
フレデリック・バスール、フェラーリと複数年の契約延長─去就の憶測に終止符
スクーデリア・フェラーリは2025年F1第14戦ハンガリーGPの開幕を翌日に控えた7月31日、F1チーム代表フレデリック・バスールとの契約を更新したことを正式に発表し、同氏の将来を巡る憶測に終止符を打った。
バスールは2023年にサウバーからフェラーリへ加入し、マッティア・ビノットの後任としてチームの指揮を執ってきた。この30カ月間、チーム体制の再構築と強化に取り組んできたが、ここ数カ月は一部のイタリアメディアによる厳しい批判にも晒されていた。
6月のカナダGPでは、フェラーリの母国メディアが「解任の危機にある」と報道。これに対してバスールは、「チームに対して明確に害を及ぼす内容」「極めて無礼だ」と強い不快感を示していた。
今回の契約は「複数年」とされており、少なくとも2026年に導入される新レギュレーションの2年目までは指揮を執ると見られる。バスールの続投は、F1新時代に向けた中長期的な体制構築の一環と位置づけられる。
バスールは契約更新に際し、「今回の契約更新は単なる確認ではなく、“進み続ける”という挑戦の意味を持つ。結果を出すことが求められている。我々はこの30カ月間で強固な基盤を築いた。今後はこれを土台に、一貫性と決意を持って前進する」と語り、成果に向けた意欲を強調した。
フェラーリは2024年にコンストラクターズ選手権で2位に浮上したものの、今季は前年王者マクラーレンに大差をつけられ、勢いを欠く展開となっている。だがフェラーリのベネデット・ヴィーニャCEOは「フレッドは豊富な経験を以て、才能を育成し、競争力あるチームを作り上げてきた」と語り、その手腕を高く評価した。
2026年には、パワーユニットやシャシーの大幅な刷新、さらには持続可能な燃料の導入など、大規模なレギュレーション変更が予定されている。この節目においてバスールのリーダーシップが継続されることは、フェラーリが安定した競争力を維持し、変化の激しい局面を乗り越える上で重要な要素となり得る。
今季は、シャルル・ルクレールに加え、7度のF1ワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンがフェラーリに加入。実績と話題性を兼ね備えたドライバー体制が整い、フェラーリの注目度はさらに高まっている。