マリーナ・ベイストリート・サーキットcopyright F1NightRace

マリーナベイ・ストリート・サーキット

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サーキットデータ

名前
マリーナベイ・ストリート・サーキット
所在国
シンガポール
住所
Marina Bay, シンガポール
設立年
2008年
デザイン
ヘルマン・ティルケ、KBR, Inc.
コース全長
5,063m | 23コーナー
周回数
61周 | 反時計回り
ピットレーン長
402.3m| 24.337秒
1コーナーまでの距離
164m
平均速度
166.578km/h
最高速度
313km/h
エンジン負荷レベル
| 全開率 : 47%
ブレーキ負荷レベル
燃料消費量
| 1.72kg/周
フューエル・エフェクト
| 0.33秒/10kg
タイヤ負荷レベル
グリップレベル
エアロ重要度
セーフティーカー出動率
100%
ウェット確率
4%
最大高低差
5m
レコード
1分45秒008 ルイス・ハミルトン / メルセデス / 2017年
@F1NightRace
@F1NightRace
instagram
@f1nightrace
WEBサイト
www.singaporegp.sg

マリーナベイ・ストリート・サーキット(Marina Bay Street Circuit)は、F1シンガポールGP初開催(2008年)に合わせて設計された市街地コース。F1史上初となるナイトレースが開催されたサーキットでもある。マリーナベイ市街地コース、またはシンガポール市街地コースとも呼ばれる。

marina circuit f1 photocreativeCommonsCaterhamF1

常設のコースではなく、グランプリ開催に合わせて、シンガポールの首都中心部の湾岸地区に特設される。ホームストレート及びピットは、公園の一部を一時的に路面舗装して仮設される。公道故に全体的にコース幅が狭く、最も狭い橋を渡るセクションは約8m程。バンピーな路面、間近に迫るコンクリートウォール、高温多湿の環境…マリーナベイはマシンにもドライバーにも容赦がない。身体的な過酷さはシーズン最大と言われる。

ストリートサーキットの宿命であるが、少しでもグリップを失えばクラッシュのリスクが大きく高まる。2019年現在、過去11年の歴史におけるセーフティーカー出動率は100%となっている。

F1初のナイトレース会場

コース全体が1500以上の照明によって光の道へと姿を変える。開催に際しての最大の問題点は照明設備にあったが、イタリアのヴァレリオ・マイオーリ社による最先端の照明システムは見事にレースを成功へと導いた。同社は、光のぎらつきや濡れた路面、あるいは他のマシンの上げる水しぶきなどの反射を最低限にするために完璧な提案を打ち出した。

marina circuit photocreativeCommonsthe_junes

コースを照らす照明設備

  • 電源ケーブル10万8,423m
  • スチール製パイロン×240基
  • 照明プロジェクタ×1,600基
  • 総電力318万ワット
  • 照度約3,000ルクス(スポーツ競技場の照明の4倍の明るさ)
  • 発電機×12基

路面が極めてバンピーであるため、ナイトレースの決勝では、フロアを路面にこすりながら激しく火花を散らすマシンが見られる。また、ドライバーは透明なバイザーでレースに挑む。

何故ナイトレースなのか?

F1の中心地であるヨーロッパ諸国とシンガポールとの時差は7~8時間。レース開始はシンガポール現地時間で20時=ヨーロッパの午後1時~2時。欧州のファンがテレビ観戦しやすい時間にレースが行われる。

コースレイアウト

当初は1周5,067mの長さを誇っていたが、2018年のグランプリでターン16からターン17のラインが変更となり、結果として1周の総距離が2m減少し、5.063kmへと変更された

マリーナベイ・ストリート・サーキットのコースレイアウト図、2019年F1シンガポールGP版

DRSゾーンは全部で3箇所。2019年にターン13からターン14の区間が新たに追加された。

特徴

コーナー数23、超低速サーキット

全23ヶ所のうちの半分が時速100km以下の超低速コーナー。セクター3だけで10ヶ所ものコーナーが存在する。最長ストレートは僅か832m(5~7コーナーの区間)と短く、パワーエフェクトが非常に低い。

エンジン性能がラップタイムに与える影響が非常に小さいため、車体に定評のあるレッドブルが伝統的に強さを見せる。コーナー数が多いため、エネルギー回生はほとんど問題にならず、燃費を気にする必要はない。

