
ベアマン、10グリッド降格&”大量ペナポ”―赤旗無視で厳罰…母国イギリスGPは一転試練に
2025年F1第12戦イギリスGPの公式予選を前に、赤旗を無視したとして地元イギリス出身のオリバー・ベアマン(ハース)に対し、10グリッド降格ペナルティと4点のペナルティポイントが科された。これにより、直近12ヶ月間の累積は8点に達した。
最終プラクティス(FP3)終盤、ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)のスピンにより赤旗が振られた後、ベアマンは時速260kmでピットエントリーに進入。リアをロックさせ、右側のバリアに正面から衝突して、フロントウイングとノーズを破損した。
「ブレーキに熱が入っていなかった。何て馬鹿なことをしたんだ」と、ベアマンは無線を通して自らのミスを認めた。インラップ中のスロー走行でブレーキの温度が下がっていたことがアクシデントの要因と見られる。
ヴィタントニオ・リウッツィを含む4名のスチュワードは、F1競技規則第37条6項(a)に違反した疑いがあるとして、現地時間13時15分より聴聞を実施した。同規定は「(赤旗により)中断された場合、すべての車両は直ちに減速してピットレーンにゆっくり戻らなればならない」と定めている。
スチュワードは、ベアマンが「レース中であるかのようにピット進入の際に加速」していたと認定し、「”ゆっくり戻る”という規定に明らかに反していた」と断じた。さらに、「通常のレースコンディション下でのインラップと比較しても、この赤旗中のラップの方が速かった」とも指摘した。
ブレーキの温度が下がっていたとのベアマンの釈明については「事故の一因となった可能性はあるが、情状酌量の理由にはならない」と退け、10グリッド降格とペナルティポイント4点の厳罰を言い渡した。
なお、ベアマンのライセンスから次にペナルティポイントが抹消されるのは2025年11月4日であるため、それまでにあと4点を加算すると出場停止処分となる。今後数カ月間、ベアマンにはより一層、慎重なレース運びが求められることになる。
ベアマンは今回、アップグレードが施されたVF-25で見事なパフォーマンスを披露。FP3では6番手タイムを記録し、トップまで約0.6秒差の“中団最速”の位置につけていた。それだけにホームレースは一転、苦しい展開となった。