メルセデスF1の2020年マシン「W11」拡大写真ー横構図リアウイング周り
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カーナンバー

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F1カーナンバーとは国際自動車連盟(FIA)によって定められたドライバー毎の固有の番号の事で、2014年以降、ドライバーはキャリアを通してこの数字を使い続ける事が義務付けられている。

ただし、一時的なカーナンバーも存在する。これは例えば、レース週末にクラッシュなどの理由でレギュラードライバーが急遽欠場を強いられた際などに代役ドライバーに割り当てるもので、体調不良のフェリペ・マッサに代わり出走したポール・ディ・レスタの40番や、アントニオ・ジョビナッツィの36番がこれに該当する。

マクラーレンMCL34のエンジンカバーに掲載されたペトロブラスのロゴ
© McLaren

2013年までの番号振り分けルール

カーナンバー「1」は前年のワールドチャンピオンに与えられ、そのチームメイトがカーナンバー「2」を付ける。「3」以降は前年のコンストラクターズランキング順に与えられる。

例えば2010年のカーナンバー「1」はジェンソン・バトンで、「2」はそのチームメイトであるルイス・ハミルトンに与えられた。

前年度のドライバーズチャンピオンが不在の時は、前年度コンストラクターズタイトル獲得チームが「0」と「2」をつける。なお「13」は欧米では縁起が悪いとされる為欠番だった。

2014年以降の番号振り分けルール

年ごとに変更されるカーナンバー制度では、毎年お気に入りのドライバーの番号を覚え直さなければならずファンから不評であった。

そのため2014年以降は、各ドライバーに固定の番号を振り分けることでこれをカーナンバーとすることになった。

つまりドライバーは、F1キャリアを終えるまで一度決定した番号をずっと使い続ける。ただしカーナンバー「1」は前年のタイトルを制したドライバーのみが選択できるもので、途中変更が許される。

ドライバーはデビュー戦に際して2~99を対象に、使われていない番号の中から任意のものを選択する。

引退ないしはF1を離れたドライバーのナンバーの扱いは?

規定上、2年連続でF1に参加しなかった場合そのカーナンバーは失効となる。

例えば、小林可夢偉は2014年にカーナンバー10でケータハムから参戦していたが、2015年はスーパーフォーミュラに参戦。2016年中までにF1にカムバックすればカーナンバー10を引き続き使うことができるが、そうでない場合には2017年から失効となってしまう。

F1ドライバーの歴代カーナンバー一覧

車番 ドライバー 使用開始年 使用終了年
1 前年王者予約番号 2014 2014
2 ストフェル・バンドーン 2017 2018
3 ダニエル・リカルド 2014 2022
4 マックス・チルトン 2014 2014
ランド・ノリス 2019 2023
5 セバスチャン・ベッテル 2015 2022
6 ニコ・ロズベルグ 2014 2016
ニコラス・ラティフィ 2020 2022
7 キミ・ライコネン 2014 2021
8 ロマン・グロージャン 2014 2020
9 マーカス・エリクソン 2014 2018
10 小林可夢偉 2014 2014
ピエール・ガスリー 2017 2023
11 セルジオ・ペレス 2014 2023
12 フェリペ・ナスル 2015 2016
13 パストール・マルドナド 2014 2015
14 フェルナンド・アロンソ 2014 2023
16 シャルル・ルクレール 2018 2023
17 ジュール・ビアンキ 2014 2014
18 ランス・ストロール 2017 2023
19 フェリペ・マッサ 2014 2017
20 ケビン・マグヌッセン 2014 2023
21 エステバン・グティエレス 2014 2016
22 ジェンソン・バトン 2014 2017
角田裕毅 2021 2023
23 アレックス・アルボン 2019 2023
24 周冠宇 2022 2023
25 ジャン=エリック・ベルニュ 2014 2014
26 ダニール・クビアト 2014 2020
27 ニコ・ヒュルケンベルグ 2014 2020
28 ウィル・スティーブンス 2015 2015
ブレンドン・ハートレイ 2017 2018
30 ジョリオン・パーマー 2016 2017
31 エステバン・オコン 2016 2023
33 マックス・フェルスタッペン 2015 2023
35 セルゲイ・シロトキン 2018 2018
44 ルイス・ハミルトン 2014 2023
47 ミック・シューマッハ 2021 2022
53 アレクサンダー・ロッシ 2015 2015
55 カルロス・サインツ 2015 2023
63 ジョージ・ラッセル 2019 2023
77 バルテリ・ボッタス 2014 2023
81 オスカー・ピアストリ 2023 2023
88 リオ・ハリアント 2016 2016
ロバート・クビサ 2019 2022
94 パスカル・ウェーレイン 2016 2017
98 ロベルト・メリ 2015 2015
99 エイドリアン・スーティル 2014 2014
アントニオ・ジョヴィナッツィ 2019 2021

主なドライバーの選択理由

自身のレースキャリアにちなんだ番号を付けるドライバーが多いが、キミ・ライコネンやダニエル・リカルドといった、特にこだわりのない”たまたま系”もいる。意味不明なのはマルドナド師匠位なものだろうか。

車番 ドライバー 選択の理由
3 ダニエル・リカルド キャリアで初めてつけた番号
5 セバスチャン・ベッテル 2010年初めてワールドチャンピオンを獲得した時の番号
6 ニコ・ロズベルグ 妻ヴィヴィアン・シボルトと父ケケのラッキーナンバー
7 キミ・ライコネン 2013年につけていた番号をそのまま
8 ロマン・グロージャン 2008年より交際の妻マリオンの誕生日12月8日にちなみ
9 マーカス・エリクソン 不明。カートキャリアをスタートさせた時の番号
10 小林可夢偉 ティモ・グロックの代役としてF1デビューした時の番号
11 セルジオ・ペレス カート時代によく使用
12 フェリペ・ナスル 不明
13 パストール・マルドナド 謎。西洋の忌み数を敢えて…
14 フェルナンド・アロンソ カートで優勝した時の番号
19 フェリペ・マッサ 本人のラッキーナンバー
22 ジェンソン・バトン 2009年自身初のワールドチャンピオンに輝いた時の番号
角田裕毅 幼少期使用の「11」希望もセルジオ・ペレスが使用していた事から各々に「1」を加算して「22」に
26 ダニール・クビアト 誕生日にちなんで(4月26日)
27 ニコ・ヒュルケンベルグ 本人の誕生日8月19日の月と日を足した数
33 マックス・フェルスタッペン 3という数字の形が好き
44 ルイス・ハミルトン キャリアで初めてつけた番号
47 ミック・シューマッハ 父の世界タイトル数、家族の誕生日の合算数
55 カルロス・サインツ 本当は5が良かったけどベッテルが…
77 バルテリ・ボッタス 「Valtteri Bottas」「Val77eri Bo77as」

永久欠番

2014年のF1日本GPで事故死したジュール・ビアンキが使用していたカーナンバー「17」は翌年7月にFIAによって永久欠番とされた。

当時FIA会長を務めていたジャン・トッドはビアンキと同じフランス出身で、トッドの息子、ニコラはビアンキのマネジャーを務めていた。