
苦節239戦ヒュルケンベルグが遂に初表彰台!角田は連続最下位、マクラーレン1-2 / F1イギリスGP 2025《決勝》結果と詳報
2025年FIA-F1世界選手権第12戦イギリスGPの決勝レースが現地7月6日にシルバーストン・サーキットで行われ、ランド・ノリスが僚友オスカー・ピアストリを抑え、母国観衆を前にトップチェッカー。マクラーレンが1-2フィニッシュを飾った。角田裕毅(レッドブル)は2戦連続の最下位に終わった。
3位はニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)。最後列19番手からのスタートであったが、2010年のウィリアムズでのデビューから数えて苦節239戦目、14シーズン目にしてキャリア初の表彰台に上がり、文句なしのDriver of the Dayに選出された。ザウバーとしても2012年日本GPの小林可夢偉以来、実に13年ぶりの快挙となった。
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
2025年F1イギリスGP決勝レースにおけるドライバー別タイヤ戦略表と順位、2025年7月6日シルバーストン・サーキット (1)
5台DNF、フェルスタッペン転落の波乱
レースは波乱の連続だった。インターミディエイトタイヤで開始されるも、その後に豪雨が襲来。最終的にはドライ路面でのフィニッシュとなる難コンディションの中で展開された。セーフティーカー(SC)とバーチャル・セーフティーカー(VSC)がそれぞれ2度ずつ導入され、5台がリタイヤを余儀なくされた。
ポールシッターのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、1回目のSC明けのリスタート直前、当時首位を走っていたピアストリの急減速に反応しきれず、意図せず前に出てしまう場面があった。これを受けてピアストリに10秒ペナルティが科されたことが、ノリスの母国初優勝へとつながった。
フェルスタッペンは、リスタートに向けたその後の加速に向けてスピンを喫し、ポイント圏外11番手にまで転落したが、最終的には5位まで巻き返した。ただペース的には決して優勝を争えるものではなく、低ダウンフォース寄りのセットアップを選択していたことも影響し、ウェット路面においては特に、高速のマゴッツ〜ベケッツ区間でグリップを欠いていた。
遂に途絶えたハミルトンの記録
ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は4位でフィニッシュし、シルバーストンで続いていた表彰台連続記録は12年で途絶えることとなった。チームメイトのシャルル・ルクレールは6番手スタートながらも、スリックタイヤへの交換を強行する序盤の賭けが裏目に出たうえ、2度にわたって大きくコースを外れるミスも重なり、14位と散々な結果に終わった。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は中団最上位となる6位フィニッシュ。ランス・ストロール(アストンマーチン)は10ポジションアップの7位入賞を果たした。アレックス・アルボン(ウィリアムズ)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)が8位・9位に続いた。
角田は2戦連続の最下位
角田は、一時9番手を走行していたものの、オリバー・ベアマン(ハース)との接触により10秒ペナルティを科されて後退。中盤以降は1周あたり1〜3秒も遅れる苦しい展開となり、ただ一人隊列から大きく引き離され、唯一の周回遅れで最下位フィニッシュを喫した。
パフォーマンス不足はウェット・ドライ双方のコンディションで一貫しており、ラップ毎のペースも安定せず、再び深刻なデグラデーションに見舞われた。前戦に続く不可解な失速に、角田自身も首を傾げる週末となった。
ヒュルケンベルグ表彰台の経緯
ドライとウェットが入り混じる混乱のレースで勝負を分けたのは、天候の読みと戦略判断だった。
4番手スタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)は、ルクレールら他の5台と同様に、SC下でのフォーメーションラップを終えると、グリッドに着かずピットイン。スリックに履き替えるという大胆な賭けに出た。だが、この選択は裏目に出る。
14周目には雨脚が一気に強まり、スリック勢は次々とインターへ戻す羽目に。さらにラッセルは中盤、マゴッツ~ベケッツ間で720度のスピンを喫するなど苦戦を強いられ、最終的には10位でのフィニッシュにとどまった。
一方で、冷静な判断でレースを進めたのがヒュルケンベルグだった。フォーメーションラップ後はピットに向かわず、堅実にグリッドに着くことでラッセルら6台を一気に交わし、その後も、ストロールら数台が懸けのスリック交換に動く展開の中でステイアウト。早々に10番手までポジションを上げた。
