エルマノス・ロドリゲス・サーキット
サーキット名 | エルマノス・ロドリゲス・サーキット |
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所在国 | メキシコ |
住所 | Granjas México, 08400 Mexico City, CDMX, Mexico |
設立年 | 1962年 |
設計 | ヘルマン・ティルケ(2015年再改修) |
全長 / コーナー数 | 4,304m / 16 |
最大高低差 | 3m |
周回数 | 71 |
ピット長 / 損失時間 | 379m / 19.2秒 |
ターン1までの距離*1 | 811m |
平均速度 | 189km/h |
最高速度 | 364.9km/h |
エンジン負荷と全開率*2 | 57% |
ブレーキ負荷と使用率 | 21% |
燃料消費レベルと量 | 1.48kg/周 |
フューエル・エフェクト | 0.31秒/10kg |
タイヤ負荷レベル | |
ダウンフォースレベル | |
グリップレベル | |
変速回数 | 36回/周 |
SC導入率 | 40% |
ウェット確率 | 20% |
WEBサイト | ahr.mx |
SNS | twitter facebook instagram |
*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離 *2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出
アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキット(スペイン語: Autódromo Hermanos Rodríguez)は、メキシコの首都メキシコシティにあるF1メキシコGPが開催されるレースサーキット。2015年に、23年ぶりにF1グランプリレースが開催された。
グランプリ復活に際してはヘルマン・ティルケがコース改修を担当。現在は使われていないフォロ・ソル野球場のグランドスタンド部分にコースを敷設し、非常に独特かつエキサイティングなサーキットを作り上げた。
ホンダがF1初勝利をあげた地(1965年のF1最終戦メキシコGP)としても知られている。小ネタであるが、ホンダのF1初勝利はグッドイヤーのF1初勝利でもあった。
復帰から5シーズン連続でFIAの年間最優秀プロモーター賞(Best Promoter of the Year)を独占。観客動員数はカレンダーの中でもトップクラスで、2019年シーズンはイギリスGPに次ぐ35万人もの観客を動員。2015年~2019年で160万人以上のファンが足を運ぶなど、地元経済を大きく潤している。
コースレイアウト
全長は僅か4,304mと、現行カレンダーの中ではザントフォールトとモナコに次いで3番目に短いが、ポールポジションから最初のブレーキングポイント(ターン1)までの距離は767mと、かつてロシアGPを開催したソチ・オートドロームに続いてF1で2番目に長い。
長い直線2本で構成されるセクター1、中速コーナーが連続するセクター2、低速コーナーが中心となるセクター3と、各セクター毎に特色が分かれている。
2015年の改修によって、重大事故が多発していた伝説的コーナー「ペラルターダ」は消滅。新たな最終コーナーは「ナイジェル・マンセル・ターン」と名づけられた。1990年のレース中にマンセルは、ペラルターダでゲルハルト・ベルガーに仕掛け、アウト側から決死のオーバーテイクを決めた。
最高速を記録するのはホームストレートエンドの1コーナー。時速360km以上に達する。モンツァに匹敵するスピードだが、減速に必要なダウンフォースが少ないためモンツァとは比較にならない位ブレーキングが難しい。
路面はかなりバンピーであり、マシン底部が路面と擦れて生じる火花が多く見られる。復活初年度はホコリが多くかなりダスティーであったが、15年に再舗装されたためグリップは向上。摩耗とデグラデーションはある程度改善された。ピットレーンが650mと長く、1回のストップでのタイムロスは約18秒程。1ストップ作戦が主流となる。
特徴
クルマに大きな影響を及ぼす2285mの標高
標高約2285mの高地に位置するため、海抜0m地点と比較して22%も空気が薄い(約780hPa)。これはF1カレンダーの中では抜きん出た数値であり、実際、2番目に高い海抜800mのインテルラゴスより1,500m近くも標高が高い。
空気が薄い=空気抵抗(ドラッグ)が少ない、という通常とは異なるコンディションは、エンジン性能や空力特性はもとよりマシン全体に大きな影響を及ぼし、その性能や操作性を変えてしまう。
低酸素は人間にとっても負担がかかるため、ドライバーは体を慣らすために通常よりも早めに現地入りする。
標高が高いにもかかわらず、F1では最も平坦なコースのひとつで、最も低い場所から最も高い場所までの標高差は2.8mしかない。
空力面への影響
空気抵抗が減少するため、トップスピードは飛躍的に上がる。1.314kmのホームストレートでは時速360km/hを超える速度に達する。これは超高速サーキットで知られる伊モンツァを凌ぐスピードであり、2015年のグランプリでは366km/hものスピードトラップが観測された。
チームは最大レベルのダウンフォース・パッケージを投入するものの、空気が薄いため、実際に使えるダウンフォースは超高速のモンツァよりも10%近く低い。モナコGPと同じ大きさのウイングを装着してなお、最高速度はモンツァを上回ってしまうのだから驚きだ。
約22%のダウンフォースが減少することでコーナリング時のグリップは低下し、コーナーの通過速度は下がる。ダウンフォースが得られないがためにドライブするのは本当に困難だ。
そもそも空気抵抗が少ないため、DRSの効果も限定的となる。
