ジル・ビルヌーブ・サーキット
サーキット名 | ジル・ヴィルヌーヴ・サーキット |
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所在国 | カナダ |
住所 | Parc Jean-Drapeau, Montréal, QC H3C 6A1, Canada |
設立年 | 1978年 |
全長 / コーナー数 | 4,361m / 14 |
最大高低差 | 5m |
周回数 | 70 |
ピット長 / 損失時間 | 405m / 18秒 |
ターン1までの距離*1 | 163m |
平均速度 | 200.997km/h |
最高速度 | 342km/h |
エンジン負荷と全開率*2 | 59% |
ブレーキ負荷と使用率 | 16% |
燃料消費レベルと量 | 1.50kg/周 |
フューエル・エフェクト | 0.32秒/10kg |
タイヤ負荷レベル | |
ダウンフォースレベル | |
グリップレベル | |
変速回数 | 50回/周 |
SC導入率 | 60% |
ウェット確率 | 20% |
WEBサイト | www.circuitgillesvilleneuve.ca |
SNS | twitter facebook instagram |
*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離 *2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出
ジル・ビルヌーブ・サーキット(英:Circuit Gilles Villeneuve)とは、カナダはケベック州モントリオールのセント・ローレンス川にある人工島に作られたサーキットの事。F1カナダGPの舞台であり、初開催は1978年と古い。名前の由来はもちろん、地元出身の伝説的F1ドライバーのジル・ヴィルヌーヴだ。
もともとは場所の名を取って「サーキット・イル・ノートルダム」と呼ばれていたが、地元の英雄、ジル・ヴィルヌーヴが1982年に事故死したことを受け名称が変更された。スタートライン上には”Salut Gilles”(やあ、ジル)とペイントされている。
この人工島は1967年のモントリオール万博の際に埋め立て造成されたもので、その後、公園及びサーキット会場として再開発が行われた。
コースレイアウト
ジル・ビルヌーヴ・サーキットは長いストレートと深く切れ込んだコーナーの組み合わせが特徴の典型的なストップ・アンド・ゴー型のサーキットで、速度域が似通ったコーナーで直線区間が繋げられているという点で、F1アゼルバイジャンGPの舞台、バクー市街地コースとの類似性が認められる。
殆どのコーナーが左右、または右左の連続コーナーとして構成されている点はバクーとは異なる。つまりクルマには高い反応性が要求されるという事だ。
トラクションの高さとブレーキング時のスタビリティー、エンジンパワーが勝利の鍵となる。ブレーキへの負荷はアルバート・パークと並ぶ程に厳しい。ただし冷却に費やせる時間が長いため、負荷レベルを思えばブレーキトラブルは少ないとも言える。
最高速を記録するのは13コーナー手前で、F1マシンは8速340km/hほどでここを駆け抜ける。次に速いのはホームストレートエンドで8速320km/h。一方最も低速になるのは10コーナーのヘアピンで2速57km/h、次いで2コーナーの2速75km/hである。
チャンピオンズ・ウォール
名物はターン13・14から構成される最終シケインだ。ここはF1サーキットの中でも最難関の一つとして知られており、下手に縁石に乗ってしまうとアウト側のコンクリートウォールに激突してしまう。
これまでに幾多もの歴代F1王者たちがクラッシュを喫した歴史から、「チャンピオンの壁=Wall of the Champions」と呼ばれ恐れられている。と同時に、ここをお気に入りのコーナーに挙げるドライバーも多い。
1999年のグランプリでは、地元の英雄ジャック・ビルヌーブやミハエル・シューマッハ、デイモン・ヒルらチャンピオン経験者がウォールの餌食に。その後もセバスチャン・ベッテルやジェンソン・バトンらが、チャンピオンズ・ウォールの前にひれ伏した。
特徴
ロスタイムが少ないピットイン
ピットレーンの長さは約404mと、カレンダーの中で長い部類に入るものの、ピットストップによるロスタイムは少ない。それはピットレーンの配置に理由がある。
ドライバーは最終シケインを通る事なく、直接ピットレーンに入ることができる。更にピット出口がターン2の手前に接続されているため、ターン1を通る必要もない。
オーバーテイクが容易
カナダグランプリは、そのトラックレイアウト故にオーバーテイクのチャンスが多く、過去これまでに幾度となく壮大なレースの舞台となってきた。基本的にはストレートとシケインのみで構成されているため、スリップストリームを得て最高速を伸ばす事が可能であり、ビッグブレーキングによって先行車を交わす事が出来る。
最大のパスポイントは最後コーナー手前のターン13。ヘアピン(ターン10)から続く長い直線区間が後続車の空気抵抗を減らし、トップスピードを上乗せする。例えターン13でパス出来なくとも、続くターン1のブレーキキングで交わす事もできる。
年 | オーバーテイク | リタイヤ | ||
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通常 | DRS | 接触 | 機械的問題 | |
2023年 | 5回 | 12回 | 0台 | 2台 |
2022年 | 9回 | 25回 | 1台 | 2台 |
2019年 | 1回 | 27回 | 1台 | 1台 |
路面が非常にスムーズな割には、伝統的にタイヤのデグラデーションは高い。
コースレコード
コース特性こそ異なるが、モントリオールのレコードタイムはモナコGPの舞台、モンテカルロ市街地コースとほぼ同じだ。
タイム | ドライバー | チーム | 年 | |
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ラップレコード | 1:10.240 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 2019年 |
コースレコード | 1:13.078 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 2019年 |
F1史上最長レース
2011年のカナダGPの決勝レースは、4時間4分39秒537に渡るF1史上最も長い時間を記録したグランプリである。雨の降る激闘を制したのは予選7番手のジェンソン・バトンであったが、この時バトンがリードラップを刻んだのは、最終ラップの僅か1周のみであった。
雨のためセーフティーカー先導でスタートした決勝では、序盤にルイス・ハミルトンがチームメイトのバトンに接触しリタイヤ、37周目にはフェルナンド・アロンソがバトンと接触しこれまたリタイヤと、バトンが優勝するなどとは誰もが考えていなかった。バトンは、ハミルトンとのインシデントではドライブスルー・ペナルティを受け、40周目には最後尾に後退していた。
ファイナル・ラップでレースをリードしていたのはセバスチャン・ベッテル。このままベッテルの優勝かと思われたが、終盤に驚異的な追い上げを見せたバトンのプレッシャー故か、1コーナーでまさかのスピン、バトンが劇的な勝利を収めた。
