シルバーストーン・サーキットcreativeCommons Silverstone Circuit

シルバーストーン・サーキット

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サーキットデータ

名前 シルバーストーン・サーキット
所在国 イギリス
設立年 1947年
デザイン ポピュラス建築事務所
コース全長 5,891m | 18コーナー
周回数 52周 | 時計回り
ピットレーン長 508.9m| 22.81秒
最初の制動地点までの距離 644.2m
平均速度 226.4km/h
最高速度 346.8km/h
エンジン負荷レベル
全長に対する割合
| 全開率 : 81%
ブレーキ負荷レベル
燃料消費量 | 2.02kg/周
フューエル・エフェクト | 0.37秒/10kg
タイヤ負荷レベル
エアロ重要度
セーフティーカー出動率 100%
ウェット確率 12%
収容人数 150,000人
レコード 1分30秒621 L.ハミルトン / Mercedes / 2018年
WEBサイト www.silverstone.co.uk
SNS instagram

シルバーストーン・サーキット(英:Silverstone Circuit)とは、イギリス・ノーサンプトンシャーとバッキンガムシャーをまたいだ所に位置するサーキット。第二次世界大戦で使われたイギリス空軍飛行場の跡地に建設され、三角形をした3本の滑走路がそのままコースとして使われている。ターン14へと続く直線区間が「ハンガー(英:航空機格納庫)ストレート」と呼ばれるなど、名残を残す。

1950年にF1世界選手権としての初のグランプリが開催されたサーキットで、ほぼ全てのF1チームがシルバーストーン近郊に本拠地を構える。その内の2チームは10分以内という近場で、ホンダとレッドブル・レーシングも車で40分ほどのミルトン・キーンズに拠点を構える。まさに「モータースポーツの聖地」「F1のホームグランプリ」と呼ぶに相応しい。界隈は「モータースポーツビレッジ」とも呼ばれる。

飛行場の建設は1943年。初めてレースが開催されたのは1947年で、地元住人のモーリス・ジョーヒガンが飛行場跡地への忍込み、廃墟となった滑走路と周辺道路を使って、友人11名と共に2マイル(約 3.2km)で違法レースをしたのが始まりだった。その時ジョーヒガンがレース中に1頭の羊をはねてしまった事から”マトン(羊肉)グランプリ”と呼ばれたりもする。

Silverstone circuit photocreativeCommonsSilverstone Circuits Limited

コースレイアウト

全長5.891kmのシルバーストーン・サーキットはカレンダーの中で3番目に長い。これを超えるのはスパ・フランコルシャン(7.004km)とバクー市街地サーキット(6.003km)のみ。

有名なマゴッツ、ベケッツ、チャペルと続く超高速コーナーに代表されるように、ハイダウンフォース・パッケージが要求される高速サーキットだが、現在のレイアウトは低・中・高速のコーナーが混在しているため、セットアップ面で妥協が強いられる。

シルバーストーン・サーキットのコースレイアウト図、2019年版

ダウンフォースが著しく向上した現代のF1マシンにおいては、あらゆる高速コーナーが”ストレート化”している。今やターン1・2やコップス(ターン9)、マゴッツ(ターン11)はエンジン全開区間であり、全長の約81%区間はアクセルべた踏みで、ラップタイム向上のためにはこれまで以上に高いエンジン馬力が求められる。

特徴

分析され尽くしたサーキット

シルバーストーンはF1の中心地ヨーロッパに位置し長い歴史を持つだけ、ドライバーにとってもチームにとってもある種「知り尽くした」サーキットである。1950年のF1世界選手権初開催から数えて10度の変更を経ているとは言え、バクー市街地コース等と比べれば遥かに馴染みがある。同じようなコースは、鈴鹿、モナコ、モンツァ、スパ、バルセロナなど、現在ではかなり数が限られる。

確かに、マゴッツやべケッツをはじめとするテクニカルな要素が多いためドライバーズサーキットとも称されるが、予測不可能性が低いという意味ではシャシー性能が歴然と表れるコースとも言える。

オーバーテイク

2018年のイギリスGPで計測されたオーバーテイク数は30回で、その内DRSを使ったオーバーテイクは21回。2019年は計23回の内、DRSを使ったものが16回だった。高速コーナーが多いことから後続車はダーティーエアーの影響を受けやすく、決して追い抜きが簡単なコースとは言えない。

