メディアデーのためにパドックに姿を見せたクリスチャン・ホーナー(レッドブル代表)、2025年7月3日(木) F1イギリスGP(シルバーストン・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル代表ホーナー「ラッセル扇動説」に言及―フェルスタッペン移籍報道を巡り

  • Published:

2025年F1第12戦イギリスGPの初日、レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、マックス・フェルスタッペンの去就に関する憶測について、メルセデスのジョージ・ラッセルが意図的に煽ったとの見方を示した。

来季残留は確約せず「意図」を強調

フェルスタッペンには2028年末までの長期契約が残っているが、その中には“パフォーマンス条項”が含まれており、状況次第では契約の早期解除が可能であることが明らかになっている。

会見の中でホーナーは、来季に向けてフェルスタッペンの去就をはっきりさせるよう求められたが、残留を確約しようとはしなかった。代わりにホーナーが強調したのは、フェルスタッペンの「意思」という不確かな根拠だった。

ホーナーは「どのドライバーにも契約には一定のパフォーマンス条項がある。それはマックスとの契約にも存在する」と早期解除の可能性を認めつつも、「彼の絶対的な”意志”は、2026年も我々と共に走ることだ」と語った。

また、フェルスタッペンという偉大なドライバーが「他のチームから大きな関心を集めるのは避けられない」としながらも、「最も重要なのは、マックスと我々チームとの間に明確な合意が確かに存在していることだ」と続けた。

騒動の発端はラッセルの「契約交渉術」?

フェルスタッペンとメルセデスの関係が再び注目を集めたのは、ラッセル自身の発言がきっかけだった。先週末のオーストリアGPでラッセルは、「フェルスタッペンとの交渉が自身の契約更新を遅らせている」と発言。これが移籍報道の再燃を招いた。

ホーナーは、「この憶測を引き起こしたのはおそらくジョージだ。自分の契約交渉を有利に進めるために話を広げたのだろう」と語り、ラッセルが自らの利益のために意図的に憶測を煽ったとの見方を示した。

一方で、「彼は今季もかなり良い走りをしているし、その気持ち(契約延長交渉が遅々として進まない状況に対する)は理解できるがね」と一定の配慮も見せた。

プランBは存在するのか?

ホーナーはフェルスタッペンが今季末でチームを去る可能性について沈黙を貫いたが、同時に、「1年後か2年後かにかかわらず、いずれはマックスもチームを離れる日が来る」として、”マックス後”のチーム体制を常に念頭に置く必要があると認めた。

その穴を埋めるための後継候補に関しては明言を避けつつ、マクラーレンのオスカー・ピアストリを冗談交じりに「プランB」として挙げるなど、巧みに話題をはぐらかした。

ただ、仮にフェルスタッペンが2026年を前にレッドブルを去った場合、そしてそれはおそらくメルセデスへの移籍を意味することになるだろうが、その場合の現実的な選択肢はラッセルに絞られることになる。

ホーナーは、「彼がマーケットに残っているという事実は注目に値する」としつつも、「現時点でジョージとは一切話をしていない」と明言し、”原則的”には自らのジュニアドライバー達を昇格させる方針を示した

2026年には、F1にとって過去50年で最大の技術レギュレーション変更が予定されており、シャシーとパワーユニットの両方が刷新される。ホーナーは、「来年の今頃まで、新たな勢力図が明らかになることはない。メルセデスが優位に立つ保証はどこにもない」と述べ、フェルスタッペンを牽制するかのような素振りも見せた。

F1イギリスGP特集