
バルテリ・ボッタス、今季F1シート電撃復帰の可能性が浮上
メルセデスのF1リザーブ・ドライバーを務めるバルテリ・ボッタスが、2025年シーズン中にアルピーヌのF1レースシートを獲得する可能性が取り沙汰されている。英専門メディア『The Race』によると、アルピーヌの実質的なトップ、フラビオ・ブリアトーレがすでにメルセデス側に接触し、ボッタスの起用について打診したという。
交渉はまだ初期段階にあるとされるが、ブリアトーレがフランコ・コラピントの後任を本格的に検討しているとの情報は他の情報筋からも伝えられており、水面下で具体的な動きが始まっている可能性は高い。
コラピントはエミリア・ロマーニャGP以降、ジャック・ドゥーハンに代わって出走しているが、ここまでの最高位はモナコとカナダでの13位。今季、アルピーヌがこれまでに獲得した全11ポイントは、ピエール・ガスリー一人によるものであり、ドゥーハンおよびコラピントはいずれも貢献できていない。
Courtesy Of Sauber Motorsport AG
決勝前のドライバーズパレードでファンに手を振るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、フランコ・コラピント(アルピーヌ)、オリバー・ベアマン(ハース)、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP決勝(イモラ・サーキット)
前戦オーストリアGPの予選当日には、アルピーヌがコラピント本人およびそのマネジメント陣に対し、「結果を出す必要がある」と明確に通告したと囁かれている。実際、予選後にブリアトーレが「フランコはQ1は突破したが、Q3には遠く及ばなかった」と語ったように、チーム内における評価は厳しさを増している。
決勝では、角田裕毅(レッドブル)との接触でマシンにダメージを負い、最終的に15位でフィニッシュ。また、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)をコース外に押し出した行為により5秒ペナルティを科されるなど、週末全体としても印象をさらに悪化させる結果となった。
ブリアトーレはレース後、「正直に言って、現在のパフォーマンスレベルにはますます懸念を感じている」と述べ、チームの現状に対する強い危機感をあらわにした。
一方で、コラピント本人は「特に不安は感じてない。彼(ブリアトーレ)はずっと僕をサポートしてくれているし、自分の判断にも自信を持ってると思う」と語り、自らの立場は安泰であると主張しているが、実際にはチーム内部で彼の交代が真剣に検討されていると見られる。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ポジション争いを繰り広げるフランコ・コラピント(アルピーヌ)と角田裕毅(レッドブル)、2025年6月29日(日) F1オーストリアGP決勝(レッドブル・リンク)
こうした中、F1キャリア通算10勝の実績を持つバルテリ・ボッタスは、その豊富な経験と優れた技術的フィードバック能力の両面において、フラビオ・ブリアトーレの高い評価を得ている模様だ。
ボッタスは昨季限りでザウバーを離脱して以降、F1復帰への強い意欲を公言しており、現在は2026年に新規参戦を予定しているキャデラックとの交渉を進めているとされている。
なお、ボッタスと現在契約を結んでいるメルセデスは、2026年からアルピーヌにパワーユニットを供給する予定となっており、今回の移籍の可能性についても特に問題視していないとされている。
こうした状況を踏まえると、フランスの多国籍自動車メーカーであるルノー傘下のスポーツカーブランドとしてF1に参戦しながらも、コンストラクターズ選手権最下位という不名誉な位置に甘んじるアルピーヌが、シーズン途中に経験豊富なベテランドライバーを“切り札”として投入するというシナリオは、決して眉唾物とは言えないだろう。