ホンダ製F1パワーユニット「RA617H」
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2020年F1 エンジンメーカー別チームと馬力・PU仕様及びルール

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ハイブリッド・ターボ導入から7シーズン目のF1にエンジンを供給するのはホンダ、メルセデス、フェラーリ、ルノーの4メーカーだ。

熱心にF1をフォローしているファンを別にすれば、どのチームがどのメーカーのエンジンを使っているのか毎年混乱するのも頷ける。そこで、2020年のF1世界選手権に参戦する各サプライヤーの供給先チームと、パワーユニットの型番を以下にまとめてみた。

ホンダは昨年、強豪レッドブル・レーシングと契約を締結。2015年のF1復帰以来初めて、2チーム4台にパワーユニット一式を供給した。これに伴い現場スタッフは約2倍に増員され、各チームの担当責任者としてチーフエンジニア2名を配置。これを田辺豊治テクニカル・ディレクターが統括する新体制が敷かれた。

2014年より導入された1.6リッター・ハイブリッドターボは、内燃機関(ICE)以外にハイブリッドシステムからなる2つの動力源を備えており、「パワーユニット(PU)」と呼ばれている。PUは6つの主要コンポーネントから構成される。

パワーユニットに関する2020年シーズンのレギュレーション変更としては、グリッド降格ペナルティなしに交換できるMGU-Kの年間上限基数が2基から3基へと変更された点が挙げられる。これは史上最多全22戦がカレンダー入りした事に伴う措置で、罰則なしに1シーズンに交換できるのはICE、ターボ、MGU-H、そしてMGU-Kが3基まで、エナジーストア(ES=バッテリー)、コントロールエレクトロニクス(CE)が2基までとなる。

2020年F1レギュレーションの主な変更点

ホンダ製エンジン搭載チーム

レッドブル・レーシングRB15のエンジンカバーに掲載されたホンダのロゴ

ホンダ陣営はスクーデリア・トロロッソ改め、スクーデリア・アルファタウリとレッドブル・レーシングの2チーム。共に2020年スペック「Honda RA620H」を搭載する。昨年の第14戦F1イタリアGPで投入されたスペック4をベースに、更なる開発が進められた。もはやライバルとの馬力差は限りなく収束している。

メルセデス製エンジン搭載チーム

メルセデスAMG「W10」のエンジンカバー拡大写真

2020年型のメルセデス製パワーユニットは「M11 EQ Power+」。供給チームに変更はなく、ワークスに加えてレーシングポイントとウィリアムズを陣営に持つ。耐高熱性能を向上させることで車体の冷却性能を改善させている。

なおレーシングポイントはバッジネームを採用し、「BWT-Mercedes」というエンジン名でエントリー登録している。

フェラーリ製エンジン搭載チーム

スクーデリア・フェラーリの2019年マシンSF90

2020年スペックのフェラーリ製パワーユニットは「Ferrari 065」。昨年浮上した燃料流用不正疑惑以降、フェラーリ製PUのアドバンテージは明らかに消滅した。最新型の065が”どこまで064に匹敵するパフォーマンスを発揮できるか”に注目が集まる。

ルノー製エンジン搭載チーム

ルノー製F1マシンR.S.19のエンジンカバー

ルノーは信頼性向上を最優先事項として昨年型「R.E.19」を改善させた「E-TECH 20」を投入する。ERSの開発には日産の高級車部門であるINFINITIが関与しており、神奈川県厚木市にあるINFINITIテクニカルセンターからハイブリッドの専門チームがヴィリーに派遣され、ルノーと共同でMGU-HとMGU-K、そしてESの開発を行っている。

具体的な数値こそ明かさないものの、ルノーのエンジン部門を率いるレミー・タフィンは20年シーズン開幕前の段階で「フェラーリ、メルセデス、そして我々ルノーは5~10kW(約6.8~13.6馬力)差に収まっている。ホンダは我々から15~20kW(約20.4~27.2馬力)ほど遅れている」と述べ、ルノーエンジンパワーはメルセデスに匹敵する水準にあると主張している。また公称値としては昨季よりも控えめに「950馬力以上(ERS含む)」と発表されている。

2020年パワーユニット仕様

2020年シーズンは燃料タンク内の燃料流用計測センサーの数が従来の1個から2個へと増やされ、監視の目が一層厳しくなった。これに伴い、車両の最低重量は746kgへと引き上げられた。

排気量 1600cc
シリンダー V型6気筒 / 90度
バルブ数 24
ボア径 80mm
ストローク 53mm
クランク高 90mm
過給 シングルターボ、過給圧無制限(5bar abs)
最高回転数 15,000rpm(ICE、レギュレーション規定)
最大燃料流量 100kg/h
燃料タンク容量 110kg
燃料噴射 直噴
MGU-K 最大出力 120 kW
MGU-K 最大回転数 50,000 rpm
MGU-K 最大回生量 2 MJ/周
MGU-K 最大放出生量 4 MJ/周
MGU-H 最大回転数 100,000 rpm以上
重量 145kg(既定最低重量)