
ホーナー解任後の去就─最有力は”あのチーム”への移籍か、“チームオーナー化”の可能性も
レッドブル・レーシングのチーム代表を電撃解任されたクリスチャン・ホーナーに関して、その次なるキャリアに早くも注目が集まっている。現在取り沙汰されているのは、旧友フラビオ・ブリアトーレが関与するアルピーヌF1チームへの移籍、あるいはチーム買収や出資による“再登場”というシナリオだ。
アルピーヌが「現実的な選択肢」か
イギリスの衛星テレビ局『Sky Sports』で解説を務める元F1ドライバーのカルン・チャンドックは、ホーナーがアルピーヌに加わる可能性に言及した。ホーナーの生活拠点はイギリスであり、オックスフォードシャー州エンストンにファクトリーを構えるアルピーヌは”最も現実的な選択肢”と見なされている。
「クリスチャンの貢献を過小評価することはできない。チームのために素晴らしい仕事をしてきたことに疑いはないし、彼は一度もF1のレースを欠席したことがない。20年間ずっと最前線でプレッシャーにさらされてきた」とチャンドックは語った。
「ザク・ブラウン(マクラーレンCEO)やトト・ウォルフ(メルセデスF1代表兼CEO)のように、時折レースを欠席するチーム代表もいる中、クリスチャンは常に全戦に帯同していたことで有名だ」
チャンドックは、ホーナーが暫く休養を取る可能性を指摘しつつも、「彼の生活基盤はイギリスにあって、今後も英国で暮らし続けると思う。家族を引っ越させてまで人生を一からやり直すことは、たぶんしないだろう」として、「アルピーヌは彼の将来の行き先になる可能性がある」と指摘した。
前チーム代表オリバー・オークスの辞任を受けアルピーヌは、マネージング・ディレクターとしてスティーブ・ニールセンを採用したが、いまだチーム代表の座は空席のままだ。
ブリアトーレとの人脈が鍵に?
Courtesy Of Red Bull Content Pool
チーム代表記者会見で談笑するクリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシング代表)とフラビオ・ブリアトーレ(アルピーヌF1エグゼクティブアドバイザー)、2025年5月30日(金) F1スペインGP(カタロニア・サーキット)
アルピーヌでは現在、ホーナーの旧友であるブリアトーレがエグゼクティブ・コンサルタントとして実権を握っており、この“人脈”もホーナー復帰の可能性を後押しする材料と見られている。
チャンドックは「クリスチャンの古い友人であるフラビオ・ブリアトーレも経営顧問として関与しているし、もし彼がF1の世界に留まりたいのであれば、アルピーヌがその候補地になり得ると思う」と語った。
ホーナーは過去にフェラーリから移籍の打診を受けたと見られているが、本人は一貫してレッドブルに留まると明言してきた。チャンドックも「結局のところ、それは実現しなかったし、(フレデリック・)バスール(現チーム代表)に関する噂はあるけど、個人的には彼がそこに行くとは思わない」と述べた。
“投資家”としての復帰も?
一方、同じく『Sky Sports』で解説を務めるデイヴィッド・クロフトは、ホーナーがチームの“投資家”あるいは“共同オーナー”としてF1の表舞台に復帰する可能性に言及した。
「ホーナーはトト・ウォルフを見て、『自分もそうあるべきだ』と感じているかもしれない」
「チーム株式の3分の1を所有するまでに上り詰めたトトを目の当たりにして、彼は羨ましさを感じているはずだ。もし投資の機会があるなら、彼は必ず戻ってくると思う」
「アルピーヌはその最有力候補だが、他にも関心を示す関係者がいるかもしれないし、ホーナーが買収できるとは限らない。彼は裕福な人物ではあるが、トト・ウォルフほどの資産を持っているわけではない」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーとメルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフ、2019年10月25日にエルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われたF1メキシコGPのFIA記者会見にて
クロフトもまた、「今この“火の中”から飛び出して、マラネロという“さらに大きな火の中”に飛び込むのは時期尚早だろう」と語り、フェラーリ移籍の可能性は極めて低いとの見解を示した。
「しばらくの間は休養を取ると思うし、急いで次のステップに進む必要もない。ただ、そう遠くない将来、どこかのチームが『クリスチャン・ホーナーがF1に戻ってきた』と発表する日が来ると想像している」