2021年F1 エンジンメーカー別チームと馬力・PU仕様及びルール
ハイブリッド・ターボ導入から8シーズン目のF1にエンジンを供給するのはホンダ、メルセデス、フェラーリ、ルノーの4メーカーだ。
熱心にF1をフォローしているファンを別にすれば、どのチームがどのメーカーのエンジンを使っているのか毎年混乱するのも頷ける。そこで、2021年のF1世界選手権に参戦する各サプライヤーの供給先チームと、パワーユニットの型番を以下にまとめてみた。
ホンダは一昨年、強豪レッドブル・レーシングと契約を締結。2015年のF1復帰以来初めて、2チーム4台にパワーユニット一式を供給した。これに伴い現場スタッフは約2倍に増員され、各チームの担当責任者としてチーフエンジニア2名を配置。これを田辺豊治テクニカル・ディレクターが統括する新体制が敷かれた。
2014年より導入された1.6リッター・ハイブリッドターボは、内燃機関(ICE)以外にハイブリッドシステムからなる2つの動力源を備えており、「パワーユニット(PU)」と呼ばれている。PUは6つの主要コンポーネントから構成される。
パワーユニットに関する2021年シーズンのレギュレーション変更としては、グリッド降格ペナルティの対象として新たにエキゾーストが加えられた点が挙げられる。
今季はICE(内燃エンジン)、ターボ(TC)、MGU-H、MGU-Kが各々年間3基まで、CE(コントロール・エレクトロニクス)、ES(バッテリー)は年間2基まで、そしてエキゾーストは8セットまで降格ペナルティなく使用できる。ただし今季のレース数が19戦以下となった場合にはMGU-Kの年間許容数が2基までに制限される。
ホンダ製エンジン搭載チーム
ホンダ陣営はスクーデリア・トロロッソ改めスクーデリア・アルファタウリとレッドブル・レーシングの2チーム。共に新骨格を採用し、低重心・コンパクト化された2021年スペック「Honda RA621H」を搭載する。開幕前の段階から「グリッド最強エンジン」との評価が飛んでいる。
- レッドブル・レーシング(3年目)
- アルファタウリ(4年目)
メルセデス製エンジン搭載チーム
2021年型のメルセデス製パワーユニットは「M12 E Performance」。新たにマクラーレンが加わり、レーシングポイント改めアストンマーチンとウィリアムズを陣営に持つ。
PU部門を率いるハイウェル・トーマス曰く「全く新しい革新的技術を幾つか取り入れた」とのことだが、トト・ウォルフ代表はERSでホンダに遅れを取っている事を認める。
フェラーリ製エンジン搭載チーム
2021年スペックのフェラーリ製パワーユニットは「Ferrari 065/6」。イタリアの名門チームは2019年末の燃料流量及びオイル燃焼不正疑惑に端を発するFIA技術指令書の発効を経て性能が大幅に低下。過去40年で最悪の成績に終わった2020年シーズンを闇に葬るべく開発を続けてきた。
「065/6」は全面改訂されたターボの他にも、ICE(内燃エンジン)、MGU-Hを含むエネルギー回生システムの様々な領域に手が入れられた。
ルノー製エンジン搭載チーム
ルノーF1チーム改め「アルピーヌF1チーム」の新車「A521」には、昨年型「E-TECH 20」の進化版となる最新パワーユニット「E-TECH 20B」が搭載される。
2021年パワーユニット仕様
ICE(内燃エンジン)とターボ、MGU-H、燃料及び潤滑油に関しては、昨年終幕後から今季終幕までの間に1度に限りアップデートが許可される。ES(バッテリー)、MGU-K、CE(コントロール・エレクトロニクス)に関しては昨季中にアップデートしている場合を除き、こちらも1回のみ新スペックを投入できる。
またパワーユニットの最低重量は2020年の145kgから150kgに変更された。
排気量 | 1600cc |
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シリンダー | V型6気筒 / 90度 |
バルブ数 | 24 |
ボア径 | 80mm |
ストローク | 53mm |
クランク高 | 90mm |
過給 | シングルターボ、過給圧無制限(5bar abs) |
最高回転数 | 15,000rpm(ICE、レギュレーション規定) |
最大燃料流量 | 100kg/h |
燃料タンク容量 | 110kg |
燃料噴射 | 直噴 |
MGU-K 最大出力 | 120 kW |
MGU-K 最大回転数 | 50,000 rpm |
MGU-K 最大回生量 | 2 MJ/周 |
MGU-K 最大放出生量 | 4 MJ/周 |
MGU-H 最大回転数 | 100,000 rpm以上 |
重量 | 145kg(既定最低重量) |