佐藤琢磨がアロンソをオーバーテイク!
小学校の教科書にでてきてもおかしくないレベルだが、日本人であれば2007年のカナダGPは非常に思い出深いシーズンだ。弱小スーパー・アグリの佐藤琢磨が、マクラーレンのフェルナンド・アロンソを追い上げオーバーテイクしたシーンは実に印象的であった。
チームメイトのアンソニー・デビッドソンはウッドチャックに衝突。フロントウイングの交換のために追加のピットストップを強いられ、スーパー・アグリはダブルポイントを逃した。
モントリオールの中洲に作られた人工島には数々の野生動物が生息しており、レース中にしばしばその姿を見せる。マーモットの1種であるウッドチャックはその中でも特に有名だ。
2018年にはフリー走行中にハースのロマン・グロージャンがウッドチャックとぶつかった。ノーズは激しく損傷し、バージボードやフロントウイングにもダメージが及んだ。
サーキットの場所と地図
人工島というよりもむしろ川の中?
F1カナダGP歴代ウィナーとポールシッター
ジル・ビルヌーブ・サーキットで開催されたF1カナダGPの歴代勝者とポールシッター。モスポート・パークとモントランブラン・サーキットでの開催は含まれない。
2024年の予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と1000分の1秒まで同タイムの1分12秒000を刻んだジョージ・ラッセル(メルセデス)がキャリア2度目のポールポジションを獲得した。
F1のラップタイムが小数点第3位まで計測されるようになって以降、ポールポジションタイムが同一となったのは、ヘレス・サーキットで行われた1997年のF1ヨーロッパGPを含めて2回しか存在しない。当時はジャック・ビルヌーブとミハエル・シューマッハ、そしてハインツ=ハラルド・フレンツェンの3名が1分21秒072で並んだ。
開催年 | ドライバー | チーム | タイム | |
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2024 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 1:45:47.927 |
ポール | ジョージ・ラッセル | メルセデス | 1:12.000 | |
2023 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 1:33:58.348 |
ポール | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 1:25.858 | |
2022 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブルRBPT | 1:36:21.757 |
ポール | マックス・フェルスタッペン | レッドブルRBPT | 1:21.299 | |
2021 | コロナ禍で中止 | |||
2020 | コロナ禍で中止 | |||
2019 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:29:07.084 |
ポール | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 1:10.240 | |
2018 | 優勝 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 1:28:31.377 |
ポール | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 1:10.764 | |
2017 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:33:05.154 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:11.459 | |
2016 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:31:05.296 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:12.812 | |
2015 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:31:53.145 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:14.393 | |
2014 | 優勝 | ダニエル・リカルド | レッドブル・ルノー | 1:39:12.830 |
ポール | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | 1:14.874 | |
2013 | 優勝 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 1:32:09.143 |
ポール | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 1:25.425 | |
2012 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:32:29.586 |
ポール | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 1:13.784 | |
2011 | 優勝 | ジェンソン・バトン | マクラーレン・メルセデス | 4:04:39.537 |
ポール | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 1:13.014 | |
2010 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:33:53.456 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:15.105 | |
2008 | 優勝 | ロバート・クビサ | BMWザウバー | 1:36:24.227 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:17.886 | |
2007 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:44:11.292 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:15.707 | |
2006 | 優勝 | フェルナンド・アロンソ | ルノー | 1:34:37.308 |
ポール | フェルナンド・アロンソ | ルノー | 1:14.942 | |
2005 | 優勝 | キミ・ライコネン | マクラーレン・メルセデス | 1:32:09.290 |
ポール | ジェンソン・バトン | BARホンダ | 1:15.217 | |
