F1オーストリアGPの舞台であるレッドブル・リンクの空撮写真、2019年copyright Getty Images / Red Bull Content Pool

レッドブル・リンク

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サーキットデータ

名前 レッドブル・リンク
所在国 オーストリア
設立年 1969年
コース全長 4,326m | 10コーナー
周回数 71周 | 時計回り
ピットレーン長 385.5m| 16.1秒
最初の制動地点までの距離 260.5m
平均速度 224km/h
最高速度 327.4km/h
エンジン負荷レベル
全長に対する割合
| 全開率 : 72%
ブレーキ負荷レベル | 使用率 : 19%
燃料消費量 | 1.48kg/周
フューエル・エフェクト | 0.31秒/10kg
タイヤ負荷レベル
グリップレベル
エアロ重要度
セーフティーカー出動率 40%
ウェット確率 8%
最大高低差 64m
レコード 1分8秒337 M.シューマッハ / 2003年 / フェラーリ
WEBサイト www.projekt-spielberg.com
SNS instagram

レッドブル・リンク(Red Bull Ring)とは、オーストリアのシュタイアーマルク州の山間部にあるレースサーキットの事。同国に本拠を置くエナジードリンク企業、レッドブルが所有する。運営はプロジェクト・シュピールベルク社。2014年よりF1オーストリアGPの舞台として利用されている他、Red Bull Air Raceの開催地としても知られる。

同サーキットは、エステルライヒリンク、A1リンク、レッドブル・リンクと様々な改称の歴史を持つ。2004年にレッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツが買収し2010年に再改修。レッドブル・リンクの名を得た。改修後はDTMやF3、F2でのレースに使用される予定のみでF1が開催されることはないと言われていたが、2014年のF1カレンダーに復活した。

F1オーストリアGPの舞台レッドブルリンク3コーナー付近
レッドブルリンク3コーナー付近

コースレイアウト

2019年版レッドブル・リンクのコースレイアウト図

全長は4,326m。カレンダーでこれより短いのはブラジル、メキシコ、オランダ、モナコの4箇所のみで、コーナー数はモンツァよりも少なく10コーナーと最小だ。全10コーナーの内、アクセルを緩めるのは7つで、F1マシンはターン2・5・8をエンジン全開で駆け抜ける。低速はターン3とターン4のみで、平均速度は約230km/hと高い。

DRS区間は全部で3箇所。2018年にターン1を抜けた先の上り坂に新たにDRSゾーンが追加され計3箇所となった。スタートラインからターンまでの距離は318mと短い。

特徴

高いエアロダイナミクスが要求されるエアロ・サーキットでありながらも、エンジン全開率は72%(アルバート・パーク・サーキットと同率)とモンツァ(77%)に次ぐパワーコース。起伏が大きく天候が不安定であるため、空力がモノを言うとともに、その高低差からエンジンパワーも重要な要素となる。1コーナーから3コーナーまでは急な上りがひたすら続き、その後はホームストレートまで下り続ける。

アクセルべた踏みの時間が長い一方でブレーキングゾーンが少ないためエネルギー回生(ERS)に厳しい。スパ・フランコルシャンやバクー市街地サーキットなどと並び、1周もたずにデプロイメントが切れてしまう。

F1の中ではコーナーの数が最も少なく4番目に短いサーキットであるが、1周を完璧にまとめ上げるのはかなり難しく、予選ではトラフィック管理が重要となる。

最終コーナーでは、高い速度を保ったままホームストレートに向いたいところだが、オフキャンバー(コーナーのイン側がアウト側より高くなっている)になっているため、容易にコースオフしてしまう。F1マシンは最終10コーナーを4速175km/hで駆け抜ける。

なおターン6~8の内側エリアには雄牛をモチーフとした彫刻がある。これはコールテン鋼とコンクリート、そしてアルミニウムを素材としたもので総重量1,300トン、高さは18メートルもあり、2012年5月からレッドブルリングのランドマークとして親しまれている。

レッドブル・リンクのコース中央に設置されている牛のオブジェ彫刻、2019年F1オーストリアGPにて
© Pirelli & C. S.p.A

オーバーテイクポイント

最大のオーバーテイクポイントは急斜面を登りきった後に待ち構える3コーナー。1コーナーからの距離は790m、ヘアピンに近い急なRを持つこの箇所では、フルスロットルからのブレーキングが勝負のカギを握る。3コーナーと森の中を駆け抜けた後の9コーナーは、伝統的に追い抜きのポイントとなっている。