ドライバーとマシンと襲う過酷な環境

高温多湿な熱帯環境が、マシンの信頼性を試し、ドライバーの体力を揺さぶる。コックピット内の気温は50℃を超え、レースを終えるとドライバーの体重は3kg程度減少する。全体としてグリップが低く、一般道特有のマンホールや白線といった”障害物”がマシンのスリップを誘う状況の中で、ドライバーは一瞬のミスすら許されぬ戦いを強いられる。

ブレーキングポイントは16ヶ所もあり、冷却可能なストレート区間も少ないため、ブレーキへの負荷はカレンダー最大レベル。そのため、ブレーキ周りの冷却性能を限界まで高める必要がある。コーナー数が多く低速からのトラクションが必要とされるため、リアタイヤへの負担も大きい。オーバーヒート傾向(熱ダレ)となるため、タイヤマネージメントは必要不可欠。

過酷であるもう一つの理由は”時間”。決勝ワンラップのタイムが2分近くに及ぶため、アクシデントなく順調に進んだとしてもチェッカーフラッグまで2時間近くを要する。シンガポールGPはシーズンの中で最も長いレースであり、その分、ドライバーとマシンにかかる負担が大きくなる。

特殊な準備とスケジュール

F1カレンダーは例年、イタリアGPの2週間後にシンガポールGPを配置する。ドライバーはこの間、シンガポールの特殊な環境に適応するために、サウナを使ったトレーニングや厚着でのランニング等を行う。通常であれば時差ボケを解消するために、余裕を持って現地入りするが、シンガポールの場合はやや特殊だ。

チームメンバー及びドライバーは、欧州時間の生活リズムのままにシンガポールの週末に突入する。つまり、現地時間の昼過ぎに起床し、現地早朝にベットに入る。チームは現地正午に朝食を、そして現地午後6時にランチを提供し、ディナータイムは概ね現地午前1時にスタートする。

困難なオーバーテイク

2018年の統計では、レース中に記録されたオーバーテイクはわずか12回(2017年は14回)。その内DRSを使ったものですら5回に留まった。ポール・トゥ・ウィンの確率は70%(2017年までの統計)。著しく追い抜きが難しいため、予選リザルトが極めて重要となる。

スタート直後に接触祭りが開催される1・2コーナーは、コース幅が狭く切り返しがきつい。ここを上手く駆け抜けないと、続くターン4付近に設置されたDRS検知ポイントで前走車の1秒以内につくことができなくなる。

DRSゾーン1付近およびホームストレートエンドでは300km/h以上の速度となる。ターン5を如何に上手く立ち上がれるかがオーバーテイクの鍵。

強力な地場

ターン13付近のエスプラネード橋の鉄骨が磁気を帯びているため、マシンの電子機器・センサー類に影響を与える。対策としてチーム側は、磁気干渉の少ない特殊なパーツを使う。また、ギヤボックスの油圧バルブへの影響を防ぐため、磁気誘導のためにミューメタル(ニッケル合金)でこれを覆う。

レースの勘所と勝利へのポイント

パッケージングとしては、高ダウンフォース仕様のセットアップに加え、低速コーナーから素早く脱出可能なトラクションの良さが重要となる。パワーユニット的には、ドライバーが思い通りにドライブ出来るよう、パワーよりも優れたドライバビリティが求められる。

セーフティーカー出動率は100%。2時間打ち切りレースとなる可能性が高く、他のサーキットに比べて戦略の重要性が高い。勝利のためには、迅速かつ的確な判断が求めれられる。

コースレコード

決勝レースで計測される史上最速の”ラップレコード”は、2018年にハースのケビン・マグヌッセンが記録した1分41秒905。一方の”コース・レコード”は、同じ2018年にメルセデスAMGのルイス・ハミルトンが記録した1分36秒015となっている。

ラップレコード
1:41.905(マグヌッセン、2018年)
コースレコード
1:36.015(ハミルトン、2018年)

サーキットの場所・アクセス

湾岸地区に仮設される。グランプリウィークに限って公道をサーキットにしているため、決勝レース翌日はコースの解体作業が行われその翌日には通行止めも解除、普通の一般道に戻る。

画像

日中のマリーナベイ・ストリート・サーキット

ライトアップされて闇夜に浮かび上がるマリーナベイ・ストリート・サーキット

ライトアップされて闇夜に浮かび上がるマリーナベイ・ストリート・サーキット

日中のマリーナベイ・ストリート・サーキット