スパ・フランコルシャン

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サーキットデータ
サーキット名スパ・フランコルシャン・サーキット
所在国ベルギー
住所Route du Circuit, 55 4970 Francorchamps, Belgium
設立年1921年
設計ジュール・ド・ティエ(Jules de Their)
最大高低差104m
周回数44
ターン1までの距離*1163m
平均速度221.157km/h
最高速度335.5km/h
変速回数58回/周
SC導入率100%
ウェット確率36%
全長 / コーナー数7,004m / 19
ピット長 / 損失時間386m / 17秒
エンジン負荷と全開率*2 63%
ブレーキ負荷と使用率 16%
燃料消費レベルと量 2.39kg/周
フューエル・エフェクト 0.41秒/10kg
タイヤ負荷レベル
ダウンフォースレベル
グリップレベル
WEBサイト www.spa-francorchamps.be
SNS instagram

*1 ポールから最初の制動地点までの距離*2 全開率は時間ベース

スパ・フランコルシャン(Circuit de Spa-Francorchamps)は、ベルギー・リエージュ州スパ市郊外のフランコルシャンに位置する、F1ベルギーGPの開催地として知られるサーキット。通称「スパ」と呼ばれ、世界中のファンに長年愛され続けている。

世界でも屈指の歴史を誇るサーキットで、初めてレースが行われたのは1922年。1925年にはグランプリレース(F1の前身)も初開催された。

さらに、世界三大耐久レースのひとつ「スパ・フランコルシャン24時間レース」の舞台としても名高く、1924年から幾多の名勝負と過酷な戦いを演出してきた。F1においては1985年以降、2003年と2006年を除いて毎年開催されている。

スパ・フランコルシャンの上空写真Courtesy Of Pirelli

スパ・フランコルシャンの上空写真

コースレイアウト

開業当初のオリジナルレイアウトは一部に公道を含み、全長は14.981kmと現行の倍以上を誇っていた。だが幾度もの改修を経て、安全性を最優先する方針のもと、1979年に6.95kmの常設サーキットへと短縮され、現在は1周7.004kmに落ち着いている。

コーナー数は全19。左に10、右に9と、左右のバランスに優れた構成となっている。

スパ・フランコルシャン(F1ベルギーGP)のコースレイアウト図、2025年copyright Formula1 Data

スパ・フランコルシャン(F1ベルギーGP)のコースレイアウト図、2025年

最も標高が高いレ・コーム(ターン5・6)と最も低いスタヴロ(ターン14)の差は約100mと、カレンダーの中で最も標高差が大きいコースでもある。

ポールポジションからターン1のブレーキングゾーンまでの距離は、わずか150.4mとF1カレンダーの中でも屈指の短さを誇る。アゼルバイジャン(90m)、ラスベガス(111m)に次いで3番目に短い。

なお、かつて近隣の村名に由来して「リバージュ」と呼ばれていたターン8は、近年ではベルギーの首都にちなみ「ブリュッセル」と呼ばれている。また、かつては近くの町にちなんで「スタヴロ」と称されていたターン14も、現在は付近にあるキャンパス自動車大学に由来し「キャンパス」と名付けられている。

DRSゾーン
検知地点 可動地点
DRS1 ターン2の240m手前 ターン4の305m奥
DRS2 ターン18の160m手前 ターン19の30m奥

特徴

平均時速240km!の超高速サーキット

全長7kmのうち約5.2kmがエンジン全開区間で、平均時速は240km──スパ・フランコルシャンはF1随一の超高速サーキットとして知られる。この全開率を上回るのは、イタリアGPの開催地であるモンツァ・サーキットのみだ。

セクター別に見ると、セクター1では約84%、セクター3では約93%がフルスロットルとなり、特にラ・ソース(ターン1)からレ・コーム(ターン5・6)のブレーキングポイントまでの1,875mは、約23秒間にもわたる全開走行区間となっている。

これら高速セクション(低ドラッグが有効)と、セクター2に代表される中速・低速コーナー群(高ドラッグが有効)の双方に対応するセッティングのバランスが極めて重要だ。エンジンパワーがタイムに直結する特性も顕著で、10馬力あたり0.22秒のタイム短縮が期待できる典型的なパワーサーキットである。

スパ・フランコルシャンのレ・コームでアレックス・アルボン(ウィリアムズ)をリードする角田裕毅(アルファタウリ)、2023年7月30日(日)F1ベルギーGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