冷却面での影響
エンジンやカウルの内側、ブレーキダクト内に流入する空気量が減少するため、冷却的な要求が厳しい。
エルマノス・ロドリゲスの場合、1周走行するのにおよそ80秒を要するが、そのうちブレーキを使用する時間は約22秒、1ラップの約27%はブレーキングに費やされる。空気抵抗が少ないため、通常よりも長い時間ブレーキを踏まねばならず、その意味でもブレーキへの負荷は深刻だ。
ラジエーターのサイズは変更できないため、チームはブレーキダクトやサイドポッド前の空気取り入れ口の面積を2、3割拡大するが、それは冷却能力を向上させる反面、クルマのドラッグを増大させてしまうためバランスを取る事が重要だ。
冷却のためにブレーキディスクには1000を超える穴が開けられているもの、オーバーヒートの心配があってはドライバーは全力で攻めることができない。メキシコではブレーキやエンジンにトラブルが多い。オーバーヒートしたブレーキは摩耗が進み、グレージング(表面が焼けてテカテカになり摩擦力が低下すること)が発生したりする。
パワーユニットへの影響
空気が薄く出力が低下するため、これを補うためにタービンやコンプレッサーに大きな負荷がかかる。よってターボチャージャーやMGU-Hの信頼性と効率性が問われるわけだが、2017年のグランプリでは、ルノーエンジン勢のMGU-Hに多くのトラブルが発生した。
また、排気ガスの量が減ってしまうためMGU-Hで回生できるエネルギー量も減少する。
パワーユニットの性能は低下するものの、現代F1はハイブリットシステムを要していることもあり自然吸気エンジンに比べればその影響は小さい。自然吸気エンジンの場合は15%ほど出力が低下する。
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野球場を改修したスタジアムセクション
このサーキットの一番の特徴は、野球場を改修して作り上げたコース区間、通称スタジアムセクションであることに異論はあるまい。周囲360度が観客席に囲まれた独特の空間は圧巻。4万人の熱狂的なファンがひしめき合う。
スタジアムセクションに設置された表彰台でのセレモニーは、ティルケ改修後初開催となった2015年勝者、ニコ・ロズベルグをして「今までの人生で最高の表彰台だった」と言わしめたほどの圧巻ぶり。小林可夢偉が鈴鹿で3位表彰台を飾った2012年、我々は現地でサーキット中が震え上がるような歓声を目の当たりにしたが、15年のメキシコGPでのそれは、これに勝るとも劣らない、否、これを凌駕するほどの熱狂と興奮に包まれた。
何しろメキシコのファンは熱狂的だ。特に、地元出身のセルジオ・ペレスへの声援は鳥肌モノ。2018年のグランプリでのドライバーズパレードで、ペレスの後方を走行していたピエール・ガスリーは「あれは狂気だった」と、その凄まじさを表現した。
DRSなしでは辛いオーバーテイク
1kmを超えるロングストレートがあるとは言え、DRSなしでは抜きにくい。2018年のレースでは合計39回の追い抜きが記録されているが、その内25回はDRSを使用したオーバーテイクだった。
DRSゾーンは全部で3箇所。2019年にターン11の先に新たなゾーンが追加された。
年 | ピット総数 | 追い抜き | リタイヤ | ||
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通常 | DRS | 接触 | 機械的問題 | ||
2023年 | 38回 | 30回 | 32回 | 3台 | 0台 |
2022年 | 23回 | 1回 | 21回 | 1台 | 1台 |
2021年 | 25回 | 12回 | 13回 | 2台 | 0台 |
2019年 | 27回 | 6回 | 33回 | 0台 | 2台 |
2018年 | 29回 | 14回 | 25回 | 1台 | 3台 |
2017年 | 23回 | 4回 | 19回 | 0台 | 5台 |
2016年 | 28回 | 16回 | 10回 | 1台 | 0台 |
2015年 | 38回 | 9回 | 12回 | 2台 | 2台 |
コースレコード
タイム | ドライバー | チーム | 年 | |
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ラップレコード | 1:18.741 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 2018年 |
コースレコード | 1:14.759 | ダニエル・リカルド | レッドブル | 2018年 |
F1メキシコGP歴代ウィナーとポールシッター
開催年 | ドライバー | チーム | タイム | |
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2023 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 2:02:30.814 |
ポールポジション | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 1:17.166 | |
2022 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブルRBPT | 1:38:36.729 |
ポールポジション | マックス・フェルスタッペン | レッドブルRBPT | 1:17.775 | |
2021 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダ | 1:38:39.086 |
ポールポジション | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 1:15.875 | |
