バーレーン・インターナショナル・サーキット
サーキット名 | バーレーン・インターナショナル・サーキット |
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所在国 | バーレーン |
住所 | Gate 255,Gulf of Bahrain Avenue,Umm Jidar 1062, Sakhir, Bahrain |
設立年 | 2004年 |
設計 | ヘルマン・ティルケ |
全長 / コーナー数 | 5,412m / 15 |
最大高低差 | 17m |
周回数 | 57 |
ピット長 / 損失時間 | 421m / 19秒 |
ターン1までの距離*1 | 352m |
平均速度 | 196km/h |
最高速度 | 334km/h |
エンジン負荷と全開率*2 | 67% |
ブレーキ負荷と使用率 | 15% |
燃料消費レベルと量 | 1.84kg/周 |
フューエル・エフェクト | 0.31秒/10kg |
タイヤ負荷レベル | |
ダウンフォースレベル | |
グリップレベル | |
変速回数 | 74回/周 |
SC導入率 | 80% |
総工費 | 156億円 |
WEBサイト | www.bahraingp.com |
SNS | twitter facebook instagram |
*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離 *2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出
バーレーン・インターナショナル・サーキット(英:Bahrain International Circuit)は、首都マナマから南に約34km離れたサクヒールのラクダ牧場跡地に建設されたレーストラック。開業初年度の2004年にF1が初開催され、中東地域で初めてF1が開催されたサーキットとなった。
バーレーンではアルコールは合法であるものの、表彰台でのシャンパンファイトにおいては、ローズウォーターとザクロから作られたノンアルコール飲料が用いられる。
歴史
© Pirelli & C. S.p.A.
レース好きのバーレーン王国皇太子シェイク・サルマン・ビン・ハマド・アール・ハリーファ殿下の指導の下、首都マナマから南に約34km程離れたサクヒールのラクダ牧場跡地に建設された。
着工は2002年12月。FIAグレード1ライセンスを取得して2004年3月17日に開業した。建設費用は約5,620万バーレーンディナール、日本円にして約156億円で、政府系投資機関が資金を投じた。起工から完成までは496日しかかからなかった。
コースレイアウト
セクター1 | ターン5 |
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セクター2 | ターン13の48m手前 |
スピードトラップ | ターン1の158m手前 |
設計を手掛けたのはヘルマン・ティルケ。6つの異なるコースレイアウトを融合させたデザインとなっている。そのうちの5つはFIA公認のグレード1ライセンスを取得している。
2010年に一度だけ、第4コーナーと第5コーナーの間を延長した6,299mのレイアウトが使用されたが、ドライバーにも観客にも不評すぎて一年限りで全長5,412mの”グランプリトラック”に戻された。
4本のストレートを持つストップ・アンド・ゴー型のサーキットで、エンジンやブレーキへの負荷は比較的大きい。最高速を記録するのはホームストレートエンドで326km/h。その後、マシンは最も低速となる1コーナーを75km/hほどで駆け抜けていく。
ランオフエリアの総面積は14万平方メートルと高台で、無理をしてもウォールに激突する恐れがなく、ドライバーにとってはブレーキングポイントの限界を見極めるのが容易。またこうした理由からセーフティーカーが導入される可能性も低い。タイヤバリアの全長は4,100mで、計8万2000本のタイヤが使われている。
周り一面には砂漠が広がるものの、路面は週末の開始と同時にすぐさまクリーンアップされる。FP1から予選にかけては例年2~3秒近くラップタイムが縮まる。
なお2004年の初代ウィナーであり、コース設計にも協力した7度のF1王者の名前を取って、ターン1のみ「シューマッハ・ターン」との名称が与えられている。
DRS区間
リアウイング角度の変更が可能なDRSゾーンは全部で3箇所。
DRS検知地点 | DRS稼働地点 | |
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DRS1 | ターン1の50m手前 | ターン1の50m先 |
DRS2 | ターン9の10m手前 | ターン10の50m先 |
DRS3 | ターン14の110m手前 | ターン15の250m先 |
© Pirelli & C. S.p.A.
