
ルクレール、アントネッリ批判も冷静「新人のミスとは言わない」フェラーリは”謝罪”を評価―オランダDNF衝突をめぐり
2025年F1第15戦オランダGPは、フェラーリにとってまさに悪夢のような結末となった。終盤、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がターン3でシャルル・ルクレールに衝突。ルクレールはそのままバリアへクラッシュし、リタイアを余儀なくされた。
アントネッリはレースを続行したものの、このインシデントで10秒、さらにピットレーン速度違反で5秒のペナルティを受け、6位でチェッカーを受けながらも最終的には16位へ降格した。衝突の件については2点のペナルティポイントも科され、直近12ヶ月間の累積点は4点となった。
表彰台圏内をうかがう位置にいたルクレールは、残り周回をコースサイドの砂丘から失意の表情で見届けるしかなかった。
ルクレール「新人のミスとは言わない」
レース後、ルクレールは「キミがターン3のイン側で楽観的すぎたのが原因だ」と批判したが、一方では冷静に「ドライバーはアグレッシブであるべきだし、ミスは起こり得るもの」と一定の理解を示し、「ただ、良いレースをしていただけに本当に辛い」と付け加えた。
「オーバーテイクが難しいコースだけに積極的になる必要があるのは分かるけど、今回はやりすぎだった」
さらに「あれはルーキーのミスとは言わない。1年目でも5年目でも起こりうるミスだ」とも述べ、アントネッリの経験不足に直接結びつけることは避けた。
アントネッリは謝罪「明らかに僕の責任」
一方のアントネッリは「レースは順調でペースも良かったけど、不運にも接触してしまった」と説明。「トライ」した結果、ルクレールをリタイアに追い込んでしまい「申し訳なく思ってる」と謝罪した。
また、「明らかに僕の責任だ。避けようとしたけど間に合わなかった」と語り「シャルルとチームに申し訳ない」と強調した。
フェラーリのフレデリック・バスール代表は、レース後にアントネッリが謝罪に訪れたことを明かし、「正直、この行為は評価している」と述べつつ、「ザントフォールトは追い抜きが難しく、リスクを取らざるを得ない。彼はリスクを取り、結果としてミスをした」と分析した。
デビューイヤーを過ごすアントネッリは、今季ここまでの15戦中8戦でノーポイント。特に直近9戦では入賞わずか2回と苦戦が続いている。それでも「決してレースペースは悪くないから、予選を改善して前からスタートできれば展開は大きく変わるはず」と前を向いた。
母国レースを前に漂う暗雲
ティフォシの聖地モンツァでの母国レースを1週間後に控え、フェラーリはオランダGPをダブルリタイアで終えた。ルイス・ハミルトンもルクレールと同じコーナーで単独クラッシュを喫した。
さらにハミルトンにはレース後、レコノサンス・ラップでのダブルイエロー無視により、次戦イタリアGPでの5グリッド降格処分が言い渡された。
一方ルクレールは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)との接触については「レーシングインシデント」と裁定され処分を免れたが、フェラーリとしてはダメージの大きい週末となった。メルセデスはアントネッリの件を踏まえ、聴聞においてラッセルの非を強硬に主張しなかった。
両者が揃ってノーポイントに終わったのは、今年3月の中国GPでのダブル失格以来初めてのことだった。
2025年F1第15戦オランダGP決勝レースでは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)が続く結果となった。
モンツァ・サーキットを舞台とする次戦イタリアGPは、9月5日のフリー走行1で幕を開ける。