スパ・フランコルシャンのレ・コームでアレックス・アルボン(ウィリアムズ)をリードする角田裕毅(アルファタウリ)、2023年7月30日(日)F1ベルギーGP決勝レース

また、ラップの大部分でアクセルを踏み続けるため、燃料消費量も飛び抜けて高い。スパでは1周あたり2.39kgもの燃料が消費され、F1カレンダーの平均1.69kg/lapと比べて約1.4倍に達する。加えて、エネルギー回生(ERS)にとっても過酷なコースであり、1周を終える前にデプロイメントが切れるケースも珍しくない。

なお、旧レイアウト時代の1973年には、アンリ・ペスカロロがマトラのプロトタイプカーで平均時速262.461kmという驚異的な記録を樹立している。

気紛れな“スパ・ウェザー”

深い森に囲まれた地形が生み出すスパ特有の変わりやすい気象条件──通称「スパ・ウェザー」──によって、レース展開が一変する事態は珍しくない。突如として土砂降りに見舞われるケースも多く、その影響でセーフティーカーの出動率は2016年から2020年の間で実に80%に達した。

特筆すべきは、その局地性だ。全長7kmを超える広大なサーキットでは、あるセクションでは豪雨でも、別のエリアでは完全にドライという現象が頻発する。ドライバーとチームにとっては、戦略的判断とリスク管理が極めて難しいサーキットのひとつである。

セーフティーカー先導の下で行われたF1ベルギーGPスプリントのフォーメーションラップ、2023年7月29日スパ・フランコルシャンにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

セーフティーカー先導の下で行われたF1ベルギーGPスプリントのフォーメーションラップ、2023年7月29日スパ・フランコルシャンにて

名物オー・ルージュとプーオン

かの有名なオー・ルージュ(ターン2・3)(仏:Eau Rouge)は、ドライバーやファンの間で常に話題にのぼる象徴的なコーナーのひとつ。フランス語で「赤い水」を意味し、コーナーを横切る小川の名前に由来する。2019年のFIA-F2選手権では、アントワーヌ・ユベールがこのオー・ルージュと続くラディオン(ターン4)の先で命を落とす悲劇的な事故が起きた

最大勾配18%、高低差およそ80mを2秒足らずで駆け上がるこのセクションでは、縦方向に約1G、横方向に最大5Gもの荷重がドライバーにかかる。ロケットのように空へと押し上げられる感覚に近いと見られる。またセクター2では、18階建てビルに相当する高さを一気に下ることになる。

スパ・フランコルシャンのオー・ルージュ、ラディオンを駆け上がる角田裕毅(アルファタウリ)、2023年7月30日F1ベルギーGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

スパ・フランコルシャンのオー・ルージュ、ラディオンを駆け上がる角田裕毅(アルファタウリ)、2023年7月30日F1ベルギーGP決勝レース

オー・ルージュについて、2度のF1ワールドチャンピオンであるフェルナンド・アロンソはこう語る。

「坂を下った先に、突然急激な上り坂が現れる。コックピットからはコーナーの出口が全く見えず、エイペックスを越えるまで自分がどこに向かっているのか分からない。タイム的にもレース展開的にも、その後に上り坂のロングストレートがあるためミスが許されない重要なコーナーだが、同時に走る度に特別な印象を与えてくれる。坂を駆け上がる前の一番低い場所を通過する際は、体が圧縮されるような感覚を覚える。凄く不思議な感じだけど本当に楽しい」

スパ・フランコルシャンの高低差はF1カレンダー最大の約104mに及び、ターン7が最高地点、ターン15が最低地点となる。

オー・ルージュと並び人気を誇るのが、ターン10・11で構成される「プーオン」だ。急勾配の下り坂を抜けた先に待ち受ける高速2連チャンの左コーナーでは、ドライバーの胆力と精密な操作が試される。近年のF1マシンはダウンフォースが約30%向上しており、プーオンですらフルスロットルで駆け抜けることが可能。ここでは、シーズン中最高となる5.3Gもの横Gがドライバーを襲う。

スパ・フランコルシャンの高速左コーナー、プーオン(ターン10・11)Courtesy Of Pirelli

スパ・フランコルシャンの高速左コーナー、プーオン(ターン10・11)

