エルマノス・ロドリゲス・サーキット

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サーキットデータ
サーキット名エルマノス・ロドリゲス・サーキット
所在国メキシコ
住所Granjas México, 08400 Mexico City, CDMX, Mexico
設立年1962年
設計ヘルマン・ティルケ(2015年再改修)
最大高低差3m
周回数71
ターン1までの距離*1768m
平均速度189km/h
最高速度364.9km/h
変速回数50回/周
SC導入率60%
ウェット確率8%
全長 / コーナー数4,304m / 16
ピット長 / 損失時間*2379m / 17秒
エンジン負荷と全開率*3 45%
ブレーキ負荷と使用率 21%
燃料消費レベルと量 1.48kg/周
フューエル・エフェクト 0.31秒/10kg
タイヤ負荷レベル
ダウンフォースレベル
グリップレベル
WEBサイト ahr.mx
SNS x instagram
*1ポールから最初の制動地点までの距離
*2制限速度でのピット通過時間
*3全開率は時間ベース

アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキット(スペイン語: Autódromo Hermanos Rodríguez)は、メキシコの首都メキシコシティにあるF1メキシコGPが開催されるレースサーキット。2015年に、23年ぶりにF1グランプリレースが開催された。

グランプリ復活に際してはヘルマン・ティルケがコース改修を担当。現在は使われていないフォロ・ソル野球場のグランドスタンド部分にコースを敷設し、非常に独特かつエキサイティングなサーキットを作り上げた。

エルマノス・ロドリゲス・サーキットの最終セクション、旧フォロ・ソル野球場のグランドスタンド観戦席、2025年10月23日F1メキシコGPメディアデー (1)Courtesy Of McLaren

エルマノス・ロドリゲス・サーキットの最終セクション、旧フォロ・ソル野球場のグランドスタンド観戦席、2025年10月23日F1メキシコGPメディアデー (1)

ホンダがF1初勝利をあげた地(1965年のF1最終戦メキシコGP)としても知られている。小ネタであるが、ホンダのF1初勝利はグッドイヤーのF1初勝利でもあった。

復帰から5シーズン連続でFIAの年間最優秀プロモーター賞(Best Promoter of the Year)を独占。観客動員数はカレンダーの中でもトップクラスで、2019年シーズンはイギリスGPに次ぐ35万人もの観客を動員。2015年~2019年で160万人以上のファンが足を運ぶなど、地元経済を大きく潤している。

手前からターン6、ターン5、ターン4、エルマノス・ロドリゲス・サーキットにてCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

手前からターン6、ターン5、ターン4、エルマノス・ロドリゲス・サーキットにて

コースレイアウト

全長は僅か4,304mと、現行カレンダーの中ではザントフォールトとモナコに次いで3番目に短いが、ポールポジションから最初のブレーキングポイント(ターン1)までの距離は767mと、かつてロシアGPを開催したソチ・オートドロームに続く長さで、現行カレンダーの中では最も長い。

エルマノス・ロドリゲス・サーキット(F1メキシコGP)のコースレイアウト図copyright Formula1 Data

エルマノス・ロドリゲス・サーキット(F1メキシコGP)のコースレイアウト図

長い直線2本で構成されるセクター1、中速コーナーが連続するセクター2、低速コーナーが中心となるセクター3と、各セクター毎に特色が分かれている。

2015年の改修によって、重大事故が多発していた伝説的コーナー「ペラルターダ」は消滅。新たな最終コーナーは「ナイジェル・マンセル・ターン」と名づけられた。1990年のレース中にマンセルは、ペラルターダでゲルハルト・ベルガーに仕掛け、アウト側から決死のオーバーテイクを決めた。

最高速を記録するのはホームストレートエンドの1コーナー。時速360km以上に達する。モンツァに匹敵するスピードだが、減速に必要なダウンフォースが少ないためモンツァとは比較にならない位ブレーキングが難しい。

オープニングラップのターン1に向かうF1マシン、2023年10月29日F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

オープニングラップのターン1に向かうF1マシン、2023年10月29日F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

