レッドブル・レーシングのファクトリー外観、2021年1月22日(金) ミルトン・キーンズ(イングランド)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

ホーナー解任の余波、側近幹部2名もレッドブルF1離脱─粛清か、それとも…更なる波及の可能性も

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強豪レッドブル・レーシングに激震が走っている。20年にわたりチームを率いてきたクリスチャン・ホーナーの電撃解任に続き、上級幹部2名が相次いでチームを去ったと報じられた。ホーナーの解任は単なる個人の去就にとどまらず、チーム全体を巻き込む大規模な組織再編の始まりを告げているのだろうか。

ホーナーはレッドブルGmbHの取締役会から7月8日(火)に解任を通告され、翌9日(水)の朝、ミルトンキーンズのファクトリーを訪問。スタッフ全員を前に最後のスピーチを行い、涙ながらに別れを告げた。

ホーナー側近2名が相次ぎ退任

イギリスの衛星テレビ局『Sky Sports』のプレゼンターであるクレイグ・スレイターは、「ホーナーと密接な関係にあった幹部2名もまた、レッドブルを退職したようだ」と伝えた。

この2名は、広報・SNS部門ディレクターのポール・スミスと、グループCMCO(最高マーケティング商業責任者)であるオリバー・ヒューズと見られている。

スミスは、2024年初頭にホーナーが女性社員からセクシャルハラスメントを含む不適切行為で告発された際、広報対応を主導した人物であり、難局を乗り切る上で中核的な役割を果たしたとされる。一方のヒューズは、2017年にレッドブルに加入して以降、昇進を重ね、2024年6月にCMCOに昇格したばかりだった。

こうしたホーナーの側近2名の同時退任は、「ホーナー派」粛清の一環と見る向きがある一方で、ホーナーに権力が集中していた従来の組織運営を見直し、新たな体制への移行を図るレッドブルGmbH主導の再編の一環と捉えることもできる。

なおスレイターによると、今回の件に関する広報対応は通常とは異なり、オーストリア・ザルツブルクにあるレッドブルGmbH本社が主導しているという。

その他幹部の去就にも波及か

チーム創設期からチームを主導してきたという経緯もあり、ホーナーの庇護のもとで要職に就いた人物は多い。今回の退任劇は、そうした幹部陣にも波及する可能性がある。

たとえば、テクニカルディレクターのピエール・ワシェ、マックス・フェルスタッペンのレースエンジニア兼レース統括責任者であるジャンピエロ・ランビアーゼ、暫定スポーティング責任者のスティーブ・ノールズ、そして日々のレース運営を統括するリッチ・ウルバーソンといった面々の名が挙げられる。