2020 | コロナの影響で中止 | |||
2019 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:36:48.904 |
ポールポジション | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 1:15.024 | |
2018 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・タグホイヤー | 1:38:28.851 |
ポールポジション | ダニエル・リカルド | レッドブル・タグホイヤー | 1:14.759 | |
2017 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・タグホイヤー | 1:36:26.552 |
ポールポジション | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 1:16.488 | |
2016 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:40:31.402 |
ポールポジション | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:18.704 | |
2015 | 優勝 | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | 1:42:35.038 |
ポールポジション | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | 1:19.480 | |
1992 | 優勝 | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ・ルノー | 1:16.346 |
ポールポジション | フェリペ・マッサ | フェラーリ | 1:26.907 | |
1991 | 優勝 | リカルド・パトレーゼ | ウィリアムズ・ルノー | 1:29:52.205 |
ポールポジション | リカルド・パトレーゼ | ウィリアムズ・ルノー | 1:16.696 | |
1990 | 優勝 | アラン・プロスト | フェラーリ | 1:32:35.783 |
ポールポジション | ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1:17.227 | |
1989 | 優勝 | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1:35:21.431 |
ポールポジション | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1:17.876 | |
1988 | 優勝 | アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1:30:15.737 |
ポールポジション | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1:17.468 | |
1987 | 優勝 | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ・ホンダ | 1:26:24.207 |
ポールポジション | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ・ホンダ | 1:18.383 | |
1986 | 優勝 | ゲルハルト・ベルガー | ベネトンBMW | 1:33:18.700 |
ポールポジション | アイルトン・セナ | ロータス・ルノー | 1:16.990 | |
1970 | 優勝 | ジャッキー・イクス | フェラーリ | 1:53:28.360 |
ポールポジション | クレイ・レガッツォーニ | フェラーリ | 1:41.860 | |
1969 | 優勝 | デニス・ハルム | マクラーレン・フォード | 1:54:08.800 |
ポールポジション | ジャック・ブラバム | ブラバム・クライマックス | 1:42.900 | |
1968 | 優勝 | グラハム・ヒル | ロータス・フォード | 1:56:43.950 |
ポールポジション | ジョー・シフェール | ロータス・フォード | 1:45.220 | |
1967 | 優勝 | ジム・クラーク | ロータス・フォード | 1:59:28.700 |
ポールポジション | ジム・クラーク | ロータス・フォード | 1:47.560 | |
1966 | 優勝 | ジョン・サーティース | クーパー・マセラティ | 2:06:35.340 |
ポールポジション | ジョン・サーティース | クーパー・マセラティ | 1:53.180 | |
1965 | 優勝 | リッチー・ギンサー | ホンダ | 2:08:32.100 |
ポールポジション | ジム・クラーク | ロータス・クライマックス | 1:56.170 | |
1964 | 優勝 | ダン・ガーニー | ブラバム・クライマックス | 2:09:50.320 |
ポールポジション | ジム・クラーク | ロータス・クライマックス | 1:57.240 | |
1963 | 優勝 | ジム・クラーク | ロータス・クライマックス | 2:09:52.100 |
ポールポジション | ジム・クラーク | ロータス・クライマックス | 1:58.800 |
サーキットの場所・アクセス
メキシコシティの市街地に位置するため、アクセスは容易。サーキット周辺には多くの建物が並んでいる。