路面はかなりバンピーであり、マシン底部が路面と擦れて生じる火花が多く見られる。復活初年度はホコリが多くかなりダスティーであったが、15年に再舗装されたためグリップは向上。摩耗とデグラデーションはある程度改善された。

特徴

クルマに大きな影響を及ぼす2285mの標高

F1メキシコGPが開催される同国の首都メキシコシティの空撮画像、2025年10月23日Courtesy Of McLaren

F1メキシコGPが開催される同国の首都メキシコシティの空撮画像、2025年10月23日

標高約2285mの高地に位置するため、海抜0m地点と比較して22%も空気が薄い(約780hPa)。これはF1カレンダーの中では抜きん出た数値であり、実際、2番目に高い海抜800mのインテルラゴスより1,500m近くも標高が高い。

空気が薄い=空気抵抗(ドラッグ)が少ない、という通常とは異なるコンディションは、エンジン性能や空力特性はもとよりマシン全体に大きな影響を及ぼし、その性能や操作性を変えてしまう。

低酸素は人間にとっても負担がかかるため、ドライバーは体を慣らすために通常よりも早めに現地入りする。

標高が高いにもかかわらず、F1では最も平坦なコースのひとつで、最も低い場所から最も高い場所までの標高差は2.8mしかない。

空力面への影響

空気抵抗が減少するため、トップスピードは飛躍的に上がる。1.314kmのホームストレートでは時速360km/hを超える速度に達する。これは超高速サーキットで知られる伊モンツァを凌ぐスピードであり、2015年のグランプリでは366km/hものスピードトラップが観測された。

チームは最大レベルのダウンフォース・パッケージを投入するものの、空気が薄いため、実際に使えるダウンフォースは超高速のモンツァよりも10%近く低い。モナコGPと同じ大きさのウイングを装着してなお、最高速度はモンツァを上回ってしまうのだから驚きだ。

約22%のダウンフォースが減少することでコーナリング時のグリップは低下し、コーナーの通過速度は下がる。ダウンフォースが得られないがためにドライブするのは本当に困難だ。

そもそも空気抵抗が少ないため、DRSの効果も限定的となる。

冷却面での影響

エンジンやカウルの内側、ブレーキダクト内に流入する空気量が減少するため、冷却的な要求が厳しい。

エルマノス・ロドリゲスの場合、1周走行するのにおよそ80秒を要するが、そのうちブレーキを使用する時間は約22秒、1ラップの約27%はブレーキングに費やされる。空気抵抗が少ないため、通常よりも長い時間ブレーキを踏まねばならず、その意味でもブレーキへの負荷は深刻だ。

ラジエーターのサイズは変更できないため、チームはブレーキダクトやサイドポッド前の空気取り入れ口の面積を2、3割拡大するが、それは冷却能力を向上させる反面、クルマのドラッグを増大させてしまうためバランスを取る事が重要だ。

冷却のためにブレーキディスクには1000を超える穴が開けられているもの、オーバーヒートの心配があってはドライバーは全力で攻めることができない。メキシコではブレーキやエンジンにトラブルが多い。オーバーヒートしたブレーキは摩耗が進み、グレージング(表面が焼けてテカテカになり摩擦力が低下すること)が発生したりする。

パワーユニットへの影響

空気が薄く出力が低下するため、これを補うためにタービンやコンプレッサーに大きな負荷がかかる。よってターボチャージャーやMGU-Hの信頼性と効率性が問われるわけだが、2017年のグランプリでは、ルノーエンジン勢のMGU-Hに多くのトラブルが発生した。

また、排気ガスの量が減ってしまうためMGU-Hで回生できるエネルギー量も減少する。

パワーユニットの性能は低下するものの、現代F1はハイブリットシステムを要していることもあり自然吸気エンジンに比べればその影響は小さい。自然吸気エンジンの場合は15%ほど出力が低下する。

フロービスを塗ったアルファタウリAT04でエルマノス・ロドリゲス・サーキットを周回するアイザック・ハジャー、2023年10月27日F1メキシコGP FP1Courtesy Of Red Bull Content Pool

