ドライバーズパレードに参加する角田裕毅(レッドブル)、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP決勝(ハンガロリンク)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

角田裕毅、パーツ脱落で17位「かなりフラストレーションが溜まってる」相次ぐ無線問題で募る不信

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角田裕毅(レッドブル・レーシング)は2025年F1第14戦ハンガリーGPを17位でフィニッシュ。8レース連続(スプリント含む)のノーポイントに終わった。事前に5基目のICE(内燃エンジン)投入を含むパワーユニット交換を行ったことで、決勝はピットレーンからのスタートとなった。

予選Q1敗退を受け、チームは今後のシーズンを見据え、入賞が見込める際にグリッド降格ペナルティを回避すべく、戦略的にパルクフェルメ規定違反を選択した。ハンガロリンクはオーバーテイクが極めて困難であることから、予選終了時点で入賞を期待するのはあまりに非現実的だった。

角田は20周目にソフト、38周目にハードへと繋ぐ変則の2ストップ戦略でポジションの挽回を狙ったが、車体にダメージを負い、左フロントのダウンフォースを失うという不運に見舞われた。

「僕にどうこうできたわけではないのですが、レース中盤から終盤にかけて、クルマにダメージを負ってしまって、それが原因でペースがかなり落ちてしまいました。あれでレースはほぼ終わったも同然でした」と角田は振り返った。

「途中でガーニーフラップが脱落してしまい、グリップも悪化しました。結果として、戦略的に有利な判断もできなくなってしまいました」

コーナリングの比重が極めて高いハンガロリンクにおいて、フロントのダウンフォースを失った状態で戦うのは、まさに苦行だったと言えるだろう。結局、目立った場面を作ることなく、1周遅れの17位でレースを終えた。

角田のレースについてチーム代表のローラン・メキーズは、マシンの競争力不足に加え、ピットレーンスタートというハンデもあり、「大きく順位を上げるのは不可能だった」と振り返った。

なお、角田はニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)を「コース外に押し出した疑いがある」として審議の対象となったが、スチュワードは処分を科さなかった

決勝でレッドブルRB21をドライブする角田裕毅、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)Courtesy Of Red Bull Content Pool

決勝でレッドブルRB21をドライブする角田裕毅、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)

募る不信とフラストレーション

1週間前の前戦ベルギーGPでは「プロトコル上の問題」によりピットイン指示が遅れ、入賞のチャンスを逸した角田。今大会でも、FP3でクルマのセッティングに関する齟齬が生じた結果、予選に向けた最適化の時間を失うなど、2戦連続でチームとの連携に課題を抱えた。

相次ぐ不手際に対し、角田はレース後、改めて苛立ちを表明し、改善の必要を強く訴えた。

「大きく改善すべきは無線でのコミュニケーションです。特にポイントを争っている時は大きなリスクになりかねないので。実際、そういったことがここ2戦連続で起きているので、正直、かなりフラストレーションが溜まってきています。これは絶対に改善しなければならないポイントです」

見え始めた光明

RB21の競争力不足に加え、問題山積といった厳しい状況ではあるが、光明がないわけではない。

ベルギーGPで新型フロアが導入されて以降、角田のパフォーマンスは着実に改善されている。ハンガリーGPの予選では、2度のアタックでいずれもマックス・フェルスタッペンに0.2秒以内と迫る好タイムをマークし、速さの面での進化を証明した。

「ペースという点では、シーズン前半を通してポジティブだったと思います。特にアップグレードパッケージを導入してからは、明らかにペースが良くなりました」

「フロアが投入されて以降は、フリー走行でも予選でもマックスにかなり近いタイムを安定して出せていますし、それは大きな収穫だと思っています。他のドライバーにとっては、普通のことかもしれませんが、僕としてはポジティブに受け止めていいと思っています」

「実感としてはまだ遠いかもしれませんが、データ上では彼のペースか0.1秒差まで来ています。ここまで迫れるドライバーは、そう多くはないと思います」

諦めない姿勢、後半戦巻き返しへ

厳しい状況下でも、角田はチームのために尽力する姿勢を崩していない。当初の予定にはなかったが、問題解決のためチームを支援すべく急遽、決勝翌日に英国ミルトンキーンズのファクトリーに戻り、シミュレーター作業に取り組むという。

「特に今週末はチームにとってもかなり厳しかったので、懸命に仕事に取り組み、後半戦で巻き返したいと思います」

世界を転戦するF1ドライバーにとって、夏休みは束の間の休息となる貴重な時間だが、角田の視線はすでに、次なる戦いへと向けられている。


2025年F1第14戦ハンガリーGPでは、3番グリッドからスタートしたランド・ノリス(マクラーレン)が今季5勝目を達成。2位にチームメイトのオスカー・ピアストリ、3位表彰台にジョージ・ラッセル(メルセデス)が続く結果となった。

F1サーカスはこの後、サマーブレイクを迎える。ザントフォールト・サーキットを舞台とする次戦オランダGPは、8月29日のフリー走行1で幕を開ける。

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