マドリンク

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サーキットデータ
サーキット名マドリンク
所在国スペイン
住所Av. de la Capital de España, 5A, Barajas, 28042 Madrid, Spain
設立年2026年
設計ドローモ社
総工費5億ユーロ億円
全長 / コーナー数5,400m / 22
WEBサイト www.madring.com
SNS x instagram

マドリンク(Madring)は、スペインの首都マドリードに位置する都市型ハイブリッド・サーキット。市街地北東部のIFEMA(マドリード国際見本市)周辺に広がる公道と、専用レーストラック区間を組み合わせたレイアウトを持つ。

この名称は「マドリード」と「リンク(サーキット)」を組み合わせたもので、国際的に認知されやすく、翻訳不要のシンプルな名称を意識したという。

長年の開催地だったバルセロナ近郊のカタロニア・サーキットに代わり、2026年から「F1スペインGP」を開催する。これに伴い、2026年のバルセロナでのレースは「バルセロナ・カタロニアGP」へと改称された。スペイン首都圏でのF1開催は1981年以来、45年ぶりとなる。

イベント開幕を前に設営作業が進むマドリンクのピットレーンと各チームのガレージ、2026年9月9日(水) F1スペインGP(マドリンク)Courtesy Of McLaren

イベント開幕を前に設営作業が進むマドリンクのピットレーンと各チームのガレージ、2026年9月9日(水) F1スペインGP(マドリンク)

コースレイアウト

スペインの首都マドリードにある国際展示会場「IFEMAマドリード」Courtesy Of IFEMA MADRID

スペインの首都マドリードにある国際展示会場「IFEMAマドリード」

近年のF1市街地コースは、常設区間と公道を組み合わせた設計が主流となりつつある。マドリンクも同様だが、公道セクションは全体の約25%強、距離にして約1.4kmにとどまり、大部分を専用区間が占める点が大きな特徴だ。

さらに公道部分は高低差のある場所が選ばれており、市街地ながらも非常に特異な特性を兼ね備えている。

こうしたことから、90度コーナーとストレートが連続する典型的な市街地コースとは性格を大いに異にする。このレイアウトからは、超低速で抜けないモンテカルロ市街地コースや、超高速で事故が多発しやすいバクーやジェッダとも異なる「第3の都市型サーキット」を志向した設計思想がハッキリと見て取れる。

マドリンク(F1スペインGP)のコースレイアウト図、2026年Courtesy Of Formula1 Data

マドリンク(F1スペインGP)のコースレイアウト図、2026年

平均速度(218km/h)は高速の鈴鹿サーキット相当とされており、予選ラップは1分34秒4が想定されている。

中高速コーナーでの車体の安定性、ブレーキング時のリアの挙動、市街地特有の路面変化への対応力が鍵となり、シャシーと空力の総合力が結果を左右するテクニカルなサーキットになりそうだ。

なお将来的には、スペインとマドリードを象徴する色である赤の顔料を使った路面の再舗装も検討されている。

F1初開催に先立ち行われたFIA-F3選手権でのテストでは、2日間で計19回もの赤旗が振られるなど、クラッシュが相次いだ。

赤と黄色に彩られた縁石が特徴的なターン12「ラ・モニュメンタル」、2026年9月9日(水) F1スペインGP(マドリンク)Courtesy Of McLaren

赤と黄色に彩られた縁石が特徴的なターン12「ラ・モニュメンタル」、2026年9月9日(水) F1スペインGP(マドリンク)

設計を手がけたのは、ザントフォールトやセパン・インターナショナル・サーキットにも関与したイタリアのドローモ社。24案の中から最終案が選定された。

コースと併せて、レースタワーやオフィススペース、VIPホスピタリティ、エンターテインメントエリアを備えたパドックビルが建設される。総工費は約5億ユーロ、日本円で約800億円と伝えられている。

当初は1日あたり11万人以上の観客収容を計画しているが、将来的には14万人規模まで拡張される予定で、完成すればF1カレンダー最大級の収容能力を誇る開催地となる見通しだ。