グランドエフェクトカー導入で容易になった追い抜き

レース中のオーバーテイクは決して容易ではなかった。たとえば2018年大会では、全体で記録された追い抜き回数はわずか28回。そのうちDRSを使わずに成功した通常のオーバーテイクは10回にとどまった。2018年から2020年にかけては、全体の80%以上の追い抜きが、DRSの効果が最も高いケメル・ストレート上で発生していた。

だが、2022年から導入されたグランドエフェクトカーにより、空力の乱流影響が軽減されたことで、前走車への接近が容易になり、オー・ルージュおよびラディオンでの追走が容易となり、一気にオーバーテイク回数が増加した。

こうした傾向を受けてFIAは、2024年大会に向けてケメル・ストレートのDRSゾーンを短縮。これにより、ドライバーのテクニックによる攻防の比重が増すこととなった。

なお、ラ・ソース(ターン1)までの距離は極めて短いため、オープニングラップの最初こそ大きな順位変動は起こりにくい。だがその分、各車はターン1の脱出で接近状態を維持しやすく、立ち上がりでしっかりと前走車のスリップストリームに付くことができれば、DRSが使用可能となるレ・コーム(ターン5・6)までに勝負を仕掛けるチャンスは十分にある。

追い抜き リタイヤ ピット回数
通常 DRS 接触 故障
2025
2024 10 22 0 2 34
2023 17 42 2 0 37
2022 30 40 2 0 38
2021 0 0 0 0 0
2020 7 27 2 0 20
2019 15 35 1 1 24
2018 10 18 5 0 19
2017 11 21 1 3 40

全長が長いが故の特異な課題

短縮されたとはいえ、スパ・フランコルシャンの全長はF1カレンダー平均を2km近く上回っており、2番目に長いバクー市街地コース(6.003km)よりも1kmも長い。依然として最長のサーキットとして君臨し、ベルギーGPのレース周回数は全グランプリ中で最も少ない44周に設定されている。

その長さゆえに、チームとドライバーは他のサーキットでは見られないユニークな課題に直面する。

たとえば、ラップ序盤でマシンにダメージを負った場合、ピットまで戻る距離が非常に長く、結果的にタイムロスが大きくなる。

また、スパ特有の気象の変わりやすさも見逃せない。1周が長いため、セクターごとに天候が異なるケースも珍しくなく、ドライバーは1周の中で異なるコンディションに対応しなければならない。

さらに、プラクティス走行でも周回数を重ねにくいため、ドライバーにとっては限られた時間内で各コーナーの習熟を求められる。学習と適応の難易度が高く、経験と集中力がより一層試されるコースといえる。

平均を上回るタイヤ負荷

シルバーストンや鈴鹿ほどではないにせよ、スパ・フランコルシャンはタイヤへの負荷がF1カレンダー平均を上回るサーキットとして知られる。決勝はもちろん、予選でも1周7kmという長さが影響し、コンパウンドによっては1周を走り切る前にパフォーマンスが低下するリスクがある。

通常、スパで発生するタイヤの性能劣化はサーマル・デグラデーションとなる。

コースレコード

タイム ドライバー チーム
ラップレコード 1:46.286 バルテリ・ボッタス メルセデス 2018年
コースレコード 1:40.510 オスカー・ピアストリ マクラーレン 2025年

最多勝利ドライバー

伝統的・古典的なスパのコースは多くのドライバーとファンに愛されているが、3勝以上を挙げたドライバーは僅か8人(2020年現在)。スパはドライバーを選別する。

  • ミハエル・シューマッハ…6勝
  • アイルトン・セナ…5勝
  • ジム・クラーク…4勝
  • キミ・ライコネン…4勝
  • ルイス・ハミルトン…4勝
  • ファン・マヌエル・ファンジオ…3勝
  • セバスチャン・ベッテル…3勝
  • デイモン・ヒル…3勝