フロービスを塗ったアルファタウリAT04でエルマノス・ロドリゲス・サーキットを周回するアイザック・ハジャー、2023年10月27日F1メキシコGP FP1

野球場を改修したスタジアムセクション

このサーキットの一番の特徴は、野球場を改修して作り上げたコース区間、通称スタジアムセクションであることに異論はあるまい。周囲360度が観客席に囲まれた独特の空間は圧巻。4万人の熱狂的なファンがひしめき合う。

スタジアムスタンドで母国出身のセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)を応援するファン、2021年11月5日F1メキシコGPフリー走行にてCourtesy Of Red Bull Content Pool

スタジアムスタンドで母国出身のセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)を応援するファン、2021年11月5日F1メキシコGPフリー走行にて

スタジアムセクションに設置された表彰台でのセレモニーは、ティルケ改修後初開催となった2015年勝者、ニコ・ロズベルグをして「今までの人生で最高の表彰台だった」と言わしめたほどの圧巻ぶり。小林可夢偉が鈴鹿で3位表彰台を飾った2012年、我々は現地でサーキット中が震え上がるような歓声を目の当たりにしたが、15年のメキシコGPでのそれは、これに勝るとも劣らない、否、これを凌駕するほどの熱狂と興奮に包まれた。

何しろメキシコのファンは熱狂的だ。特に、地元出身のセルジオ・ペレスへの声援は鳥肌モノ。2018年のグランプリでのドライバーズパレードで、ペレスの後方を走行していたピエール・ガスリーは「あれは狂気だった」と、その凄まじさを表現した。

DRSなしでは辛いオーバーテイク

1kmを超えるロングストレートがあるとは言え、DRSなしでは抜きにくい。2018年のレースでは合計39回の追い抜きが記録されているが、その内25回はDRSを使用したオーバーテイクだった。

DRSゾーンは全部で3箇所。2019年にターン11の先に新たなゾーンが追加された。

年 追い抜き リタイヤ ピット回数
通常 DRS 接触 故障
2025 – – – – –
2024 12 42 2 1 21
2023 38 30 3 0
2022 23 1 1 1
2021 25 12 2 0
2020 中止
2019 27 6 0 2
2018 29 14 1 3
2017 23 4 0 5
2016 28 16 1 0
2015 38 9 2 2

コースレコード

タイム ドライバー チーム 年
ラップレコード 1:17.774 バルテリ・ボッタス メルセデス 2021年
コースレコード 1:14.758 マックス・フェルスタッペン レッドブル 2019年

