サーキットデータ
名前 | アルバート・パーク・サーキット |
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所在国 | オーストラリア |
設立年 | 1996年 |
全長 | 5,303m | 16コーナー |
周回数 | 58周 | 時計回り |
ピットレーン長 | 280.6m| 21.4秒 |
ターン1までの距離*1 | 260.5m |
平均速度 | 206km/h |
最高速度 | 321km/h |
エンジン負荷*2 | | 全開率 : 72% |
ブレーキ負荷 | | 使用率 : 16% |
燃料消費量 | | 1.81kg/周 |
フューエル・エフェクト | | 0.39秒/10kg |
タイヤ負荷 | |
グリップ | |
エアロ重要度 | |
セーフティーカー出動率 | 80% |
ウェット確率 | 16% |
最大高低差 | 3m |
収容人数 | 80,000人 |
WEBサイト | grandprix.com.au |
SNS | twitter facebook instagram |
*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離
*2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出
アルバート・パーク・サーキットとは、オーストラリアのメルボルンにあるアルバート・パーク(公園)内にある半公道サーキットのこと。人口湖を周回する公道と駐車場の一部を使ったコースになっている。多くの場合、一年に一度のF1でのレースに使用されるだけで、日々レースが開催されるサーキットではない。
初開催は1985年。1996年以降はF1F1オーストラリアGPの舞台としてシーズン開幕戦を担っている。年度の初戦という事で注目度は高く、2019年のグランプリでは述べ32万4100人が現地観戦に訪れ、過去最高を記録した。
F1チームの大部分が本拠を構える英国との時差が11時間と大きいため、各チームのファクトリーのレースサポート部隊にとっては眠い目をこすりながらの週末となる。
コースレイアウト
ストレートとストレートとがヘアピンで連結されたストップ&ゴータイプのサーキット。各ストレートエンドではハードブレーキング、コーナー出口では高いトラクションが必要とされるため、ブレーキング時スタビリティーの高さと低速域からの加速性能が求められる。
DRS検知地点があるターン11は、クルマに対して非常に素早い方向転換を強いる。ここでの横方向へのGは最大5.1Gにまで達する。これはシーズンの中での最高値だ。
ピットレーン入口から出口までの距離はF1カレンダー最短の280.6mと短く、ピットレーンの制限速度が通常の80km/hではなく60km/hに設定されている。これはモナコ、フランス、シンガポール、ロシアと同じで、カレンダーの中で5箇所のみとなっている。
サーキットの特徴
ラップタイムにおけるエンジン全開率が72.3%と非常に高い。これは超高速のモンツァ・サーキットとオーストリアGPの舞台であるレッドブル・リンクに続いてカレンダー3番目の値だ。パワーエフェクトは大きい。
また路面がかなりバンピーで縁石もアグレッシブであるため、ティートレイ(マシンのフロアの最も前の部分。前輪のすぐ後方)が破損する事が多い。
マシンセットアップの難しさ
普段はサーキットとしては使われていないため、コース路面がホコリや砂利でかなり汚れている。そのため、グランプリ開始直後のフリー走行においてはタイヤグリップがかなり低いが、セッションが進む毎に大幅に改善されていく。アルバート・パークでは、決勝レース当日のラップタイムがグランプリ初日と比較して5秒/1周向上する事すらある。
そのため、グランプリ序盤でマシンのセットアップを煮詰めてしまうと、レース当日にマシンバランスが大幅に崩れてしまう事もある。フリー走行でタイムが良いからと言って予選・決勝でも良いとは限らないのが、アルバート・パーク・サーキットの面白いところだ。
なお、F1オーストラリアGPの開催時期は現地の秋にあたるため、コース上には落ち葉が舞い散っており、これもグリップ低下の大きな要因となる。3コーナーから5コーナーは、駐車場の路面がそのまま使われているためその他のコース上よりもさらに滑りやすい。コース上のどの位置に合わせてセッティングを行うかもチームの腕の見せどころである。
オーバーテイクポイント
オーバーテイクポイントは、1コーナーと3コーナーの2つ。例年この箇所では何らかのアクシデントが発生し、波乱の開幕戦を彩る。ホームストレートでの時速は320kmに達するが追い抜くことは非常に難しい。
オーバーテイクを容易にすべく、2018年に3番目のDRSゾーンが12・13コーナー間に追加された。この区間での追い抜きは厳しいものの前走車への接近が容易となるため、その後のホームストレートでの追い抜きに期待がかかったが、2018年のレースでのオーバーテイク回数は全部で4回。そのうち、DRSを使用したものは3回だった。
年 | オーバーテイク回数 | |
---|---|---|
通常 | DRS | |
2018 | 1 | 3 |
2019 | 3 | 7 |
セーフティカーに注目
creativeCommonsCaterhamF1
通常のサーキットとは違いランオフエリアが狭く、コースの両サイドが大きな金網とウォールで覆われているため、セーフティーカーの出動回数が多い。
過去5年の統計(2015年~2019年)では、5レース中3レースでセーフティーカーが出動しており、その確率は60%に達する。
セーフティカー出動回数が多いということは、マシンそのもののスピードも去ることながら、レース戦略を如何に緻密に練り上げるかが勝利への大きな鍵になることを意味する。各チームのストラテジストの役割は大きい。
2001年に、飛び散ったマシンの破片に当たりマーシャルが死亡する事故が発生してからはフェンスが大型化されるなど、安全対策が強化された。
コースレコード
決勝レースで計測される史上最速の”ラップレコード”は、2004年にフェラーリのミハエル・シューマッハが記録した1分24秒125。一方の”コース・レコード”は、2019年にメルセデスAMGのバルテリ・ボッタスが予選Q3で記録した1分20秒486となっている。
- ラップレコード
- 1:24.125(シューマッハ/Ferrari、2004年)
- コースレコード
- 1:20.486(ボッタス/Mercedes、2018年)
毎年赤字のF1開幕戦
どこのサーキットも似たようなものであるが、オーストラリアGPも毎年赤字を計上している。2013年は5000万豪ドル(当時の日本円にして約45億円)の赤字だった。注目の開幕戦と言えども、事業としての採算が取れていないのが今のF1の現状である。
アルバート・パーク・サーキットができるまで
アルバート・パーク・サーキットは常設ではなく仮設のサーキットであるため、グランプリウィーク開始とともに急ピッチで建設が進められ、レース終了と同時に解体される。詳しくは市街地サーキットができるまでーF1オーストラリアGP開催の舞台裏動画を参照されたい。