F1ベルギーGP歴代ウィナーとポールシッター

スパ・フランコルシャンで開催されたF1世界選手権ベルギーGPの歴代勝者とポールシッター。

開催年 ドライバー チーム タイム
2025 優勝 オスカー・ピアストリ マクラーレン 1:25:22.601
ポールポジション ランド・ノリス マクラーレン 1:40.562
2024 優勝 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:19:57.040
ポールポジション シャルル・ルクレール フェラーリ 1:53.754
2023 優勝 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 1:22:30.450
ポールポジション シャルル・ルクレール フェラーリ 1:46.988
2022 優勝 マックス・フェルスタッペン レッドブルRBPT 1:25:52.894
ポールポジション マックス・フェルスタッペン レッドブルRBPT 1:43.665
2021 優勝 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:22:30.450
ポールポジション マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:59.765
2020 優勝 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:24:08.761
ポールポジション ルイス・ハミルトン メルセデス 1:41.252
2019 優勝 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:23:45.710
ポールポジション シャルル・ルクレール フェラーリ 1:42.519
2018 優勝 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 1:23:34.476
ポールポジション ルイス・ハミルトン メルセデス 1:58.179
2017 優勝 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:24:42.820
ポールポジション ルイス・ハミルトン メルセデス 1:42.553
2016 優勝 ニコ・ロズベルグ メルセデス 1:44:51.058
ポールポジション ニコ・ロズベルグ メルセデス 1:46.744
2015 優勝 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:23:40.387
ポールポジション ルイス・ハミルトン メルセデス 1:47.197
2014 優勝 ダニエル・リカルド レッドブル・ルノー 1:24:36.556
ポールポジション ニコ・ロズベルグ メルセデス 2:05.591
2013 優勝 セバスチャン・ベッテル レッドブル・ルノー 1:23:42.196
ポールポジション ルイス・ハミルトン メルセデス 2:01.012
2012 優勝 ジェンソン・バトン マクラーレン・メルセデス 1:29:08.530
ポールポジション ジェンソン・バトン マクラーレン・メルセデス 1:47.573
2011 優勝 セバスチャン・ベッテル レッドブル・ルノー 1:26:44.893
ポールポジション セバスチャン・ベッテル レッドブル・ルノー 1:48.298
2010 優勝 ルイス・ハミルトン マクラーレン・メルセデス 1:29:04.268
ポールポジション マーク・ウェバー レッドブル・ルノー 1:45.778
2009 優勝 キミ・ライコネン フェラーリ 1:23:50.995
ポールポジション ジャンカルロ・フィジケラ フォースインディア・メルセデス 1:46.308
2008 優勝 フェリペ・マッサ フェラーリ 1:22:59.394
ポールポジション ルイス・ハミルトン マクラーレン・メルセデス 1:47.338
2007 優勝 キミ・ライコネン フェラーリ 1:20:39.066
ポールポジション キミ・ライコネン フェラーリ 1:45.994
2006 コース改修のため中止
2005 優勝 キミ・ライコネン マクラーレン・メルセデス 1:30:01.295
ポールポジション ファン・パブロ モントーヤ マクラーレン・メルセデス 1:46.391
2004 優勝 キミ・ライコネン マクラーレン・メルセデス 1:32:35.274
ポールポジション ヤルノ・トゥルーリ ルノー 1:56.232
2003 タバコ広告規制の影響で中止
2002 優勝 ミハエル・シューマッハ フェラーリ 1:21:20.634
ポールポジション ミハエル・シューマッハ フェラーリ 1:43.726
2001 優勝 ミハエル・シューマッハ フェラーリ 1:08:05.002
ポールポジション ファン・パブロ モントーヤ ウィリアムズ BMW 1:52.072
2000 優勝 ミカ・ハッキネン マクラーレン・メルセデス 1:28:14.494
ポールポジション ミカ・ハッキネン マクラーレン・メルセデス 1:50.646
1999 優勝 デビッド・クルサード マクラーレン・メルセデス 1:25:43.057
ポールポジション ミカ・ハッキネン マクラーレン・メルセデス 1:50.329
1998 優勝 デーモン・ヒル ジョーダン・無限ホンダ 1:43:47.407
ポールポジション ミカ・ハッキネン マクラーレン・メルセデス 1:48.682
1997 優勝 ミハエル・シューマッハ フェラーリ 1:33:46.717
ポールポジション ジャック・ヴィルヌーヴ ウィリアムズ・ルノー 1:49.450
1996 優勝 ミハエル・シューマッハ フェラーリ 1:28:15.125
ポールポジション ジャック・ヴィルヌーヴ ウィリアムズ・ルノー 1:50.574
1995 優勝 ミハエル・シューマッハ ベネトン・ルノー 1:36:47.875
ポールポジション ゲルハルト・ベルガー フェラーリ 1:54.392
1994 優勝 デイモン・ヒル ウィリアムズ・ルノー 1:28:47.170