2004 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:28:24.803 |
ポール | ラルフ・シューマッハ | ウィリアムズBMW | 1:12.275 | |
2003 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:31:13.591 |
ポール | ラルフ・シューマッハ | ウィリアムズBMW | 1:15.529 | |
2002 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:33:36.111 |
ポール | ファン・パブロ・モントーヤ | ウィリアムズBMW | 1:12.836 | |
2001 | 優勝 | ラルフ・シューマッハ | ウィリアムズBMW | 1:34:31.522 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:15.782 | |
2000 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:41:12.313 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:18.439 | |
1999 | 優勝 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 1:41:35.727 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:19.298 | |
1998 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:40:57.335 |
ポール | デイビッド・クルサード | マクラーレン・メルセデス | 1:18.213 | |
1997 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:17:40.646 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:18.095 | |
1996 | 優勝 | デイモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 1:36:03.465 |
ポール | デイモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 1:21.059 | |
1995 | 優勝 | ジャン・アレジ | フェラーリ | 1:44:54.171 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・ルノー | 1:27.661 | |
1994 | 優勝 | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・フォード | 1:44:31.887 |
ポール | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・フォード | 1:26.178 | |
1993 | 優勝 | アラン・プロスト | ウィリアムズ・ルノー | 1:36:41.822 |
ポール | アラン・プロスト | ウィリアムズ・ルノー | 1:18.987 | |
1992 | 優勝 | ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1:37:08.299 |
ポール | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1:19.775 | |
1991 | 優勝 | ネルソン・ピケ | ベネトン・フォード | 1:38:51.490 |
ポール | リカルド・パトレーゼ | ウィリアムズ・ルノー | 1:19.837 | |
1990 | 優勝 | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1:42:56.400 |
ポール | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1:20.399 | |
1989 | 優勝 | ティエリー・ブーツェン | ウィリアムズ・ルノー | 2:01:24.073 |
ポール | アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1:20.973 | |
1988 | 優勝 | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1:39:46.618 |
ポール | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1:21.681 | |
1986 | 優勝 | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ・ホンダ | 1:42:26.415 |
ポール | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ・ホンダ | 1:24.118 | |
1985 | 優勝 | ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1:46:01.813 |
ポール | エリオ・デ・アンジェリス | ロータス・ルノー | 1:24.527 | |
1984 | 優勝 | ネルソン・ピケ | ブラバムBMW | 1:46:23.748 |
ポール | ネルソン・ピケ | ブラバムBMW | 1:25.442 | |
1983 | 優勝 | ルネ・アルヌー | フェラーリ | 1:48:31.838 |
ポール | ルネ・アルヌー | フェラーリ | 1:28.729 | |
1982 | 優勝 | ネルソン・ピケ | ブラバムBMW | 1:46:39.577 |
ポール | ディディエ・ピローニ | フェラーリ | 1:27.509 | |
1981 | 優勝 | ジャック・ラフィット | リジェ・マトラ | 2:01:25.20 |
ポール | ネルソン・ピケ | ブラバム・フォード | 1:29.211 | |
1980 | 優勝 | アラン・ジョーンズ | ウィリアムズ・フォード | 1:46:45.53 |
ポール | ネルソン・ピケ | ブラバム・フォード | 1:27.328 | |
1979 | 優勝 | アラン・ジョーンズ | ウィリアムズ・フォード | 1:29.892 |
ポール | アラン・ジョーンズ | ウィリアムズ・フォード | 1:52:06.892 | |
1978 | 優勝 | ジル・ヴィルヌーヴ | フェラーリ | 1:57:49.19 |
ポール | ジャン=ピエール・ジャリエ | ロータス・フォード | 1:38.015 | |
1978 | 優勝 | ジル・ヴィルヌーヴ | フェラーリ | 1:57:49.19 |
画像
2019年にピットとパドックが大幅に改修された。