フェルスタッペン「近づいてみたらさぁ…」F1カナダの勝利を脅かした間一髪の瞬間、ノリスは思わず「問題になるぞ!」
2番手からの逆転優勝を飾ったジル・ビルヌーブ・サーキットでの70周のレースを経てマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、32周目に遭遇した1匹のウッドチャックによってF1カナダGPでの3連覇が脅かされたと振り返った。
ローガン・サージェント(ウィリアムズ)のクラッシュにより導入された25周目のセーフティーカー(SC)を経てフェルスタッペンは、ランド・ノリス(マクラーレン)からトップを奪い、今季6勝目、キャリア通算60勝目を挙げた。
SCからのレース再開から程なくしてフェルスタッペンは、サーキットの主、マーモットの1種であるウッドチャックとの衝突を避けるために急な方向転換を強いられた。例年のことだが、今年も恐れ知らずのウッドチャックが何匹かコースに足を踏み入れた。
32周目に姿を見せたウッドチャックについてフェルスタッペンは「アイツ、危うく死にかけたよ!」と笑った。
「最終シケインに差し掛かった時、最初はデブリだと思ったんだけど、近づいてみたら『なんてこった!動物だ!』ってなってね」
「それでギリギリの所で方向転換したんだ。その後、どうなったのかは知らないけどね」
フェルスタッペンが見事なステアリング捌きで1匹の命を守った際、後方でその様子を見ていたジョージ・ラッセル(メルセデス)は、フェルスタッペンから「見た?逃げた?」と尋ねられると「うん、逃げて行ったよ」と返した。
フェルスタッペンが「そうか、良かった。それにしても運が良かった。だって、もしアイツが自分の車に当たったら…」と話し始めるとラッセルは「僕としては良かったけどね。あれでコンマ数秒、縮められたから!」と割って入った。
実際、フェルスタッペンの32周目のラップタイムは前の周より1.5秒も遅かった。
フェルスタッペンは「ドライラインから少し外れたから、結構、スピードを落となきゃならなくてね。去年は、鳥がクルマに突っ込んできたし、ウッドチャックを轢くのは避けたかったんだ」と続けた。
モントリオールの中洲に作られた人工島には、数々の野生動物が生息しており、レース中にしばしばその姿を見せる。週末に先立ちバルテリ・ボッタス(ザウバー)はウッドチャックに「お願いだから今週末は穴の中にいてね」と頼んだものの、ヤンチャな奴はどの世界にもいるものだ。
2007年のカナダGPではスーパーアグリのアンソニー・デビッドソンがウッドチャックに衝突。フロントウイングの交換のために追加のピットストップを強いられ、チームメイトの佐藤琢磨とのダブルポイントを逃した。
2018年にはフリー走行中にハースのロマン・グロージャンがウッドチャックとぶつかった。ノーズは激しく損傷し、バージボードやフロントウイングにもダメージが及んだ。
フェルスタッペンが”ウッドチャック”の事をこれまで”ビーバー”と呼んでいた事を明かすとノリスは「ビーバーを轢いたら問題になるぞ!」と笑った。
ビーバーは先住民の口承史や神話に登場するほど、カナダを象徴する存在であり、1833年に市議会に採用されたモントリオールの初代の紋章にもビーバーが描かれている。むろん最新の2017年版でも健在だ。
体の大きさも1m前後、体重も20kg程度と、ウッドチャックの倍以上あるため、衝突した場合、桁違いの衝撃とダメージを受ける事になる。