ポールポジション ルーベンス・バリチェロ ジョーダン・ハート 2:21.163
1993 優勝 デイモン・ヒル ウィリアムズ・ルノー 1:24:32.124
ポールポジション アラン・プロスト ウィリアムズ・ルノー 1:47.571
1992 優勝 ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 1:36:10.721
ポールポジション ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ルノー 1:50.545
1991 優勝 アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:27:17.669
ポールポジション アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:47.811
1990 優勝 アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:26:31.997
ポールポジション アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:50.365
1989 優勝 アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:40:54.196
ポールポジション アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:50.867
1988 優勝 アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:28:00.549
ポールポジション アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:53.718
1987 優勝 アラン・プロスト マクラーレン・TAG 1:27:03.217
ポールポジション ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ホンダ 1:52.026
1996 優勝 ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ホンダ 1:27:57.925
ポールポジション ネルソン・ピケ ウィリアムズ・ホンダ 1:54.331
1985 優勝 アイルトン・セナ ロータス・ルノー 1:34:19.893
ポールポジション アラン・プロスト マクラーレン・TAG 1:55.306
1984 ゾルダーで開催
1983 優勝 アラン・プロスト ルノー 1:27:11.502
ポールポジション アラン・プロスト ルノー 2:04.615
1975-1982 ゾルダーで開催
1974 ニヴェルで開催
1973 ゾルダーで開催
1972 ニヴェルで開催
1971 安全上の懸念から未開催
1970 優勝 ペドロ・ロドリゲス BRM 1:38:09.900
ポールポジション ジャッキー・スチュワート マーチ・フォード 3:28.000
1968 優勝 ブルース・マクラーレン マクラーレン・フォード 1:40:02.100
ポールポジション クリス・エイモン フェラーリ 3:28.600
1967 優勝 ダン・ガーニー イーグル・ウェスレイク 1:40:49.400
ポールポジション ジム・クラーク ロータス・クライマックス 3:28.100
1966 優勝 ジョン・サーティース フェラーリ 2:09:11.300
ポールポジション ジョン・サーティース フェラーリ 3:38.000
1965 優勝 ジム・クラーク ロータス・クライマックス 2:23:34.800
ポールポジション グラハム・ヒル BRM 3:45.400
1964 優勝 ジム・クラーク ロータス・クライマックス 2:06:40.500
ポールポジション ダン・ガーニー ブラバム・クライマックス 3:50.900
1963 優勝 ジム・クラーク ロータス・クライマックス 2:27:47.600
ポールポジション グラハム・ヒル BRM 3:54.100
1962 優勝 ジム・クラーク ロータス・クライマックス 2:07:32.300
ポールポジション グラハム・ヒル BRM 3:57.000
1961 優勝 フィル・ヒル フェラーリ 2:03:03.800
ポールポジション フィル・ヒル フェラーリ 3:59.300
1960 優勝 ジャック・ブラバム クーパー・クライマックス 2:21:37.300
ポールポジション ジャック・ブラバム クーパー・クライマックス 3:50.000
1969 未開催
1958 優勝 トニー・ブルックス ヴァンウォール 1:37:06.300
ポールポジション マイク・ホーソーン フェラーリ 3:57.100
1969 スエズ危機後の予算上の理由により未開催
1956 優勝 ピーター・コリンズ フェラーリ 2:40:00.300
ポールポジション ファン・マヌエル・ファンジオ フェラーリ 4:09.800
1955 優勝 ファン・マヌエル・ファンジオ メルセデス 2:39:29.000
ポールポジション エウジェニオ・カステロッティ ランチア 4:18.100
1954 優勝 ファン・マヌエル・ファンジオ マセラティ 2:44:42.400
ポールポジション ファン・マヌエル・ファンジオ マセラティ 4:22.100
1953 優勝 アルベルト・アスカリ フェラーリ 2:48:30.300
ポールポジション ファン・マヌエル・ファンジオ マセラティ 4:30.100
1952 優勝 アルベルト・アスカリ フェラーリ 3:03:46.300
ポールポジション アルベルト・アスカリ フェラーリ 4:37.000
1951 優勝 ジュゼッペ・ファリーナ アルファロメオ 2:45:46.200
ポールポジション ファン・マヌエル・ファンジオ アルファロメオ 4:25.000
1950 優勝 ファン・マヌエル・ファンジオ アルファロメオ 2:47:26.000
ポールポジション ジュゼッペ・ファリーナ アルファロメオ 4:37.000

