5位フィニッシュを経てパルクフェルメに停めたクルマから飛び降りるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年7月6日(日) F1イギリスGP決勝(シルバーストン・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

ピアストリとの関連性は?フェルスタッペン、転落スピンの真因―予兆はイギリスGP”前夜”に

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5位に甘んじた2025年F1第12戦イギリスGP決勝を終えてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、セーフティーカー(SC)明けのリスタートの際のスピンについて、直前に発生したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)のインシデントとの関連性を否定した。

リスタートに向けてピアストリが、時速218kmから52kmまで急減速したことで、フェルスタッペンは回避行動を強いられ、一時的にピアストリを追い越す形となったが、直後にポジションを返上した。

その直後、フェルスタッペンはストウコーナー(ターン15)の立ち上がりで90度スピンを喫し、巧みなコントロールで壁との衝突は避けたものの、表彰台圏内の2番手から一気に11番手にまで転落した。

直後の出来事であったため、ピアストリの一件との関連性が疑われたが、フェルスタッペンはレース後、その可能性を否定し、レース開始時から続いていた不安定なクルマの挙動と、SC中に温度が下がってグリップ力が低下していたタイヤが要因だと説明した。

「単にアクセルを踏み込んだだけなんだ。それまでもずっとクルマをコントロールするのが本当に大変でね。何とかリズムを掴もうと頑張っていたんだけど、熱を失ったタイヤに足元をすくわれたんだ」

RB21は元より、コンディションの変化に脆弱だが、今回の件は何よりセットアップが決勝当日のコンディションに噛み合っていなかったことが要因として大きい。

レッドブル勢は初日の段階から、ライバルよりも低いダウンフォースパッケージを選択。さらに2日目には、この路線を一層強めた。その結果、ドライコンディションで行われた予選では、フェルスタッペンがセクター1・2で全体ベストを刻み、見事な逆転ポールポジションを獲得した。

しかしながら、決勝当日はあいにくの雨。滑りやすい路面に加え、空力的に車体を路面に押し付ける力が乏しいセットアップが災いし、フェルスタッペンは「これじゃ走れない」と無線で繰り返し不満を訴え続けることとなった。

「オープニングラップからとにかく大変だった。高速コーナーと低速コーナーのバランスが本当にひどくて、コックピット内のツールを使っても、まともなバランスを見つけることができなかったんだ」

「特にマクラーレンと比べると、タイヤのデグラデーションがかなり酷かった。やっぱり、彼らは別次元だったよ」

「あのウイングじゃ、どうにもならなかった。残念だけど、そういうこともある」

豪雨のシルバーストン・サーキットでランド・ノリス(マクラーレン)をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年7月6日(日) F1イギリスGP決勝Courtesy Of Red Bull Content Pool

豪雨のシルバーストン・サーキットでランド・ノリス(マクラーレン)をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年7月6日(日) F1イギリスGP決勝

スピンを喫して中団に沈んだ後も、フェルスタッペンのペースは上向かず、苦しい展開が続いた。それでも最終的には5位まで挽回。前を行くルイス・ハミルトン(フェラーリ)とは17秒近いギャップがあり、これ以上は望みようもなかった。

本人はこの結果について「いろいろあった中でのベストリザルトだった」と総括した。”ベストリザルト”を達成できた背景の一つには、レッドブルによる的確な戦略判断があった。

フェルスタッペンはピットウォールと連携して路面状況を慎重に見極めつつ、インターミディエイトタイヤで41周目まで粘りの走行を続け、終盤にミディアムタイヤへと履き替えた。「あれは適切な判断だった」とフェルスタッペンは振り返る。

今回のレースで最大の誤算となったのは、前日夜に変化した天気予報だった。もともと、レース当日は午前中こそ雨が予想されていたものの、午後に向けては回復傾向が予想されていた。レース序盤こそウェット路面の可能性も予想されたが、実際には大半がウェットとなった。

フェルスタッペンは「突然、昨夜になって雨脚が強まるという予報に変わったんだ」と明かしつつ、「まぁ、そういうこともあるさ」と受け入れる姿勢を見せた。

ダミーグリッド上で決勝レースに向けた準備を進めるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼ、ヨス・フェルスタッペン、2025年7月6日(日) F1イギリスGP決勝(シルバーストン・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ダミーグリッド上で決勝レースに向けた準備を進めるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼ、ヨス・フェルスタッペン、2025年7月6日(日) F1イギリスGP決勝(シルバーストン・サーキット)


2025年F1第12戦イギリスGPでは、ランド・ノリス(マクラーレン)が3番グリッドから優勝。オスカー・ピアストリが2位でフィニッシュし、マクラーレンが1-2フィニッシュを飾った。3位には自身初となる表彰台獲得を果たしたニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)が続いた。

スパ・フランコルシャンを舞台とする次戦ベルギーGPは、7月25日のフリー走行1で幕を開ける。

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