サーキットデータ
名前 | モンツァサーキット |
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所在国 | イタリア |
設立年 | 1922年 |
デザイン | Alfredo Rosselli |
全長 | 5,793m | 11コーナー |
周回数 | 53周 | 時計回り |
ピットレーン長 | 417.8m| 23.725秒 |
ターン1までの距離*1 | 450.72m |
平均速度 | 243km/h |
最高速度 | 362.5km/h |
エンジン負荷*2 | | 全開率 : 84% |
ブレーキ負荷 | | 使用率 : 15% |
燃料消費量 | | 1.98kg/周 |
フューエル・エフェクト | | 0.31秒/10kg |
タイヤ負荷 | |
エアロ重要度 | |
セーフティーカー出動率 | 20% |
ウェット確率 | 16% |
収容人数 | 115,000人 |
WEBサイト | www.monzanet.it |
SNS | twitter facebook instagram |
*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離
*2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出
モンツァ・サーキット(伊: Autodromo Nazionale di Monza)は、イタリア北部の都市モンツァにあるF1イタリアGPが行われるサーキット。設立は1922年と古く、ミラノのオートモービル・クラブによって僅か100日で建設され、現存するサーキットとしてはブルックランズ(イギリス)、インディアナポリス(アメリカ)に続いて世界で3番目に長い歴史を持つ。
F1グランプリの開催数はシルバーストーンやスパ・フランコルシャンを上回り、2020年現在で70回を誇る。モンツァは1980年にイモラ・サーキットにその座を譲った以外、1950年の世界選手権化から数えて全てのF1イタリアGPの舞台を務めてきた。
フェラーリはF1イタリアGPにおいて最も多くの成功を収めたチームであり、これまでに19勝を挙げている。マクラーレンは10勝で2位、メルセデスは7勝で3位に続く(2019年現在)。19勝という数字は、単一コースでの史上最多勝利数となっている。
F1カレンダー屈指の超高速サーキット。2018年の予選では、ポールポジションを獲得したキミ・ライコネンが14年ぶりにコースレコードを更新。2004年のファン・パブロ・モントーヤを破った。そのラップタイムは1分19秒119。現行レイアウトは2つのシケインを持つが、その平均速度は驚異の263.587km/hに達している。
モンツァでのグランプリが終了すると次はアジアラウンドがスタートするため、ヨーロッパを舞台にしたグランプリウィークの終わりを告げる場所でもある。各チームの本拠地はイギリスに集中しているため、ヨーロッパラウンドの終了は頻繁なアップデート投入の終了と同義であり、シーズン中のマシン開発における大きな区切りとなる。
creativeCommonsjanebelindasmith
2019年のF1イタリアGP開幕を直前に控えた9月4日、スクーデリア・トロロッソの生誕90周年とイタリアGPの90周年を祝う式典がミラノで行われ、モンツァ・サーキットでのF1イタリアGPが、少なくとも2024年まで継続する事が発表された。
ティフォシが織りなすモンツァの空気
赤き跳馬、フェラーリの聖地であるモンツァの独特な雰囲気を作り出すのは、熱狂的フェラーリファン「ティフォシ」だ。ティフォシは、フェラーリカラーの赤に身を包み、スタンドを赤く染め上げる。レース終了後には大挙してコース内になだれ込み、赤い発煙筒でスクーデリアを讃える。ホームストレートが赤一色に彩られ迎える表彰式は非常にエキサイティングだ。
ティフォシはモンツァを”La Pista Magica(ラ・ピスタ・マジカ)=魔法のトラック”と呼び親しんでいる。
creativeCommonswww.davidbaxendale.com
コースレイアウト
開業当時は5.5kmのロードコースと21度バンクの2つのコーナーを含む4.5kmの高速オーバルを組み合わせた全長10kmものロングコースであったが、超高速故に死亡事故が多発。幾度ものコース改修経て、現在は4本のストレートをコーナーでつないだ5.793kmのシンプルなレイアウトに落ち着いた。
