
メキーズ新代表、レッドブルに合流―初日に語った“ホーナーの影”と再出発への覚悟
レッドブル・レーシングの新チーム代表兼CEOに就任したローラン・メキーズが、7月10日、シルバーストン・サーキットでのフィルミングデーにてチームに初合流。公の場で初めてその胸中を明かした。
創設以来、20年間にわたってチームを率いてきたクリスチャン・ホーナーの後任として注目を集めるメキーズは、変革期にあるレッドブルで新たな挑戦に乗り出す決意を語った。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
レッドブル・レーシングでの仕事初めに臨むチーム代表兼CEOのローラン・メキーズ、2025年7月10日シルバーストン・サーキット (2)
ホーナーへの深い敬意
「責任者として自分がここに立つなんて、正直、まだ少し現実感がない。彼がいないというのが信じられない。クリスチャンがこのチームを20年間率いて成し遂げたことの大きさは、過小評価しようにもできない」と語り、ホーナーに対する深い敬意を示した。
「20年前に彼と出会ったとき、彼はF1史上最年少のチーム代表だった。その後、彼はこのチームをここまで成長させ、数えきれないほどの勝利とタイトルを獲得してきた。本当に信じがたいことだ」
「クリスチャンは、ヘルムート(アドバイザーのマルコ)やオリバー(レッドブルGmbH企業プロジェクト・新規投資部門CEOのミンツラフ)とともに、2年前に私を再びレッドブルファミリーに呼び戻してくれた人物でもある。だから、今日はまず何よりも彼のことが頭に浮かぶ」
「魔法のようなチーム」を理解するために
メキーズは、フランスの工学系大学で修士課程を修了した後、アロウズ、ミナルディ(後のトロロッソ)での経験を経て、FIAやフェラーリで要職を歴任し、2024年に伊ファエンツァのチームに復帰。レーシング・ブルズのチーム代表を経て、今回、ホーナーに次ぐレッドブル史上2人目のチーム代表に就任した。
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スクーデリア・トロロッソのローラン・メキーズ
メキーズはまず、チームとの信頼構築に重点を置くと明言した。
「正直、まだこのチームを外部の人間のような目で見てるような部分がある。ここにいるのは世界で最も優秀な人材ばかりだ。目下の焦点は、彼らがベストなパフォーマンスを出せるように、必要な環境を整えることにある」
「まだ着任して丸一日も経っていないが、できる限り多くの人に会って、この“魔法”のようなチームの内側を知りたいと思っている。舞台裏で実際に魔法を起こしてる人たちと話して、このチームがどう動いているのかを理解する。それがこの数週間の私の仕事だ」
「その上で最終的には、自分がどう貢献できるか、どう支えられるかを見つけていきたい」
2026年の挑戦、レッドブルの“DNA”
2026年には技術規則の大幅な刷新が予定されており、これに加えてレッドブル・パワートレインズによる初の自社製F1パワーユニットの導入という未踏の挑戦が控えている。
メキーズはこの点について、「とてつもなく困難なチャレンジ」であり、決して過小評価してはならないとしながらも、「みんなで取り組めばきっと乗り越えられる」と前向きな姿勢を示した。
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レッドブル・レーシングでの仕事初めに臨むチーム代表兼CEOのローラン・メキーズ、2025年7月10日シルバーストン・サーキット (5)
また、「レッドブルのDNAは、楽しみながら挑戦し、リスクを恐れずに進むこと。自分たちが世界最高の仕事をしているという自覚を持つことだ」と語り、「情熱と勝利への渇望、レッドブルのエネルギーを持ってこの挑戦に臨む」と、リーダーとしての決意を示した。
混乱期のさなかにあるレッドブル・レーシングをいかに立て直し、新たな時代へと導くのか。メキーズに託された使命は重く、その手腕に注目が集まっている。
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レッドブル・レーシングでの仕事初めに臨むチーム代表兼CEOのローラン・メキーズ、2025年7月10日シルバーストン・サーキット (4)