
ザウバーの判断は正しかった? 踏まれた破片、車体損傷もレース続行―ボルトレートが処分を免れた理由
ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)は2025年F1第15戦オランダGP序盤、ランス・ストロール(アストンマーチン)と接触し、フロントウイングの左翼端板を損傷した。そのまま走行を続けたため、後方にいたオリバー・ベアマン(ハース)は無線で「怖いんだけど」と”アピール”した。
やがて翼端板はコース上に脱落。皮肉にもストロールを含む複数台が破片を踏む格好となったが、幸いにもパンクなど深刻な被害は発生せず、レース進行に直接的な影響は及ばなかった。
翼端板は構造部品に非ず、スチュワード判断
サウバーがピットに入ってウイング交換を行わなかったことを受け、スチュワードはレース後、F1競技規則第26条10項違反の疑いでチーム及びボルトレートを召喚した。同条項は、構造部品に重大かつ明白な損傷があり、それが即座にドライバーや他者を危険にさらす状態にある場合、ピットレーンへ入ることを義務づけている。
通常、危険と判断された際にはオレンジボール・フラッグが提示され、ピットインが命じられるが、今回はボルトレートに対しその旗が振られることはなかった。
スチュワードは「第26.10条は適用されない。なぜなら、翼端板は構造部品ではないとFIA代表が認めたからだ」と説明した。ザウバー側は、ウイングの構造そのものは完全性を保っていたとして、走行継続の判断を下していた。
Courtesy Of Sauber Motorsport AG
フロントウイング左翼端板が破損したザウバーC45フェラーリをドライブするガブリエル・ボルトレート、2025年8月31日(日) F1オランダGP決勝(ザントフォールト・サーキット)
「REF: No F1Tm/07-24」の適応対象外
さらにスチュワードは、各チームのスポーティング・ディレクター宛に出されている指令「REF: No F1Tm/07-24」についても検討した。この指令は、オレンジボールが出されなくても、状況次第でチームが自主的に対処すべきケースを定めている。
だが今回の事案では、翼端板の脱落はセーフティーカー(SC)やバーチャル・セーフティーカー(VSC)の導入を必要とせず、他車に損傷を与える結果にもつながらなかったため、同指令の適用対象外と判断された。
Courtesy Of Sauber Motorsport AG
グリッド上で担当レースエンジニアのホセ・マヌエル・ロペス・ガルシアと会話するガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)、2025年8月31日(日) F1オランダGP決勝(ザントフォールト・サーキット)
2025年F1第15戦オランダGP決勝レースでは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)が続く結果となった。
モンツァ・サーキットを舞台とする次戦イタリアGPは、9月5日のフリー走行1で幕を開ける。