© Alfa Romeo、旧オーバル区間のバンク
F1マシンは最終コーナーのパラボリカ(Parabolica)を190km/hで駆け抜けた後、1.12kmのホームストレートを時速370キロで疾走。ターン1で時速70キロまで急制動する。パラボリカはイタリア語で放物線を意味し、ホッケンハイムやエストリルサーキットにも同じ名を付けられたコーナーが存在する。
DRS区間は、ターン7の170m先からターン8のアスカリ手前までの間(検知箇所はターン7の95m手前)と、フィニッシュラインの115m先からターン1まで区間(検知箇所はターン11の20m手前)の計2箇所。
特徴
エンジンの限界性能が試される超高速サーキット
F1カレンダー最速のサーキット。エンジン全開率は80%、最高速度は370km/hにも達する。2003年に優勝を飾ったミハエル・シューマッハは平均速度247.585km/hを記録。2019年には、キミ・ライコネンが平均263.587km/hのファステストラップを刻んだ。
典型的なストップ・アンド・ゴー・サーキットであり地形も平坦であるため、チームはダウンフォースを極限まで削ったモンツァ仕様のエアロパッケージを持ち込む。
タイムアップの鍵はシケイン。縁石をうまく活用しながら、でできるだけ速度を落とさずに、コーナー出口で確実にトラクションをかけて走り抜く必要がある。ロングストレートとハードブレーキングの繰り返しとなるため、使用率は低いものの、ブレーキへの負荷は非常に大きい。
困難なオーバーテイク
ダウンフォース量が極端に少ないため、その分だけ制動距離が長くなりオーバーテイクのチャンスは増えるものの、その一方でマシンは横滑りしやすくなる。更に、ダウンフォースが不足気味となることでフロントタイヤがロックアップしやすく、高いブレーキング能力が問われる。
ターン1手前へのアプローチではライン取りが重要。ここが最大のオーバーテイクポイントとなるが、他のコースと比べるとオーバーテイクは困難で、予選順位が極めて重要となる。ポールシッターがレースに勝つ確率はモナコ以上。
年 | オーバーテイク | リタイヤ | ||
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通常 | DRS | 接触 | 機械的問題 | |
2015年 | 14回 | 13回 | 2台 | 2台 |
2017年 | 21回 | 16回 | 1台 | 3台 |
2018年 | 15回 | 24回 | 2台 | 2台 |
2019年 | 15回 | 24回 | 0台 | 3台 |
歴史
イタリアグランプリは、F1世界選手権が設立された1950年より一貫してカレンダーにその名を刻んできた。未だに一度もカレンダー落ちしていないのはイタリアとイギリスの2つのグランプリのみ。モンツァはイモラに開催地を譲った1980年を除き、毎年F1イタリアGPの看板を背負ってきた。
姿を消したオーバルコース
荒廃したモンツァのオーバル区間 / © Alfa Romeo Racing
開業当初のレイアウトにはオーバルセクションが存在していたものの、その初年度となった1922年を含めて、F1開催初期に多くの死亡事故が発生。これまでに52人のドライバーと35人の観客が命を落としている。
オーバルセクションが姿を消すキッカケとなったのが1961年のグランプリ。ヴォルフガング・フォン・トリップスが観客席に飛び込み、トリップスを含む15名が死亡する事故が発生したため、1962年以降はロードコースのみが使用される事となった。
今は使われていないものの、バンクや昔のグランドスタンドは現存しており、それがモンツァの独特の雰囲気に一役を買っている。
コースレコード
決勝レースで計測される史上最速の”ラップレコード”は、フェラーリ黄金時代の2004年に、ルーベンス・バリチェロが刻んだ1分21秒046。一方の”コース・レコード”は、2018年にフェラーリのキミ・ライコネンが予選Q3でマークした1分19秒119となっている。
流石お膝元。フェラーリが両レコードを保持している。
タイム | ドライバー | チーム | 年 | |
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ラップレコード | 1:21.046 | ルーベンス・バリチェロ | フェラーリ | 2004年 |
コースレコード | 1:19.119 | キミ・ライコネン | フェラーリ | 2018年 |