マクラーレン1-2、終盤SCで大波乱―マックスは10位降格…角田は入賞ならず / F1スペインGP 2025《決勝》結果と詳報

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2025年FIA-F1世界選手権第9戦スペインGPの決勝が6月1日にカタロニア・サーキットで行われ、オスカー・ピアストリが危なげない走りでポール・トゥ・ウィンを達成。ランド・ノリスが2位に続き、マクラーレンが1-2フィニッシュを飾った。角田裕毅(レッドブル)は13位に終わった。

終盤のSCが波乱演出、マックスに痛恨ペナルティ

レースは終盤、パワーユニットのトラブルに見舞われたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)のストップを契機にセーフティーカー(SC)が導入され、これが複数の波乱をもたらした。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はこの最中に発生したインシデントの影響を受け、フィニッシュ後に10秒加算ペナルティが科され、5位から10位へと降格した。

フェルスタッペンはスタート直後、ノリスを交わして2番手に浮上するも、13周目にあっさりとノリスに交わされた。これを受け、翌周に上位勢の中で最初のピットストップを実施。これにより一時的に中団に埋もれた。

ただ、通常は仕掛けにくい場所だが、ターン11のアウト側からアントネッリを交わすなど、次々とポジションを回復。21周目にノリスがピットインしたタイミングでアンダーカットに成功すると、翌周にピアストリがピットインしたことで、首位に浮上した。

中盤に向けては、3ストップ戦略を採用したフェルスタッペンと、2ストップ戦略を採ったマクラーレン勢との攻防が発生。ノリスとフェルスタッペンによる2番手争いが熱を帯びたが、その最中の55周目にSCが導入された。

ドライバー別の順位・タイヤ戦略及びピットストップ表、2025年6月1日F1スペインGP決勝レースCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

ドライバー別の順位・タイヤ戦略及びピットストップ表、2025年6月1日F1スペインGP決勝レース

不可解なハード装着、3度の接触

SCを機にリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)とエステバン・オコン(ハース)を除く全車がタイヤ交換に動いた。マクラーレン勢はともに中古のソフトに交換。一方、フェルスタッペンはチームの判断により新品ハードに履き替えた。

不満を示したフェルスタッペンの無線に対し、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼは「それしか選択肢がなかった」と回答。データ上では中古のソフトタイヤが1セット残っていたが、3ストップ戦略を採用した結果、実質的に使用可能なタイヤが底をつき、消去法的にハードを選ばざるを得なかったことを示唆した。

残り6周のリスタートに向け、フェルスタッペンは最終コーナーの立ち上がりで激しいオーバーステアに見舞われ、あわやスピンという状況に。なんとか持ち堪えたが、その隙にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が前に出て3番手に浮上。この攻防の最中に寄せて突っ込んできたとして、フェルスタッペンは無線でルクレールに対する怒りを露わにした。

さらにターン1では、コントロールを失ったジョージ・ラッセル(メルセデス)が後方から接触。フェルスタッペンはエスケープゾーンに逃れ、ポジションを維持した。この件を考慮してレッドブルはフェルスタッペンに対し、ラッセルへポジションを返すよう指示。だが、これがさらなる波乱の引き金となった。

残り4周、ターン5に向けてラッセルを先行させたフェルスタッペンだが、その後「急加速」してアウト側にいたラッセル車の側面に衝突。その後、再びラッセルを先行させたが、スチュワードは即座に審議を行い、フェルスタッペンに対して10秒ペナルティを科す裁定を下した。

さらに3点のペナルティポイントが科されたことで、直近12ヶ月間の累積点が11点に到達。レース出場停止処分まであと1点という危機的状況に陥ることとなった。皮肉なことにスチュワードはレース後、順位返上指示のきっかけとなったコース外走行について、不問とする決定を下した

これにより、5位でチェッカーを受けたフェルスタッペンは、最終的に10位に降格する結果となった。3位表彰台にはルクレールが上がり、ラッセルが4位入賞を飾った。

フェルスタッペンとラッセルの見解

角田、善戦もポイント届かず

一方、チームメイトの角田は、パルクフェルメ下でサスペンションのセットアップを変更。さらにリアウイングの仕様を変更し、ピットレーンからスタートした。角田のみミディアムを、他の19台はソフトをスタートタイヤに選んだ。

