
3戦連続ペナポも実は”酌量減軽”―角田裕毅がF1イギリスGPで処分を受けた理由、スチュワード判断の裏側
2025年F1第12戦イギリスGPで角田裕毅(レッドブル)は、オリバー・ベアマン(ハース)と接触したことで10秒ペナルティと1点のペナルティポイントを科された。これにより直近12ヶ月間の累積は5点に達したが、実は酌量減軽がなされていた。
ペナルティポイントの加算はこれで3戦連続となる。角田は第10戦カナダGPにおいて、赤旗提示中にオスカー・ピアストリを追い抜き、10グリッド降格とペナルティポイント2点を、第11戦オーストリアGPではフランコ・コラピントと接触し、10秒ペナルティおよびペナルティポイント2点を科されている。
今回のインシデントが発生したのは22周目、セーフティーカー明け直後のターン6だった。アウト側から”大外刈”を仕掛けたベアマンの左リアと角田の右フロントが接触。ベアマンはスピンを喫し、ランオフエリアを乗り越えグラベルに飛び出した。
このインシデントについて、ヴィタントニオ・リウッツィを含む4名のスチュワードは、当時のレース状況を精査した結果、当該コーナーにおける優先権はベアマンにあると判断。また、角田はオーバーステアに見舞われたことでクルマの挙動がわずかに乱れ、それが接触の一因となったとして、責任は角田にあると結論付けた。
ベアマンに優先権があるとの判断の根拠とされたのは、「ドライビング標準ガイドライン」だ。スチュワードは、ベアマンの前輪が角田の前輪の前に出ていたことは「明らか」であり、また、ベアマンはクルマのコントロールを失うことなく制御していたと指摘した。
一方で注目すべきは、ペナルティポイントが「1点」にとどまったことだ。通常、この手の接触事故で明確な責任があると判断された場合、3点が科されるのが通例だ。
だが今回は、全車がインターミディエイトタイヤを装着していた当時の「トリッキーな路面コンディション」が考慮され、通常よりも軽い処分にとどまった。
この1点により、角田の累積ポイントは5点に達した。12点に到達すると自動的に1戦の出場停止処分が科されるため、今後はこれまで以上に慎重かつ冷静なレース運びが求められる。ちなみに、1回のインシデントで科される可能性がある最大ポイントは「5点」とされている。
なお、この件に関して角田は、レース後に直接ベアマンのもとを訪れ、謝罪している。
2025年F1第12戦イギリスGPでは、ランド・ノリス(マクラーレン)が3番グリッドから優勝。オスカー・ピアストリが2位でフィニッシュし、マクラーレンが1-2フィニッシュを飾った。3位には自身初となる表彰台獲得を果たしたニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)が続いた。
スパ・フランコルシャンを舞台とする次戦ベルギーGPは、7月25日のフリー走行1で幕を開ける。