
角田裕毅に恩師トストが警鐘「そうでなければ、もう将来はない」ハジャー評価とレッドブル不振の元凶にも言及
2006年から2023年まで現レーシング・ブルズのチーム代表を務め、角田裕毅のキャリア初期を見守ってきたフランツ・トストは、現状のままでは教え子がレッドブル・レーシングに残留するのは難しいとの見方を示した。
墺専門メディア『Speedweek』によるとトストは、これまで同様に角田の才能を高く評価する一方、レッドブル首脳陣が期待する結果を残せていないと分析。今後の結果次第としつつも、今の状況が続けばシートを失いかねないと警告した。
角田を鼓舞―結果なくして未来なし
残留の可能性についてトストは「それは彼次第だ」と語り、「ユーキは非常に才能あるドライバーだが、レッドブル・レーシングに移籍して以来、期待されていた結果を全く残せていない」と指摘した。
5月のエミリア・ロマーニャGP予選でのクラッシュ以降、角田はマシンスペックの面で僚友マックス・フェルスタッペンに対して不利な状況に置かれてきた。だが、レーシング・ブルズ時代の上司であるローラン・メキーズが新代表として加わると、その格差は解消に向かった。
「彼にとって重要なのは適切なマシンを手にすることだが、これまでは十分なものを与えられていなかった。彼は結果を出さなければならない。そうでなければ、もう将来はないと思う」とトストは語り、残留のためには今後の好成績が必要不可欠と強調した。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ガレージ内でフランツ・トスト代表とハグする角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年11月26日(日) F1アブダビGP決勝レース(ヤス・マリーナ・サーキット)
新人ハジャーに賛辞と助言
また、前戦オランダGPでキャリア初表彰台を獲得した新人アイザック・ハジャーについては「力強いデビューシーズンを送り、モチベーションを高めている。ザントフォールトでの表彰台で自信を深めて次戦に臨むだろう」と高く評価した。
一方で、長年ジュニアチームを率いてきた元チーム代表らしく「経験の乏しいサーキットでは、焦らず学ぶ姿勢を持つことが大切だ」と助言を添えた。
人材流出がレッドブル不振の元凶
今季のレッドブル・レーシングの不振については「複数の要因があると思うが、最大の理由は中核を担ってきた人材の流出だ」と指摘。技術部門を率いてきたエイドリアン・ニューウェイ、マクラーレンに移籍したニューウェイの片腕ロブ・マーシャル、そしてスポーティング・ディレクターとしてチームを支えた現ザウバー代表ジョナサン・ウィートリーの名前を挙げた。
「エイドリアン・ニューウェイは天才だ。彼の経験に匹敵する人間は他にはいない。アストンマーチンでもそのノウハウを発揮するだろう」とトストは語る。
「ロブ・マーシャルも長年にわたりチームを支え、技術面で全てを知り尽くしていた。ジョナサン・ウィートリーは組織における重要な柱だった。こうした人材の流出は、どのチームであれ簡単に克服できるものではない。新しい技術チームがどれだけ機能するか、来年を見守ろう」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
レッドブル・レーシングの最高技術責任者を務めるエイドリアン・ニューウェイとチーフデザイナーを務めるロブ・マーシャル、2014年1月28日にスペインのヘレス・サーキットで行われたRB10の発表会にて
古巣レーシング・ブルズにもエール
古巣レーシング・ブルズについては「新代表アラン・パーメインも、今レッドブルを率いるローラン・メキーズと同様に素晴らしい仕事をするだろう。豊富な経験があり、全体としてチームは素晴らしい仕事をしている」と評価。リアム・ローソンについても「落ち着きを取り戻してポイントを稼いでいる」とし、コンストラクターズ6位争いは「十分射程圏内だ」との見方を示した。