メキシコGPでドーナツターンを披露するルイス・ハミルトン
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《2017年 F1統計》新規約でF1マシンはどの位速くなったのか?最速ラップタイムは最大5秒も向上

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歴代で最も大きなレギュレーション変更が行われた2017年のフォーミュラ1世界選手権。ワイド&ローとなった車体と幅広ピレリタイヤの導入によってダウンフォースが30%程度向上、ファステストラップは大幅に向上した。

新世代F1マシンはどの位速くなったのか?17年の全20戦決勝ファステストラップは16年比平均およそ2.7秒、予選は平均およそ2.5秒も縮まった。コース全長は各サーキット毎に異なるため1km辺りでのラップタイムに換算すると、決勝・予選ともに平均およそ0.5秒/km速くなった計算となる。

全GPで最速ラップ向上-最大5秒

最も大きなタイム上昇を記録したのは第12戦ベルギーGP。スパ・フランコルシャンは1周の距離が長く、また最大ダウンフォースが要求される超高速サーキット。決勝では5.006秒、予選では4.191秒も最速タイムが向上し、もはや別シリーズのレースと言える程。

持ち込まれたタイヤが昨年より柔らかいソフト、スーパーソフト、ウルトラソフトの2種類のコンパウンドだった事も大きく影響した。

  • 決勝最大向上:ベルギー、5.006秒
  • 決勝最小向上:オーストリア、1.000秒
  • 予選最大向上:ベルギー、4.191秒
  • 予選最小向上:バーレーン、0.724秒

一方で、最もタイムが伸びなかったグランプリは予選と決勝で分かれた。決勝最小は第9戦オーストリア、1周4.326kmのレッドブル・リンクでのゲインは1秒ジャストに留まった。こちらは昨年と同じコンパウンドが持ち込まれた。路面温度が50度超となった事で、作動温度領域の低いスーパーソフトとウルトラの左フロントにはブリスターが発生していた。

予選最小は第3戦バーレーンGP、0.724秒であった。

対16年最速タイムギャップ表

16年シーズンよりも柔らかいコンパウンドが持ち込まれたのは、オーストラリア、ロシア、イギリス、ベルギー、マレーシア、日本、米国、メキシコ、ブラジルの計9グランプリ。

2016年のイタリアGP予選、2016年のブラジル決勝は共にウェットであり17年とはコンディションが異なるため除外した。数字の単位は全て秒。

グランプリ 予選最速タイム 決勝最速タイム
lap km lap km
オーストラリア -1.649 -0.311 -2.459 -0.464
バーレーン -0.724 -0.134 -1.684 -0.311
中国 -3.724 -0.683 -4.446 -0.816
ロシア -2.143 -0.366 -2.250 -0.385
スペイン -2.851 -0.612 -3.355 -0.721
モナコ -1.444 -0.433 -3.119 -0.935
カナダ -1.353 -0.310 -1.048 -0.240
アゼルバイジャン -1.927 -0.321 -3.044 -0.507
オーストリア -1.977 -0.458 -1.000 -0.232
イギリス -2.643 -0.449 -4.927 -0.836
ハンガリー -3.689 -0.831 -2.904 -0.654
ベルギー -4.191 -0.598 -5.006 -0.715
イタリア -1.979 -0.342
シンガポール -3.093 -0.611 -2.179 -0.430
マレーシア -2.774 -0.500 -2.344 -0.423
日本 -3.328 -0.573 -1.974 -0.340
アメリカ -1.891 -0.343 -2.111 -0.383
メキシコ -2.216 -0.515 -2.349 -0.546
ブラジル -2.414 -0.560
アブダビ -2.524 -0.454 -3.079 -0.554
全GP平均 -2.450 -0.477 -2.698 -0.518