2018年にホームストレートがDRS区間となり計3箇所へと増加されたものの、翌2019年には廃止となり、従来どおりウェリントンストレート(ターン5~6)と、ハンガーストレート(ターン14~15)の2箇所のみに変更された。

DRSはその仕組み上、ブレーキを踏むと同時に閉じるシステムであるため、廃止された旧DRS1では、ターン1とターン2をノーブレーキで通過することで、DRS区間終了後のターン3までの間でDRSが使用出来る特殊な状況となっていた。

コースレコード

決勝レースで計測される史上最速の”ラップレコード”は、2020年のイギリスGPでレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが記録した1分27秒097。一方の”コース・レコード”は同じく2020年のイギリスGPでルイス・ハミルトンが予選Q3でマークした1分24秒303となっている。

ラップレコード 1:27.097(フェルスタッペン/Red Bull、2020年)
コースレコード 1:24.303(ハミルトン/Mercedes、2020年)

気紛れなブリティッシュ・ウェザー

英国特有の変わりやすく気まぐれな天気=ブリティッシュ・ウェザーは、レースをしばしば混沌に導く。風向きも比較的頻繁に変化するため、クルマのバランスとドライバーのドライビングスタイルに影響を与える。風向きの変化は、ブレーキポイントやエイペックスの通過速度、スロットルなど、あらゆる操作に影響する。

カレンダー最大の平均横G

最大荷重は5.5G(ターン13:ベケッツ、ターン15:ストウ)を超えるが、これは発射するロケットの中で宇宙飛行士が耐えなければならないGフォースの2倍に達する。ヘルメットを着用した人間の頭の平均重量は7kgであり、ドライバーの首が35kgの力で左右に引っ張られる事を意味する。1周を通しての横方向の平均Gフォースは2.8Gで、これはカレンダーの中で最大。ポールリカールと鈴鹿が僅差で続く。

改修の歴史

シルバーストーンを所有するBRDCは、高額な開催権料に不満を募らせF1側と対立。2020年以降の存続が危ぶまれ、ロンドンのドックランズ地区を使った市街地での開催が模索されるなどしていたが、2019年のイギリスGPを前に、英国国会議員を務めるジェフリー・ドナルドソンとピーター・ヘインの両氏がF1のチェイス・ケアリーCEOと会談。一転して2024年までの存続が決定した。

1952年 コントロールラインがファームストレート(かわいい名前)から現在の位置へ
1973年 ジョディ・シェクターがウッドコート(Woodcote)コーナーでスピンし、ピットレーンに突っ込んだことをきっかけにタイヤバリアが設置
1975年 ウッドコートにシケインを設置
1990年 グランプリ終了後、翌年開催に間に合うように再び改修工事
1994年 セナの事故死を受けて、減速と安全性向上のためにストウコーナーと全開のアビーをはじめ大幅に改修
2010年 コース改修。新たに760mのストレートおよび低速コーナーが加わり、モンツァ・サーキットと並ぶ高速サーキットに変貌
2018年 路面全面再舗装
2019年 路面全面再々舗装

シルバーストーンは2018年に路面を全面再舗装したものの、排水性の悪さ故に同年のMotoGP第12戦イギリスGPは、全クラスの決勝レースが雨のために開催中止となった。F1ドライバーからも不評で、ルイス・ハミルトンは「史上最悪の仕事だ」と酷評した。

MotoGPを統括する国際モーターサイクリズム連盟が、シルバーストーンのライセンスを取り消しとする処分を下し、再発行の条件として運営者側に路面の全面再舗装を要求。その結果、シルバーストーンは前回再舗装を依頼したAggregate Industries社ではなく、イタリアのサーキットコンサルタント会社であるDromoに再々舗装の発注を出した。

新たなサーフェスは従来の6倍の強度を誇るアスファルト混合物で施工され、2019年の6月末に工事が完了。F1イギリスGPは2年連続で未知の路面でのレースを行う事となった。

サーキットの場所と地図

写真

シルバーストーン・サーキットのパドック

シルバーストーン・サーキットのホームストレート

スターティンググリッドにつきレース開始を待つF1マシン、2019年F1イギリスGP

シルバーストーン・サーキットの最終セクション