
隠しきれぬ苦悩―角田裕毅「ひたすら、もがき続けるような状態だった…」 ”桁外れのペース不足”で2戦連続最下位
レッドブル・レーシングの角田裕毅が、7月6日のF1第12戦イギリスGP決勝で2戦連続の最下位に沈んだ。ポイント圏内まであと一歩の11番グリッドからスタートしたものの、完走15台中15位でフィニッシュ。「桁外れのペース不足」に、本人も「こんな感覚は初めて」と深刻な状況を吐露した。
序盤に入賞圏内走行も一転、転落の一途
レーススタート直後は9番手まで順位を上げる場面もあり、期待を抱かせた。だが11周目の最初のピットストップ後、13番手でコースに戻ると状況は一変。以降は順位を上げることができず、後退の一途を辿ることとなった。
追い打ちをかけたのが22周目のセーフティーカー明けでの出来事だった。リスタート時にオリバー・ベアマン(ハース)と接触し、10秒ペナルティを科されてしまう。この接触について角田は、レース後すぐにベアマンのもとへ直接赴き、謝罪を行った。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
オリバー・ベアマン(ハース)からポジションを守る角田裕毅(レッドブル)、2025年7月6日(日) F1イギリスGP決勝(シルバーストン・サーキット)
絶望的なペース差が浮き彫りに
レース折り返しの26周目には、スピンで転落していたベアマンに抜かれて最下位に後退。以降は直接争う相手もなく、孤独な戦いが続いた。
特に深刻だったのはペース不足だ。例えば単独走行が続いた第2スティントのデータを見ると、前方のベアマンとの差は1周あたり平均1.5秒近くも開いていた。ベアマンは隊列の中で走行していたにもかかわらず、だ。
終盤のミディアムタイヤでは幾分持ち直したが、それでもチームメイトのマックス・フェルスタッペンと比較するとコンマ5秒以上の差が開いた。
「桁外れに遅く、狂ったようにもがいている感じ」
レース後のインタビューで角田は、時折、深く息を吐きながら、率直に現状を語った。接触の件についても問われたが、極端なペース不足に対する懸念が頭から離れない様子で、それどころではないといった心境がにじみ出ていた。
「正直、今日はとにかくペースが酷く遅くて…ロングランに関しては、毎回何かしら問題があるのですが今日は、、桁外れに遅く、狂ったようにひたすら、もがき続けるような状態でした。こんな感覚は初めてです」
雨への自信があっただけに、現実との落差は大きかった。
「確かに今回はダウンフォースレベルをかなり低めに設定していたのですが、それでも雨には自信を持っていました。ただ、実際にはウェットでのペースが全くなく、…完敗でした」
ダウンフォースレベルだけでは「説明がつかないほどの遅れ」だったという角田の言葉からは、問題の根深さが伺える。
予選での手応え、見えない糸口
一方で予選に関しては、デプロイメントに起因する電動パワーのトラブルさえなければQ3進出も狙える内容だった。だが、今の角田にとってそれは慰めにはならなかった。
「確かにドライコンディションでは幾つかポジティブな点もありましたし、一発のペースはかなり良かったと思います。ただ…、ロングランに関しては、もっと検討が必要だと思います」
予選での速さが証明するように、角田のポテンシャルは決して失われてはいない。だが、ロングランにおける一貫性と安定感の欠如は深刻であり、改善に向けた明確な糸口が見出せていないことは気がかりだ。
それでも、次戦ベルギーGPではようやく最新仕様のフロアが投入される見込みであり、この技術的アップデートが角田にとって反転攻勢のきっかけとなることを願うばかりだ。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
決勝前のドライバーズパレードに参加する角田裕毅(レッドブル)とアレックス・アルボン(ウィリアムズ)、2025年7月6日(日) F1イギリスGP(シルバーストン・サーキット)
2025年F1第12戦イギリスGPでは、ランド・ノリス(マクラーレン)が3番グリッドから優勝。オスカー・ピアストリが2位でフィニッシュし、マクラーレンが1-2フィニッシュを飾った。3位には自身初となる表彰台獲得を果たしたニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)が続いた。
スパ・フランコルシャンを舞台とする次戦ベルギーGPは、7月25日のフリー走行1で幕を開ける。