
アウディ、2026年F1参戦に向け新タイトルスポンサーを発表
アウディは2025年7月30日、2026年のF1初参戦に向けて、グローバル金融テクノロジー企業「Revolut(レボリュート)」とのタイトルスポンサー契約を発表した。同社にとってF1への参入は今回が初となる。
2026年よりアウディのワークスチームとなるザウバーは現在、オンライン賭博企業「Stake(ステイク)」をタイトルスポンサーに据えているが、アウディが新たに選んだのは、世界的に著しい成長を遂げるフィンテック企業だ。
契約金額は公表されていないものの、F1チームとのタイトルスポンサー契約は通常、数十億円規模に達する。近年の販売不振を背景に、アウディは昨秋、カタールの政府系ファンドに株式の一部を売却し、施設投資のための資金を確保した。今回のレボリュートとの大型契約によって、チーム運営にかかる日々のコストも大幅に補填される見通しだ。
レボリュートとは? 急成長する英国フィンテック
Courtesy Of Revolut
アウディF1チームのタイトルスポンサー就任が発表されたレボリュートのロゴ、2025年7月30日
2015年7月にロンドンで設立されたレボリュートは、60カ国以上で6,000万人を超えるユーザーを抱える英国のフィンテック企業。今回のパートナーシップを通じて、今後数年間で1億人への利用拡大を視野に入れている。
F1は2024年シーズン、全世界でおよそ8億2,000万人のファンと、延べ16億人を超えるテレビ視聴者を記録しており、グローバルマーケティングの観点から極めて高い価値を持つスポーツシリーズとなっている。
レボリュートは、低水準の手数料と有利な為替レートを強みに、海外決済・外貨両替・送金分野で急成長。現在では、自動家計簿、予算管理、個人間送金に加え、株式・暗号資産・貴金属の取引、保険、クーポン/ポイントプログラム、eSIM、さらには子ども・若年層向け金融サービスなど、多岐にわたる機能を提供している。
“戦略的アライアンス”としての提携
アウディF1チーム代表のジョナサン・ウィートリーは、レボリュートとの提携について「我々の中核にある“革新”と“飽くなき野心”を共有するパートナーだ」と語り、単なるスポンサー契約ではなく、価値を共創する「戦略的アライアンス」だと強調した。
Courtesy Of Sauber Motorsport AG
ザウバー(アウディ)のジョナサン・ウィートリー新チーム代表、2025年F1バーレーンGP
この契約により、アウディのワークスチームは「Revolut Audi F1 Team」といった名称になる見込みで、マシンにもレボリュートのロゴが大々的に掲出されるとみられる。
また、本提携の一環として、チームの財務業務にはレボリュートの法人向けサービス「Revolut Business」が導入される。さらに、ファンがチームグッズなどを購入する際には、レボリュートの決済システムが活用される予定だ。
アウディはこれまで、WEC(世界耐久選手権)やDTM(ドイツツーリングカー選手権)など、様々なモータースポーツで数々の成功を収めてきたが、F1への参戦は今回が初となる。
同社のゲルノート・デルナーCEOはF1参戦を「アウディブランドの将来に向けた、技術的に意義があり、経済的にも持続可能な投資」と位置付けており、次世代技術の開発・実証の場としてF1を活用する考えだ。
2026年にはF1の技術レギュレーションが刷新され、100%持続可能な燃料や、内燃エンジンと電動モーターによる出力比率50:50の次世代パワーユニットが導入される。アウディにとって、持続可能性と電動化というブランド戦略を体現する格好のステージとなるだろう。