歴史と改修

第一次世界大戦末期、リエージュの新聞社「ラ・ムーズ」のオーナー、ジュール・ド・ティエが、大戦の影響で中断されていたカーレース「ラ・ムーズ・カップ」復活の場所として、スパ・フランコルシャンとマルメディ、スタヴェロを結ぶ32号線、23号線、440号線を使用したコースに目をつけた。

1921年8月に全長15.820kmのコースで初の自動車レースが開催されたが、エントリーが1名のみであったため、23台のオートバイを集めたレースが行われた。平均時速90kmで走ったノートン500ccのハッサルが優勝した。

1年後の1922年、ベルギー王立自動車クラブがフランコルシャンで “ベルギーGP “を開催した。トルナコ・ブリュイエール男爵がインペリア・アバダルを駆り、平均時速88.900kmで優勝した。

1924年には計時ブース、スコアボード、プレススタンドの建設を経て、第1回フランコルシャン24時間レースが開催された。1928年には未舗装であったコースにターマックが敷設された。

世界選手権化されたF1の初年度、1950年のベルギーGPではファン・マヌエル・ファンジオが優勝を飾った。翌年にはコース幅が6mから9mへと拡大された。

旧ロングコースでの最後の開催となった1970年のF1ベルギーGPでは、メキシコ人のペドロ・ロドリゲスが平均時速241kmで優勝した。安全性確保の観点から、1979年に全長を6.947kmへと短縮したレウアウト変更が行われた。

F1ベルギーGPの復活は1983年。フランス人のアラン・プロストがルノーを駆り優勝を飾った。

2007年には1,500万ユーロの予算で、新しい施設の建設が行われた。目玉はFIAの新基準に適合したピットだった。

2019年のFIA-F2選手権でのアントワーヌ・ユベールの事故死など、深刻な事故が相次いだ事を受け、2022年大会に向けて8,000万ユーロ(約109億363万円)の費用を投じコース改修を実施した。

安全性向上のためにラディオン(ターン4)脇のランオフエリアが拡充され、ラ・ソース(ターン1)やスタヴロ(ターン14)などのランオフエリアは、アスファルトからグラベルへと変更された。

2024年大会に先立っては以下の路面が再舗装された。

  • ターン17出口~ターン2入口
  • ターン4出口~ターン8入口
  • ターン14入口~ターン15出口
  • ピットレーンのファストレーン

サーキットの場所と地図

ベルギーの首都ブリュッセルの東、ドイツとの国境に近いアルデンヌの森を切り開いた場所に位置する。実際のところサーキットはスパになく、敷地はフランコルシャンとマルメディの周辺に位置している。

写真

オー・ルージュから眺めたスパ・フランコルシャンのパドックCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

オー・ルージュから眺めたスパ・フランコルシャンのパドック

スパ・フランコルシャンのオー・ルージュを上るスクーデリア・フェラーリSF1000、2020年F1ベルギーGPプラクティスにてCourtesy Of Ferrari S.p.A.

スパ・フランコルシャンのオー・ルージュを上るスクーデリア・フェラーリSF1000、2020年F1ベルギーGPプラクティスにて

上空に雨雲が垂れ込めたスパ・フランコルシャン、2018年F1ベルギーGP予選Courtesy Of Red Bull Content Pool

上空に雨雲が垂れ込めたスパ・フランコルシャン、2018年F1ベルギーGP予選

スパ・フランコルシャンのホームストレートCourtesy Of Red Bull Content Pool

スパ・フランコルシャンのホームストレート

タイヤスモークを上げながらルノーのニコ・ヒュルケンベルグとバトルするレッドブル・ホンダのアレックス・アルボン、2019年F1ベルギーGP決勝レースにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

タイヤスモークを上げながらルノーのニコ・ヒュルケンベルグとバトルするレッドブル・ホンダのアレックス・アルボン、2019年F1ベルギーGP決勝レースにて

2018年F1ベルギーGP決勝レースの1周目に発生した大クラッシュcopyright FORMULA 1

2018年F1ベルギーGP決勝レースの1周目に発生した大クラッシュ