アウタートラック
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で再編された2020年シーズンのF1では、同地での第2レースとして開催された第16戦サクヒールGPで、通常とは異なる全長3,543m、全11コーナーから成るオーバルライクなアウタートラックが採用された。レース周回数は87周、総距離307.995kmで争われた。
DRSゾーンはグランプリトラックより削減されて2箇所となり、アクティベーションポイントはターン3の25m奥とターン11の170m奥の2箇所に設置された。また各々の検知ポイントはそれぞれ、ターン1の手前50m地点とターン10の手前110m地点に置かれた。
最高速度325km/h、エンジン全開率は65%、ブレーキングポイントは4箇所で、ターン1とターン4がオーバーテイクポイントとなった。
特徴
初開催となった2004年以降、競技方法やコースレイアウトが幾度となく見直されてきたが、2014年以降は夕刻から決勝がスタートするトワイライトレースで定着している。そのため、予選及び決勝と同じ時間帯のプラクティスセッションはFP2の1度のみしかない。
FP1とFP3は日中の開催となるため、週末に向けての準備をするには不適当ということで、各チームは新しいパーツのテストやタイヤへの理解を深めるために時間を使う。そのため、これらセッションのタイムシートは週末を予想するには役に立たない。
creativeCommonsCaterhamF1
砂と熱への対策
砂と熱への対策が肝となる。コース周辺の砂には固着させるための特殊な施工がされているとは言え、砂漠の真ん中に位置しているため路面には砂がいっぽい。風が強い日には尚更である。
チームは開催初年度、マシン内部に砂が入ってこないよう吸気部分に特殊なフィルターを使用していたが、年を経る毎にその必要がない事が分かったため、現在では使われていない。
砂の影響が大きく表れるのは空力だ。細かく鋭利な砂が研磨剤のような役割を果たすために、マシンの表面がざらつき、これが空気抵抗となる事が知られている。
高温に対しては、各種コンポーネントのオーバーヒートを防ぐためにボディの開口部を拡大する対策を取るが、ディフューザーの効率が悪化すると共に車全体の空気抵抗が増すためエアロダイナミクスが低下。もともと冷却に厳しいマシンは、更にパフォーマンスを失う事になる。
タイヤに過酷な路面とレイアウト
舗装はイギリスから輸入した花崗岩が使われており、摩耗やデグラデーションが激しくタイヤへの攻撃性が高い。そのため例年、最も硬めのコンパウンドが持ち込まれ、レースは通常、マルチストップ戦略が採られる。
路面の粗さを踏まえると、周辺の砂漠から吹き込む砂が影響するためグリップレベルはさほど高くない。
横荷重は平均的だが、ストップ&ゴーのレイアウト故に、高いトラクションとブレーキング性能が要求され、リヤタイヤに厳しい。
容易なオーバーテイク
オーバーテイクポイントが豊富にあり、またDRSゾーンが3箇所ある事も手伝ってオーバーテイクは容易で、例年数多くの追い抜きと激しいバトルが見られる。ターン1・3・4・11・15をオーバーテイクのチャンスと捉えるドライバーが多い。
カレンダー上ではオーストリアとモントリオールが最も追い抜きやすく、バーレーンはカレンダー上で5番目にオーバーテイクが容易だ。
年 | オーバーテイク | リタイヤ | ||
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通常 | DRS | 接触 | 機械的問題 | |
2023年 | 11回 | 26回 | 0台 | 3台 |
2022年 | 33回 | 40回 | 0台 | 1台 |
2021年 | 29回 | 16回 | 1台 | 1台 |
2020年 | 10回 | 22回 | 2台 | 0台 |
2019年 | 18回 | 43回 | 1台 | 0台 |
2018年 | 21回 | 30回 | 1台 | 2台 |
2017年 | 20回 | 15回 | 2台 | 4台 |
2016年 | 39回 | 48回 | 1台 | 4台 |
2015年 | 18回 | 21回 | 0台 | 3台 |
バーレーン勝者が年間王者に輝く確率は63%
統計的にみると、バーレーンの勝者が年間タイトルに輝く確率は結構高い。2023年大会を含め、過去19回で見るとその数は12回に及ぶ。
コースレコード
決勝レースで計測される史上最速の”ラップレコード”は、2004年にマクラーレンのペドロ・デ・ラ・ロサが記録した1分31秒447。怪我で欠場したファン・パブロ・モントーヤに代わりに出場し、5位入賞を果たした上にファステストラップを記録した。一方の”コース・レコード”は、2020年にメルセデスのルイス・ハミルトンが予選Q3で記録した1分27秒264となっている。
タイム | ドライバー | チーム | 年 | |
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ラップレコード | 1:31.447 | ペドロ・デ・ラ・ロサ | マクラーレン | 2005年 |
コースレコード | 1:27.264 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 2020年 |
サーキットの場所
ご覧の通り辺り一面はすべて砂漠で、周囲には計1,120本のヤシの木が植えられている。