歴史

スペインの首都マドリード市街地の風景、2021年9月12日creativeCommons William Helsen

スペインの首都マドリード市街地の風景、2021年9月12日

首都マドリードでのグランプリ開催構想が本格化したのは2021年だ。マドリード自治州首相イサベル・ディアス・アジュソは、F1誘致を優先課題の一つに位置づけ、この年にはすでにF1関係者が現地を視察していた。

翌2022年には計画がさらに前進し、6月20日にエンリケ・ロペス評議員名義でF1の最高経営責任者に公式書簡が送付された。この時点では、モラタ・デ・タフーニャに新たなサーキットを建設する計画も進められていたとされる。

2023年には、F1のステファノ・ドメニカリCEOが、フェルナンド・アロンソとカルロス・サインツという母国ドライバーの活躍を背景に、スペイン国内のテレビ視聴率が「信じられないほど伸びている」と言及。マドリード開催について、商業面と実務面での議論の進展を示唆した。

そして2024年1月23日、マドリードがF1グランプリ開催地として正式に選出されたことが発表され、併せて初期のコースレイアウト案も公表された。さらに2025年3月には、サーキット名称が「マドリンク」と命名された。

マドリンクでの開催の意義

2026年よりF1スペインGPが開催される首都マドリードの町並み、2012年11月3日creativeCommons Michael Hirst

2026年よりF1スペインGPが開催される首都マドリードの町並み、2012年11月3日

首都マドリードでF1を開催するという決定は、競技性以上に興行性と都市ブランディングを重視する現代F1の価値観を象徴するものと言える。

リバティ・メディア体制下のF1は、伝統的サーキット中心主義から、都市そのものを舞台とする方向へと舵を切っており、マドリンクは単なる新サーキットではなく、F1の未来像を体現する実験場と位置づけられている。

スペインGPは1991年以降、カタロニア・サーキットで開催されてきた。同地はテストコースとしても知られ、マシン性能評価の基準点として高い評価を得てきた。一方で、レース展開や興行面での課題も指摘されてきた。

マドリンクへの移行は、①首都開催によるブランディングと国際的露出の最大化、②市街地開催による観戦体験の刷新、③都市インフラとF1の融合という、興行主導型のプロジェクトであると言える。

経済効果と開催費用

マドリード自治州政府によると、年間の経済効果は4億5,000万ユーロ以上。10年間で総額40億ユーロ、日本円で約7,240億円に達し、8,200人の新規雇用創出が見込まれている。

開催事業は市議会や商工会議所が関与する共同事業体IFEMAが主体となり、すべて民間資本で賄われる計画だが、その実現性については地元メディアの中には疑問視する声もある。

ホスティング料(開催権料)は年間4,800万ユーロ、日本円で約76億8,500万円とされ、10年契約の総額は4億8,000万ユーロ、約768億円に達する見込みだ。これはバルセロナの推定額、2,600万ユーロのほぼ2倍に相当する。

世界的に見れば、サウジアラビアやカタール(推定5,500万ユーロ)、アゼルバイジャン(5,700万ユーロ)など、より高額を支払う開催地も存在する。だがヨーロッパに限れば、マドリードのホスティング料はハンガリー(4,000万ユーロ)を上回る最高水準とみられる。

場所とアクセス

マドリード・バラハス空港から車で5分という好立地にあり、地下鉄8号線のフェリア・デ・マドリード駅を利用すると、南ゲートに直接アクセスできる。国営鉄道(Renfe)の場合はC1線のバルデベバス駅で下車。また、バス路線網も充実しており、市内各地からアクセスできる。

マドリンクの中心に位置するIFEMAは、同国最大級の展示・コンベンション施設だ。空港・高速道路・市街地を結ぶ結節点にあり、周辺は都市機能と広大な未開発用地が共存する。

IFEMAの西〜南西側には、ラ・モラレハやオルタレサ地区が広がる。ここはマドリード有数の高級住宅地として知られる。

マドリンクと隣接する北区域には、レアル・マドリードの練習拠点「シウダード・レアル・マドリード」がある。