決勝レース後のパルクフェルメ、2013年F1日本GPにて
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F1レギュレーション解説「パルクフェルメ編」

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F1レギュレーションの中から、パルクフェルメに関連する主だったルールを厳選しその要点を以下にまとめる。パルクフェルメの定義については、F1用語”パルクフェルメ”をご参照頂きたい。

パルクフェルメに関しては、F1スポーティング・レギュレーションと、FIA国際スポーティング・コードの2つによって規定されている。FIA技術代理人と車両検査官の注意深い監視の下、マシンへの作業は厳格に制限される。

パルクフェルメ適用概要

予選セッション中にピットレーンを出て以降、決勝レースのスタートまでの期間をパルクフェルメ下にあるものとみなす。予選でピットアウト出来なかった車両は、Q1終了時点でパルクフェルメとなる。各チームは事前に、車両毎のサスペンション・セットアップシートをFIAテクニカルデリゲートに提出する。

F1におけるパルクフェルメ適用期間は以下の2つにまとめられるが、決勝スタート前までのパルクフェルメは主として「状態」を指し、決勝終了後のパルクフェルメは「場所」を指す。予選後のマシンは各チームガレージ内で保管され、遠隔から不正行為が監視される。

  • 予選開始後から決勝スタート前まで
  • 決勝終了後

予選終了から3時間半経過以降は、カバーをかけての封印が行われる。ただし、マーケティングを目的として書面での許可がある場合には、封印を最大2時間延長する事ができる。だが、予選終了後3時間半以降は車両に対しての如何なる作業も許可されない。

パルクフェルメ下での作業制限

パルクフェルメ下での作業は以下のように厳しく制限される。実質的に、予選とレースとの間でマシンに変更を加えることは許されない

  • エンジンの始動
  • 燃料追加及び除去
  • ホイール脱着及びタイヤ空気圧確認
  • 点検チェックを目的としたスパークプラグの脱着
  • 充電バッテリーの脱着
  • ERS用エネルギー貯蔵装置の充放電
  • メイン電源及び無線バッテリーの交換
  • クーラント及びエンジンオイルの排出
  • フロントウイングのフラップ調整
  • 車体清掃及びデカール類の変更
  • 安全・監視・TV放送に関わる類のデバイス脱着
  • FIAテクニカルデリゲートが指示する作業
  • ドライバー用ドリンクの追加作業
  • 事故による破損の修理

例外として、予選はドライで決勝はウェット等、気候条件の変化があり、かつテクニカルデリゲートが許可を出した場合は、前後ブレーキのエアダクト及びラジエターダクトの変更を行うことができる。

それ以外で変更作業が必要な場合は、書面要請で承認を得られた場合に限り着手することができる。ただし、決勝スタート前のグリッド上で急遽変更が必要となった場合については、許可なく作業を行う事ができる。

すべての交換部品は交換前と同一仕様である必要があり、これに違反並びにパルクフェルメ下でサスペンションのセットアップを変更した場合には、ピットレーンスタートが義務付けられる。

パルクフェルメでの車両検査

予選終了までに最低6台のマシンが無作為に車検へと呼ばれる。FIAからの通知があり次第、チームは当該車両を直ちにパルクフェルメへと移動させなければならない。

レース終了後、すべてのマシンは遅延なく指定のコースを通ってパルクフェルメへとマシンを停めなければならない。例外として、優勝ドライバーが勝利を祝う場合は多少の遅延が許される。

自力でレース後のパルクフェルメに移動できない完走車両は、マーシャルの管理のもとでパルクフェルメへと移動する事が定められる。決勝後のパルクフェルメには、担当オフィシャルのみが立ち入りを許可される。

スプリント予選におけるパルクフェルメ

2021年シーズンのF1で導入されたスプリント予選が行われる週末の場合は、予選が初日午後に行われるという変則的なスケジュールで、パルクフェルメ規定に調整が加えられた。

予選専用マシンを禁止するため、規定に従い初日午後からパルクフェルメが適用されるが、土曜のFP2セッションを有意義なものにするため、変更可能対象パーツが拡充される。なお安全上の理由からブレーキダクトの変更は可能。

また、例えばスプリント予選でパーツが壊れた場合、従来のルールでは同一スペック以外への交換はペナルティの対象であったが、不足していて在庫がない場合は罰則なしに別仕様に変更する事が出来る。

予選からスプリント予選までの間に関しては、スプリングやダンパーなどのサスペンションエレメントの変更や調整、キャンバー、トー、ライドハイトの変更が認められる。

更に予選開始1時間前とスプリント予選開始1時間前のコンディションが異なる場合、具体的にはFIA指定の気象サービスが提供する気温が10℃以上異なる場合は、パワーユニット及びギアボックスの冷却調整のために、エンジンカバーの切れ込み、排熱孔の変更が認められる。


手短に2022年のF1レギュレーションを知りたい方は「2022年F1ルール主要変更点のまとめ」を、より詳しくルールの全体像を知りたい方は「F1ルール完全網羅版」を参照されたい。