ソチ・オートドローム

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サーキットデータ
サーキット名ソチ・オートドローム
所在国ロシア
住所26 Triumfalnaya St., Sochi 354340, Adler District, Russia
設立年2014年
設計ヘルマン・ティルケ
全長 / コーナー数5,872m / 16
最大高低差2m
周回数53
ピット長 / 損失時間415m / 22秒
ターン1までの距離*1890m
平均速度210km/h
最高速度343.1km/h
エンジン負荷と全開率*2 68%
ブレーキ負荷と使用率 15.1%
燃料消費レベルと量 1.98kg/周
フューエル・エフェクト 0.40秒/10kg
タイヤ負荷レベル
ダウンフォースレベル
グリップレベル
変速回数60回/周
SC導入率80%
総工費152億円
WEBサイト sochiautodrom.ru
SNS instagram

*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離
*2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出

ソチ・オートドロームとは(英:Sochi Autodrom)、2014年冬季オリンピックが開催された黒海のリゾートタウン、ソチに位置するF1ロシアGPが行われるサーキットの事。ソチ・オリンピックパーク・サーキットなどとも呼ばれる。ロシア国内において一年中可動している唯一のサーキットでもある

2014年のF1ロシアGP初開催のためにオリンピック会場跡地を利用して建設された。ソチで開催された2014年の冬季五輪にかかった費用は510億ドル(約5兆6,000億円)と言われ、夏季、冬季を問わず、史上最も高額なオリンピックとされている。

オリンピックの会場跡地に建設されたサーキットにはソチの他に、カナダGPのジル・ビルヌーブ・サーキット(76年モントリオール五輪)、スペインGPのカタロニア・サーキット(92年バルセロナ五輪)がある。

初代Winnerはルイス・ハミルトン。初開催以来メルセデス以外のチームがここで優勝したことは一度もなく、2017年(バルテリ・ボッタスが勝利)を除いて、ここでの勝者は例外なくその年のワールドチャンピオンに輝いている。

Sochi Autodrom photocreativeCommonsCaterhamF1

2018年F1ロシアGP決勝レース開始直後にホームストレートから1コーナーに侵入するF1マシン
© Pirelli

実質的にロシアがウクライナに軍事侵攻をしている最中に初開催された2014年F1ロシアGPでは、大統領のウラジーミル・プーチンが表彰式のプレゼンターを務めるなど、世界情勢から考えればある種異常な状況でレースが行われた。

レース・コントロール塔には、世界初となるリアルタイムのフルHD映像コントロール・システムを搭載。トラックサイドに設けられた45個の監視カメラからの映像が、56個ものスクリーンに投影される。

コースレイアウト

1周は5,872m。スパ・フランコルシャンシルバーストンに続いて、F1カレンダーの中で三番目に長い距離を誇り、コースの一部1.7kmは公道を使用する。半公道サーキット故に四方はコンクリートウォールで囲まれる。

ソチ・オートドロームのコースレイアウト図

最も特徴的なのは唯一のフロントリミテッドである高速のターン3だ。多段式の左コーナーで、トルコGP舞台、イスタンブール・パーク・サーキットのターン8と似ている。

特徴

ストップ・アンド・ゴー型のサーキットで、高いトラクション性能とブレーキング・パフォーマンスが要求される。またストレートが非常に長いため、チームは低~中ダウンフォース仕様のパッケージを持ち込む。

最初の2つのセクターは中速コーナー、最後のセクターは低速コーナーで構成されており、路面温度との関係も相まってリアタイヤへの負担が大きく、セクター毎にクルマのバランスが大きく変わってしまう。ただしコーナーはどれも似通った90度。

レイアウト的にもそうだが、頻繁に使われていないためイベント初日はタイヤのグリップが恐ろしく低いという点でも、バクー市街地コースとの類似が多い。トラック・エボリューション=路面改善傾向が高いため、セッションを経る毎にラップタイムが大きく向上する。

ピットレーンの長さが419mと長いにも関わらず制限速度は60km/hと低いため、ピットストップによるロスタイムが非常に大きく、1ストップ戦略が有効となる。

オーバーテイクポイント

ホームストレートから続くターン2と、ターン10から始まる全開区間の終点ターン13の2箇所。F1マシンはターン1をフルスロットルで駆け抜けるため、ターン2までは事実上のストレート区間となる。

ポールポジションからターン1のエイペックスまでは1029.5mもあるため、スタート時の蹴り出しをミスすれば、圧倒言う間に後続のマシンにごぼう抜きにされてしまう。

オーバーテイクが困難であるため予選結果が重要。14年ロシアGPではオーバーテイクはほとんど見られず単調な展開となり、空力規定が大きく変更された2017年至っては一度もオーバーテイクが記録されなかった。

オーバーテイク リタイヤ
通常 DRS 接触 機械的問題
2020年 11回 17回 2台 0台
2019年 11回 13回 2台 3台
2018年 8回 15回 0台 2台
2017年 0回 0回 2台 1台
2016年 13回 13回 3台 1台
2015年 12回 12回 4台 3台

カギを握る高速のターン3

ソチ・オートドロームの3コーナー
©formula1.com

このサーキットの名物コーナーと言えるターン3は、4速140km/hで侵入した後ほぼ全開で加速。その後に控える4コーナー手前では7速290km/hにも達する超高速の左コーナーだ。マシンバランスの良さとドライバーの身体的強さが試される。

ポールポジションラインからターン1までの距離は205.2mと短いものの、ここはエンジン全開で駆け抜けるRの緩いコーナーであるため、スタート後に最初にブレーキング勝負が行われるのは90度に曲がったターン2となる。ここが最大のオーバーテイクポイントだ。

なおターン3の脇のグランドスタンドには、同国出身のダニール・クビアトの名前が付けられている。

ソチ五輪との関係

ソチ五輪組織委員会のドミトリー・チェルヌィシェンコは、F1オーナーとの間で取り交わされた契約において、F1よりもオリンピックを優先するとの合意が五輪開催組織との間で取り決められていたと発言。F1開催が2015年にずれ込む可能性があった。

なお、サーキットの名前からわかるように、このサーキットはソチオリンピックのオリンピックパークの周辺に建設され、ポディウムはオリンピックのメダル授与の場所と同じである。

コースレコード

タイム ドライバー チーム
ラップレコード 1:35.761 ルイス・ハミルトン メルセデス 2019年
コースレコード 1:31.387 バルテリ・ボッタス メルセデス 2018年

サーキットの場所・アクセス

サーキットは黒海とコーカサス山脈に挟まれたロシア最大のリゾート地であるソチに位置しており、一帯にはFIFAワールドカップ会場となったサッカー競技場やアイススケート場など、オリンピック開催の際に建設された多数の施設が点在している。

写真

ソチ・オートドロームのグランドスタンドを背景に走行するレッドブル・ホンダRB15、2019年F1ロシアGP決勝レースにて

2018年F1ロシアGP 2日目のソチ・オートドローム

トロロッソ・ホンダSTR13、2018年F1ロシアGP初日

2018年F1ロシアGP決勝レース開始直後にホームストレートから1コーナーに侵入するF1マシン

2019年F1ロシアGP決勝レースのスタート直後の様子

キャリア通算82勝目を飾り、優勝杯を掲げるメルセデスのルイス・ハミルトン、2019年F1ロシアGP決勝レースにて