F1メキシコGP歴代ウィナーとポールシッター

開催年 ドライバー チーム タイム
2024 優勝 カルロス・サインツ フェラーリ 1:40:55.800
ポールポジション カルロス・サインツ フェラーリ 1:15.946
2023 優勝 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 2:02:30.814
ポールポジション シャルル・ルクレール フェラーリ 1:17.166
2022 優勝 マックス・フェルスタッペン レッドブルRBPT 1:38:36.729
ポールポジション マックス・フェルスタッペン レッドブルRBPT 1:17.775
2021 優勝 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:38:39.086
ポールポジション バルテリ・ボッタス メルセデス 1:15.875
2020 コロナの影響で中止
2019 優勝 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:36:48.904
ポールポジション シャルル・ルクレール フェラーリ 1:15.024
2018 優勝 マックス・フェルスタッペン レッドブル・タグホイヤー 1:38:28.851
ポールポジション ダニエル・リカルド レッドブル・タグホイヤー 1:14.759
2017 優勝 マックス・フェルスタッペン レッドブル・タグホイヤー 1:36:26.552
ポールポジション セバスチャン・ベッテル フェラーリ 1:16.488
2016 優勝 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:40:31.402
ポールポジション ルイス・ハミルトン メルセデス 1:18.704
2015 優勝 ニコ・ロズベルグ メルセデス 1:42:35.038
ポールポジション ニコ・ロズベルグ メルセデス 1:19.480
1992 優勝 ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ルノー 1:16.346
ポールポジション フェリペ・マッサ フェラーリ 1:26.907
1991 優勝 リカルド・パトレーゼ ウィリアムズ・ルノー 1:29:52.205
ポールポジション リカルド・パトレーゼ ウィリアムズ・ルノー 1:16.696
1990 優勝 アラン・プロスト フェラーリ 1:32:35.783
ポールポジション ゲルハルト・ベルガー マクラーレン・ホンダ 1:17.227
1989 優勝 アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:35:21.431
ポールポジション アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:17.876
1988 優勝 アラン・プロスト マクラーレン・ホンダ 1:30:15.737
ポールポジション アイルトン・セナ マクラーレン・ホンダ 1:17.468
1987 優勝 ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ホンダ 1:26:24.207
ポールポジション ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ホンダ 1:18.383
1986 優勝 ゲルハルト・ベルガー ベネトンBMW 1:33:18.700
ポールポジション アイルトン・セナ ロータス・ルノー 1:16.990
1970 優勝 ジャッキー・イクス フェラーリ 1:53:28.360
ポールポジション クレイ・レガッツォーニ フェラーリ 1:41.860
1969 優勝 デニス・ハルム マクラーレン・フォード 1:54:08.800
ポールポジション ジャック・ブラバム ブラバム・クライマックス 1:42.900
1968 優勝 グラハム・ヒル ロータス・フォード 1:56:43.950
ポールポジション ジョー・シフェール ロータス・フォード 1:45.220
1967 優勝 ジム・クラーク ロータス・フォード 1:59:28.700
ポールポジション ジム・クラーク ロータス・フォード 1:47.560
1966 優勝 ジョン・サーティース クーパー・マセラティ 2:06:35.340
ポールポジション ジョン・サーティース クーパー・マセラティ 1:53.180
1965 優勝 リッチー・ギンサー ホンダ 2:08:32.100
ポールポジション ジム・クラーク ロータス・クライマックス 1:56.170
1964 優勝 ダン・ガーニー ブラバム・クライマックス 2:09:50.320
ポールポジション ジム・クラーク ロータス・クライマックス 1:57.240
1963 優勝 ジム・クラーク ロータス・クライマックス 2:09:52.100
ポールポジション ジム・クラーク ロータス・クライマックス 1:58.800

サーキットの場所・アクセス

メキシコシティの市街地に位置するため、アクセスは容易。サーキット周辺には多くの建物が並んでいる。

画像

エルマノス・ロドリゲス・サーキットを走行するメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年11月5日F1メキシコGPフリー走行にてCourtesy Of Daimler AG

エルマノス・ロドリゲス・サーキットを走行するメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年11月5日F1メキシコGPフリー走行にて

設営中のエルマノス・ロドリゲス・サーキットCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

設営中のエルマノス・ロドリゲス・サーキット

エルマノス・ロドリゲス・サーキットの最終ターン17「マンセルコーナー」Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

エルマノス・ロドリゲス・サーキットの最終ターン17「マンセルコーナー」

エルマノス・ロドリゲス・サーキットを周回するジョージ・ラッセル(メルセデス)、2022年10月28日F1メキシコGPCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

エルマノス・ロドリゲス・サーキットを周回するジョージ・ラッセル(メルセデス)、2022年10月28日F1メキシコGP

ドライバーズパレードに参加するスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅とダニエル・リカルド、2023年10月29日(日) F1メキシコGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ドライバーズパレードに参加するスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅とダニエル・リカルド、2023年10月29日(日) F1メキシコGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

エルマノス・ロドリゲス・サーキットの最終コーナーへと向かうカルロス・サインツ(フェラーリ)、2022年10月28日F1メキシコGPCourtesy Of Ferrari S.p.A.

エルマノス・ロドリゲス・サーキットの最終コーナーへと向かうカルロス・サインツ(フェラーリ)、2022年10月28日F1メキシコGP

トロフィーを掲げるルイス・ハミルトンとメルセデスW10、2019年F1メキシコGP表彰台セレモニーCourtesy Of Daimler AG

トロフィーを掲げるルイス・ハミルトンとメルセデスW10、2019年F1メキシコGP表彰台セレモニー