
速さ報われず、サインツ「かなり気が滅入ってきた…」苦しい胸中 ― 続く接触、残せぬ結果
カルロス・サインツ(ウィリアムズ)は2025年F1第16戦イタリアGPでオリバー・ベアマン(ハース)と接触し、車体のダメージに加えて複数の問題を抱え、ポイント圏外の11位に沈んだ。度重なる接触もあり結果が残せない現状に、精神的な疲労がサインツを蝕みつつある。
サインツは入賞圏内を争っていたが、41周目のターン4でアウト側からベアマンに仕掛けた際に接触。両車スピンを喫して一時的に黄旗が出されたが、2台ともレースを継続し、サインツは11位、ベアマンは12位でフィニッシュした。スチュワードはベアマンに10秒ペナルティと2点のペナルティポイントを科した。
「速さはあったが、運がなかった」
レース後、サインツは「今日は色々問題があった」と振り返った。
「僕らはミディアム勢の中で先頭、いや、一番後ろからのスタートだったと思う。前の連中と同じ戦略じゃ挽回するのは難しいってことは分かってたけど、実際にはミディアムでかなり引っ張って、ハードに替えてからはいい追い上げができていた」
「前を走るベアマンより速く、ボルトレートよりも速かった。ちょうど、あの段階で抜き始めるつもりだったんだけど、オリー(ベアマン)に仕掛けた矢先、運悪く接触してしまった」
「それでレースはほぼ終わってしまった。クルマにもダメージを負ったし、さらにバッテリーの問題にも見舞われて、本当に厳しいレースだった」と悔しさをにじませた。
接触がなければ、サインツがポイントを獲得していた可能性は高い。スピンの隙に2台の横をすり抜けたアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)は10位に入り、1ポイントを獲得した。
サインツは前戦オランダGPでも入賞を争う最中にリアム・ローソンと接触。10秒ペナルティを科され、「完全な悪ふざけ」と裁定を厳しく批判した。2戦連続で接触に翻弄された形となった。
募るフラストレーション
一方、チームメイトのアレックス・アルボンは7位でフィニッシュし、今季通算70ポイントに到達。アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)をかわしてドライバーズ選手権7位に浮上した。
対照的にサインツは、計16ポイントで依然18位にとどまっている。フル参戦ドライバーで彼より下位なのは角田裕毅のみ。ルイス・ハミルトンもチームメイトから大きく引き離されており、総じて移籍組は厳しい状況が続いている。
今回の結果を受けてサインツは、状況を好転させるために特別なことは必要ないとしつつも、気分が憂鬱になってきていると認めた。
「予選でもレースでも速さはある。これまで通りプッシュし続ければ、いずれ流れは変わるはずだ」と前を向きつつも、「でも正直、だんだんフラストレーションが溜まってきているし、かなり気が滅入ってきた」と苦しい胸中を吐露した。
2025年F1第16戦イタリアGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がキャリア通算66勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。2位はランド・ノリス、3位はオスカー・ピアストリと、マクラーレンがダブル表彰台に上がった。
バクー市街地コースを舞台とする次戦アゼルバイジャンGPは、9月19日のフリー走行1で幕を開け、9月21日に決勝レースが行われる。