F1観戦が劇的に変わる? 誰のマシンか即判別へ、ベルギーGPで”新識別システム”をテスト

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F1ファンなら一度は経験したことがあるだろう。テレビ画面にマシンが映し出された瞬間、「これは誰のマシンだ?」と目を凝らしてドライバーを特定しようとする、あのもどかしさを。そんな戸惑いが、まもなく過去のものとなるかもしれない。

F1第13戦ベルギーGPでは、マシンのロールフープ上部に設置されたオンボードカメラに新たなギミックが導入される。タイミングスクリーンでお馴染みの3文字略称(例:VER、HAM、TSU)が、カメラの側面と上部に表示されるというのだ。

英専門メディア『RaceFans』によると、この取り組みは、統括団体である国際自動車連盟(FIA)とフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)の共同プロジェクトとして試験導入されるという。

識別評価テストのためにオンボードカメラの上部と側面に「ALO」のイニシャルが掲出されたランス・ストロールのアストンマーチン「AMR25」、2025年7月24日F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

識別評価テストのためにオンボードカメラの上部と側面に「ALO」のイニシャルが掲出されたランス・ストロールのアストンマーチン「AMR25」、2025年7月24日F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)

識別評価テストのためにオンボードカメラの上部と側面に「STR」のイニシャルが掲出されたランス・ストロールのアストンマーチン「AMR25」、2025年7月24日F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

識別評価テストのためにオンボードカメラの上部と側面に「STR」のイニシャルが掲出されたランス・ストロールのアストンマーチン「AMR25」、2025年7月24日F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)

実は、F1におけるドライバー識別システムの改善は今回が初めてではない。2017年、F1の商業権を取得したリバティ・メディアはその初年度、観客とテレビ視聴者が同一マシンに乗るドライバーを識別しやすいように規約を変更した

スペインGPから導入された新ルールでは、従来よりも大きくカーナンバーを表示すること、そしてドライバーの略称をマシンに掲示することが義務付けられた。ただし、略称表示の義務は後に廃止された。

シャークフィンに表示されたカーナンバーとドライバー名、2017年F1スペインGPcopyright MercedesAMGF1

シャークフィンに表示されたカーナンバーとドライバー名、2017年F1スペインGP

現在、各チームにはドライバーのカーナンバー表示や、2台のマシンを区別するためのオンボードカメラの色分け(一方は黒、蛍光イエロー)、そして氏名の表示が義務付けられている。とはいえ、レース中の激しい攻防や切り替わるオンボード映像のなかで瞬時に誰であるかを見分けるのは、熟練のファンでも難しい。新規ファンにとっては尚更だ。

果たしてこの新たなシステムは、F1の未来を変える第一歩となるのか。ベルギーGPでの実証テストから目が離せない。

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