
フェルスタッペンの5連覇、事実上の敗北宣言―レッドブルに”終戦ムード”
2025年F1第11戦オーストリアGPの決勝1周目のアクシデントは、選手権争いに重大な影響を及ぼした。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、ターン3でアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)に衝突されリタイアを喫し、ドライバーズランキング首位のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)との差は61ポイントに広がった。
この状況を受け、レッドブルのモータースポーツ顧問ヘルムート・マルコは、母国オーストリアの公共放送局『ORF』のインタビューで、「タイトルは諦めざるを得ない状況にある」と発言。今季残り13戦を前に、事実上の“敗北宣言”とも受け取れるコメントを残した。
マルコは、今後2戦で更なるアップデートが予定されているとしつつも、「正直なところ、この差はかなり厳しい。60ポイントというのは実質的に3勝分に相当する」と語り、マクラーレンの安定したパフォーマンスを前に「このギャップを埋めるのは非常に難しい」と苦しい胸の内を明かした。
チーム代表のクリスチャン・ホーナーも、現状ではタイトル争いがマクラーレン勢による一騎打ちとなっていることを認めた上で、「1戦ごとにベストを尽くすしかない。チャンピオンシップのことなど考えてもいない」と、現実を冷静に受け止める様子を見せた。
またホーナーは、「このクルマは、2年前にほぼ全勝を収めたマシンを設計したのと同じメンバーたちが作っている。そんな彼らが急に無能になるはずがない」と強調。現在の苦戦は「いくつかの開発ツール」の制約に起因するとの見解を示した。
レッドブルは2022年以降のグランドエフェクトカー時代において支配的な強さを誇っていたが、今季はその輝きを失い、フェルスタッペンでさえ優勝争いから遠ざかる展開が続いている。
対照的にマクラーレンは、ノリスとピアストリの両名で開幕11戦中8勝を挙げ、コンストラクターズランキングでも2位以下に200ポイント超の差をつける圧倒的なリードを築いている。ドライバーズ選手権でも、ピアストリが堅調にポイントを積み重ね、首位の座を維持している。
なお、今回のリタイアはフェルスタッペンにとって2024年オーストラリアGP以来、31戦ぶりの出来事となった。
果たして次戦イギリスGPでレッドブルは、巻き返しの糸口を見つけられるだろうか。それとも、マルコの言葉どおり、今季のタイトル争いはすでに終焉を迎えているのだろうか。
2025年F1第11戦オーストリアGPでは、ランド・ノリスがポール・トゥ・ウインを飾り、オスカー・ピアストリが2位と、マクラーレンが1-2フィニッシュを達成。3位表彰台にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。
伝統のシルバーストン・サーキットを舞台とする次戦イギリスGPは、7月4日のフリー走行1で幕を開ける。