フェルスタッペン同様、3ストップ戦略を念頭に、8周目、24周目、そして44周目にピットストップを敢行。アレックス・アルボン(ウィリアムズ)やエステバン・オコン(ハース)をコース上でオーバーテイクするシーンもあったが、最終のピットストップの11周後にSCが導入された影響もあり、ポイント圏内には及ばず13位でレースを終えた。

ヒュルケンベルグ、ザウバーに10年ぶり快挙

フェルスタッペンに代わって驚きの5位入賞を果たしたのは、16番手スタートのニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)だった。1周目に5つポジションを上げると、先行のピットストップ戦略で順位を上げていき、残り2周でルイス・ハミルトン(フェラーリ)をオーバーテイク。ザウバーにとって、2015年オーストラリアGPでのフェリペ・ナッセ以来となるベストリザルトを達成した。

アルファロメオの看板を掲げていた時代を含めても、2022年エミリア・ロマーニャGPでのバルテリ・ボッタス以来、3年ぶりの好成績となった。

ハミルトンはスタート直後にラッセルを交わしてトップ4に浮上するも、その後はペースが上がらず、新品ソフトを履く後方のチームメイトを前に出すよう7周目にチームオーダーを受け後退。ピット戦略ではラッセルにアンダーカットを許し、最終的には6位に終わった。

アイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)は9番手スタートから7位入賞の好走を見せた。ピエール・ガスリー(アルピーヌ)が8位に続いた。

アロンソが母国で今季初入賞、ローソンは接触多発

フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)は1周目にローソンに接触され、14周目にはターン5でグラベルに飛び出し、かなりのタイムを失ったが、母国レースを9位でフィニッシュ。待望の今季初ポイントを持ち帰った。

ローソンは11位と惜しくも入賞を逃したが、今回もまたレース全体を通して数々のインシデントに関与した。スタート直後にはアロンソのリアに軽く接触。これに乗じて大きくポジションを上げたのがヒュルケンベルグだった。さらにローソンはアレックス・アルボン(ウィリアムズ)にも接触した。

この影響でアルボンは6周目にピットインし、損傷したフロントウイングを交換するも、26周目にコーナー外側から再びローソンに仕掛けられ、抵抗した結果、再度接触。フロントウイングの翼端板を完全に失い、走行継続が困難な状態に陥った。

さらに、コース外走行によってポジションを維持したとして、アルボンには10秒のタイムペナルティが科された。これを即座に消化したのち、29周目にリタイヤした。ウィリアムズにとっては、厳しい週末を象徴するような展開となった。

タイヤコンパウンド別の最速・最多ラップ、2025年6月1日F1スペインGP決勝レースCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

タイヤコンパウンド別の最速・最多ラップ、2025年6月1日F1スペインGP決勝レース

2025年F1第9戦スペインGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 66 1:32:57.375 25
2 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 66 +2.471s 18
3 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 66 +10.455s 15
4 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 66 +11.359s 12
5 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 66 +13.648s 10
6 44 ルイス・ハミルトン フェラーリ 66 +15.508s 8
7 6 アイザック・ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 66 +16.022s 6
8 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 66 +17.882s 4
9 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 66 +21.564s 2
10 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 66 +21.826s 1
11 30 リアム・ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 66 +25.532s 0
12 5 ガブリエル・ボルトレート ザウバー・フェラーリ 66 +25.996s 0
13 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 66 +28.822s 0
14 55 カルロス・サインツ ウィリアムズ・メルセデス 66 +29.309s 0
15 43 フランコ・コラピント アルピーヌ・ルノー 66 +31.381s 0
16 31 エステバン・オコン ハース・フェラーリ 66 +32.197s 0
17 87 オリバー・ベアマン ハース・フェラーリ 66 +37.065s 0
NC 12 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 53 DNF 0
NC 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 27 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温28℃
路面温度47℃

セッション概要

グランプリ名 F1スペインGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 カタロニア・サーキット
設立 1991年
全長 4657m
コーナー数 14
周回方向 時計回り

F1スペインGP特集