そして、雨脚が強まる直前の10周目に2セット目のインターに交換し、14周目の豪雨に伴い導入された1回目のSC時にはステイアウト。これによって5番手にまで駆け上がり、フェルスタッペンのスピンで4番手、さらにDRSの使用が許可された直後の35周目にストロールをオーバーテイク。こうして自身初の表彰台を掴み取った。
レーシング・ブルズはWリタイヤ
レーシング・ブルズ勢は、悪夢のダブルリタイアに終わった。リアム・ローソンは1周目のターン5でエステバン・オコン(ハース)と接触し、早々にVSCの導入を招いた。オコンはレースを続行したが、13位フィニッシュにとどまった。
アイザック・ハジャーは、豪雨の襲来に伴う1回目のSC明け直後(14周目)、舞い上がる水しぶきで視界ゼロという状況の中、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)のリアに追突。これにより2度目のSCが導入された。
アントネッリはその後もレースを続けたが、リア周りの損傷は激しく、24周目にクルマをガレージに入れてリタイヤした。
ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)は、1周目に導入されたVSCが解除された直後の4周目、熱の入り切っていないミディアムタイヤを背景に、ターン2でスピン。壁に衝突してマシンにダメージを負い、リタイヤした。これにより再びVSCが導入される展開となった。
フランコ・コラピント(アルピーヌ)に至っては、フォーメーションラップ中にピットインしたまでは良かったが、2速ギアのままスタックしたようで、そのまま走行を再開することができず、1周も消化することなくリタイア。実戦経験を積む機会を失ったという意味で、実に厳しい週末となった。
2025年F1第12戦 イギリスGP 決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | ノリス | マクラーレン | 52 | 1:37:15.735 | 25 |
2 | 81 | ピアストリ | マクラーレン | 52 | +6.812s | 18 |
3 | 27 | ヒュルケンベルグ | ザウバー | 52 | +34.742s | 15 |
4 | 44 | ハミルトン | フェラーリ | 52 | +39.812s | 12 |
5 | 1 | フェルスタッペン | レッドブル | 52 | +56.781s | 10 |
6 | 10 | ガスリー | アルピーヌ | 52 | +59.857s | 8 |
7 | 18 | ストロール | アストンマーチン | 52 | +60.603s | 6 |
8 | 23 | アルボン | ウィリアムズ | 52 | +64.135s | 4 |
9 | 14 | アロンソ | アストンマーチン | 52 | +65.858s | 2 |
10 | 63 | ラッセル | メルセデス | 52 | +70.674s | 1 |
11 | 87 | ベアマン | ハース | 52 | +72.095s | 0 |
12 | 55 | サインツ | ウィリアムズ | 52 | +76.592s | 0 |
13 | 31 | オコン | ハース | 52 | +77.301s | 0 |
14 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 52 | +84.477s | 0 |
15 | 22 | 角田裕毅 | レッドブル | 51 | +1 lap | 0 |
NC | 12 | キミ・アントネッリ | メルセデス | 23 | DNF | 0 |
NC | 6 | ハジャー | レーシングブルズ | 17 | DNF | 0 |
NC | 5 | ボルトレート | ザウバー | 3 | DNF | 0 |
NC | 30 | ローソン | レーシングブルズ | 0 | DNF | 0 |
NC | 43 | コラピント | アルピーヌ | 0 | DNS | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 17℃ |
路面温度 | 26℃ |
周回数 | 52 |
セッション概要
グランプリ名 | F1イギリスGP |
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レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | シルバーストン・サーキット |
---|---|
設立 | 1947年 |
全長 | 5891m |
コーナー数 | 18 |
周回方向 | 時計回り |