを走行するのは10秒程度に過ぎず、残りの65秒程度はコーナリングに費やされる。

平均速度も197km/hと低い。1周の距離も短いため、パワーユニットの電気エネルギー使用方法に様々な選択肢があり、バッテリーへの負荷が高くなる傾向にある。1周あたりの燃料消費量は1.5kgと、燃費は問題とならないが、ブレーキングポイントが少ないためエネルギー回生が不足気味となる。

困難なオーバーテイク「壁のないモナコ」

コース幅が狭くストレートが短いため、コース特性的に追い抜きが困難。そのためハンガロリンクは「壁のないモナコ」と形容される。ただし、ブレーキング勝負に持ち込めるようなマシンであれば、1コーナーや2コーナーが有望なオーバーテイクポイントとなる。

ハンガロリンクの1コーナー
© FOTO STUDIO COLOMBO PER PIRELLI MEDIA / 1コーナーに侵入するF1マシン

オーバーテイクの少なさ故にコース上でのアクションが少なく、ファンにとって退屈でつまらないレースとなりがちであるが、ロングストレートがなくタイトなコーナーが連続するため、ドライバーにとっては一瞬たりとも気が抜けない極めてテクニカルなサーキット。1つのコーナーでのミスが次のコーナーに直結するため、些細なエラーが大きな命取りとなる。

ターン1のブレーキングポイントまで距離が387.84mと比較的長く、レーシングライン側の奇数列スタートがアドバンテージを得る。スタート直後のオーバーテイクには要注目だ。

予選順位が重要

オーバーテイクが困難であるため、予選順位とレース戦略が決勝順位に大きく影響する。過去33回の内、実に15回がポール・トゥ・ウインと(2019年末時点)、ポールからの勝率は約45%にも達する。

1周が短くコース全体がうねっているため、トラフィックを如何に上手く処理するかが、グリッドを大きく左右する。優勝候補に数えられるドライバーが渋滞にはまり、真っ当なタイムを出せずに予選を終える事もしばしば。時折大きな番狂わせが起こる。

立地的に天気が比較的不安定で、過去28年の中においては2006年、2011年、そして2014年の3回がウェットレースとなった(2020年6月現在)。

低速故に、クラッシュなどのアクシデントが発生しても大きな事故につながる可能性は低い。

タイムアップの鍵

全開で駆け抜ける4コーナーでのライン取りが重要。如何に縁石に乗れるかが5コーナーでの進入を左右する。セクター2には高速のロングコーナーがあるため、ダウンフォースとマシンの応答性、そしてリズムよく走るドライバーの腕が必要となる。

フロント、リア共にタイヤへの負荷は大きく、コーナー進入時のスタビリティと出口でのトラクションの高さ、そして完璧なライン取りのための高いドライバビリティを持つエンジンとシャシーが要求される。ハンガロリンクではあまり頻繁にレースが開催されないためトラック路面は汚れがち。週末を通してグリップが増しタイムが改善されていく傾向にある。

政治的背景

ハンガリーで初めてグランプリが開催されたのは1930年代。しかし第2次世界大戦や鉄のカーテンの出現により、1960年後半までモーターレーシングが制限された。ハンガロリンクは1986年にオープンしそれ以来ずっとF1カレンダーに掲載されている。当時はまだ冷戦下にあったものの、東欧諸国で初めてのF1開催として大きな注目を集め、政治的にも大きな意味を持つレースになった。

ホンダの思い出の地

第一期マクラーレン・ホンダ時代の1991年第10戦ハンガリーGPでは、直前に死去した本田宗一郎を追悼すべくアイルトン・セナを含めたマクラーレン・ホンダのチーム全員が喪章をつけて会場入り。5戦ぶりに予選でポールポジションを獲得したセナは、1度もラップリーダーを譲る事なく優勝。久々の勝利をホンダ創業者に捧げた。

また、ハンガリーGP史上初めてのウエットレースとなった2006年のグランプリでは、数多くのマシンがクラッシュを喫するなどしてリタイヤする中、ジェンソン・バトンが混乱のレースを制し自身および第3期ホンダ初となる優勝を成し遂げた。

コースレコード

決勝レースで計測される史上最速の”ラップレコード”は、2019年にレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが記録した1分17秒103。一方の”コース・レコード”は、2020年にメルセデスのルイス・ハミルトンが予選Q3でマークした1分13秒447となっている。

ラップレコード
1:17.103(フェルスタッペン/Red Bull、2019年)
コースレコード
1:13.447(ハミルトン/Mercedes、2020年)

サーキットの場所と地図

例年フィンランドのファンが多く訪れ、キミ・ライコネンやバルテリ・ボッタスを応援する旗がスタンドを覆う。