
キャリアに暗雲? アルピーヌ、コラピントのクラッシュでテスト終了─2025年仕様パーツにも影響か
アルピーヌはフランコ・コラピントのクラッシュにより、2026年に向けたタイヤ開発テストのプログラムを途中で打ち切らざるを得なくなった。さらに、マシンの損傷によって、2025年仕様マシンの一部パーツを失った可能性もある。
公式タイヤサプライヤーのピレリは、2025年F1第14戦ハンガリーGP終了後の8月5日・6日の2日間にわたって、ハンガロリンクでテストを実施した。アルピーヌのほか、フェラーリ、マクラーレン、レーシング・ブルズの計4チームが参加し、C3〜C5のソフト側コンパウンドを中心にデータ収集が行われた。
初日の火曜日はアルピーヌ、マクラーレン、レーシング・ブルズが走行。続く水曜日には、アルピーヌとフェラーリが参加し、アルピーヌはコラピント、フェラーリはシャルル・ルクレールがステアリングを握った。
だが、その水曜午前、コラピントは高速のターン11で激しくクラッシュ。25周を消化し、1分20秒270を記録していたが、マシンの大破により午後の走行は不可能となり、アルピーヌのテストプログラムは途中終了となった。幸い、ドライバー本人に大きな怪我はなかった。
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ハンガロリンクのコースレイアウト図(F1ハンガリーGP)
テストで使用されたのは、今季型マシン「A525」をベースにしたミュールカーだった。なお、ピレリ主催のテストとは別に、アルピーヌは2023年型マシン「A523」を使ったTPC(旧車テスト)プログラムを実施していたとされる。
一方のフェラーリはルクレールが144周を走破し、ベストラップは1分19秒407。予定していたすべての走行プランを無事に完遂した。
事故の詳細な原因は公表されていないが、ピレリのモータースポーツ部門責任者マリオ・イゾラは「今回の事故はタイヤの性能とは無関係だった」とコメントしている。
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
2026年仕様のプロトタイプタイヤでハンガロリンクを周回するシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2025年8月6日
懸念されるコラピントの立場
コラピントは今季途中よりジャック・ドゥーハンに代わってアルピーヌのレースシートに座っているが、ここまでの最高成績は13位にとどまり、未だノーポイント。チームメイトのピエール・ガスリーが13ポイントを稼いでいる中で、予選成績でも2勝7敗と大きく水をあけられている。
さらに、その予選中に2度のクラッシュを喫していることも、懸念材料となっている。
将来を嘱望される若手でありながら、アルピーヌとはレースごとの短期契約であると見られており、実力と安定性が問われる立場だ。今回のようなテスト中のクラッシュは、チームからの評価を左右しかねず、F1キャリアそのものに影響を及ぼす可能性もある。
ピレリは収穫を強調、開発は次ステージへ
コラピントのクラッシュによりデータ収集に影響が及んだものの、ピレリは2日間の成果を「有益だった」と総括した。今後はイタリア・モンツァ、ムジェロ、さらにメキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットでのテストを通じて、2026年に向けた新世代F1タイヤの開発を継続する構えだ。