タイヤ

歴史的に、タイヤの摩耗や劣化が比較的低く、ワンストップのレースとなる事が多い。2018年のレースでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンがスーパーソフトからソフトへと繋ぐワンストップ戦略で勝利している。

大部分のコーナーは右ターンだが、タイヤへの要求の厳しいコーナー2つは左ターン。それ以外の区間では全般的に負荷が低いため、タイヤが冷えてしまう傾向にある。

信頼性が試される”マシンクラッシャー”

レッドブルリンクは”マシンクラッシャー”の異名を取る程にマシンへの負荷が高い。2018年のF1オーストリアGPでは、近年圧倒的な信頼性を誇っていたメルセデスの2台が立て続けにトラブルに見舞われ、全5台が車両故障によってリタイヤを喫した。

エンジン全開率の高さに加えて、海抜が700mを超えるため平地に比べて酸素濃度が7%程少なく、ターボチャージャーへの要求も厳しい。また、空気が薄いため冷却効率も低下する。コーナーが10しかないため運動エネルギーを回生するMGU-Kの役割が小さく、その代わりに熱エネルギーを回生するMGU-Hに大きな負荷がかかる。

9コーナーには黄色に塗られたソーセージ型の縁石が設置され、僅かでもこれに触れようものならフロアやバージボード、サスペンションの破損は免れない。

コースレコード

決勝レースで計測される史上最速の”ラップレコード”は、2018年にスクーデリア・フェラーリのキミ・ライコネンが記録した1分6秒957。一方の”コース・レコード”は、その翌年にライコネンに代わって跳馬入りしたシャルル・ルクレールが、予選Q3でマークした1分3秒003となっている。

ラップレコード
1:06.957(ライコネン/Ferrari、2018年)
コースレコード
1:03.003(ルクレール/Ferrari、2019年)

サーキットの場所と地図

サーキット周辺は観光資源に乏しくのどかな農村街である。オーストリアの国土の62%は山岳部となっており、航空写真からもその豊富な緑が見て取れる。

歴史

エステルライヒリンク時代

A1リンクの旧レイアウトとなるエステルライヒリンクは、モンツァやホッケンハイムをしのぐ高速サーキットで、平均速度250km/hだったと言われている。オーバーテイクポイントが多いレイアウトでドライバーの中での人気が高かった。

A1リンク時代

ヘルマン・ティルケによる改修を経て、1997年にエステルライヒリンクはA1リンクへと改称された。このタイミングでF1オーストリアGPの開催が復活したが、騒音問題のため地元環境保護団体と対立し2003年に終了。その後レッドブルに買収されるわけだが、買収の際にはディートリッヒ・マテシッツ総裁は「オーストラリアGPの復活を考えてのA1リンク買収ではない」と語っていた。

エステルライヒリンクからA1リンクへの改修図
creativeCommonsArz

上記図はエステルライヒリンクのレイアウトとA1リンクのレイアウトとを比較したもの。薄い灰色がエステルライヒリンク。

A1リンクといえば佐藤琢磨のクラッシュ。2002年第6戦オーストリアGP決勝の28周目、ジョーダンを駆る佐藤琢磨に、コントロール不能に陥ったハイドフェルドが激しく衝突。琢磨は救急車でメディカルセンターに運ばれる事態となった。

画像

レッドブル・リンクのターン3からホームストレート側を見下ろす、F1オーストリアGP決勝レースにて
© Mercedes / レッドブル・リンクのターン3からホームストレート側を見下ろす

レッドブル・リンクを走行するアルファロメオ・レーシング、2019年F1オーストリアGPにて
© Pirelli & C. S.p.A / レッドブル・リンクを走行するアルファロメオ・レーシング

チェッカーフラッグを受けるスクーデリア・フェラーリ、2019年F1オーストリアGPにて
© Pirelli & C. S.p.A / チェッカーフラッグを受けるスクーデリア・フェラーリ

レッドブル・リンクのコース中央に設置されている牛のオブジェ彫刻、2019年F1オーストリアGPにて
© Pirelli & C. S.p.A / レッドブル・リンクのコース中央に設置されている牛の彫刻

F1オーストリアGPでトップチェッカーを受けるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン
© Getty Images / Red Bull Content Pool、トップチェッカーを受けるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン