角田裕毅「すごく可愛い」メキーズ再会に笑みも…ホーナー”激励”の陰で再び「数段遅れ」のベルギーGP

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角田裕毅(レッドブル・レーシング)は、直近5戦でのポイント獲得がゼロ、予選でも11番手より上位に食い込めない厳しい状況が続いているが、今週末のF1第13戦ベルギーGPを前に、ローラン・メキーズのチーム代表就任という心強い追い風が吹いた。

メキーズはこれまで、レッドブルのセカンドチームであるレーシング・ブルズでチーム代表を務めており、角田との間には既に深い信頼関係が築かれている。両者が最後に一緒に仕事をしたのは、今年3月の中国GP。その後、角田はリアム・ローソンに代わってレッドブルに昇格した。

再会に笑顔「寂しかったよ」とメキーズ

ベルギーGPを前にスパ入りした角田は、「彼とはすでに良い関係を築いています。一緒に働いた経験があるので、彼の仕事のやり方は分かっていますし、彼がチームにもたらしてくれるものも、よく理解しています。また一緒に仕事ができるのが本当に楽しみです」と歓迎の意を示した。

さらに、次のような微笑ましいエピソードも明かした。

「一緒にパドックに入ったのですが、彼が『君に会えなくて寂しかったよ』と言ってくれたんです。あれはすごく可愛かったですね」と笑みを浮かべた。

メディアデーを前にパドックを歩くローラン・メキーズ(レッドブル代表)、2025年7月24日(木) F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)Courtesy Of Red Bull Content Pool

メディアデーを前にパドックを歩くローラン・メキーズ(レッドブル代表)、2025年7月24日(木) F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)

体制変更、即効性は期待せず

メキーズの手腕に対する信頼は揺るがないものの、角田はその就任によってチームを巡る状況が即座に好転するとは考えていない。

「彼がチームに加わってまだ2週間足らずです。シーズン途中での就任なので、すぐに何かを変えるということはないでしょう。おそらく次の数戦を見て、何ができるかを判断すると思います」

一方で、旧知の間柄であることから、体制変更にもかかわらず信頼関係の構築に時間を割かずに済む利点があるとし、「VCARBに戻ったような気分ですが、VCARBとは違うユニフォームを着ているという点でクールですね」と語った。

一転、ベルギーでも「数段遅れ」という現実

角田の苦戦の背景としては、技術的な要因も挙げられる。エミリア・ロマーニャGPの予選で激しくクラッシュしたことをきっかけに、それ以降はチームメイトのマックス・フェルスタッペンより古いスペックのマシンを使用する状況が続いている。

当初、ベルギーGPでは最新型のパッケージが用意されると見られていたが、一転、今週末もフェルスタッペンより「数段階」古い仕様のマシンを使うこととなった。

角田は「昨日知らされたのですが、今回も以前と同じパッケージで走ることになりました」と苦笑いを浮かべつつも、「理想的とは言えませんが、チームは可能な限り早くアップグレードを導入しようと努力してくれています」と理解を示した。

「今のように僅差の戦いが続く中では、新しいパッケージがあれば助かるのですが、チームも数段階遅れていることは理解しているので、手持ちのパッケージでやれることをやるだけです」

故アントワーヌ・ユベールの追悼ランに出席するシャルル・ルクレール(フェラーリ)、角田裕毅(レッドブル)、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、ジョナサン・ウィートリー(ザウバー代表)、ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)、2025年7月24日(木) F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)Courtesy Of Red Bull Content Pool

故アントワーヌ・ユベールの追悼ランに出席するシャルル・ルクレール(フェラーリ)、角田裕毅(レッドブル)、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、ジョナサン・ウィートリー(ザウバー代表)、ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)、2025年7月24日(木) F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)

ホーナー前代表からの激励

チームの期待に応える結果が残せない状況が続いているが、予期せず解任されたホーナーは、今も陰ながら角田を支えている。

英専門メディア『Crash』によると、角田は「クリスチャンがこれまでのレースで僕をサポートしてくれたことに感謝しています。実は昨日、彼からメッセージをもらいました。『自分の力を見せてこい』といった、とても素敵な内容でした」と明かした。

新たな指揮官の下で迎えるベルギーGPは、角田にとって失いかけた勢いを取り戻すターニングポイントとなるのか──雨が予想されるスパでの走りに注目が集まる。

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