ドライバーズパレードで言葉を交わすアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)と角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年7月27日(日) F1ベルギーGP決勝(スパ・フランコルシャン)
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角田裕毅より有望? パーマーがハジャーを高く評価するワケ、2026年レッドブル昇格を推す

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アイザック・ハジャーは2025年F1オランダGPで、参戦15戦目にしてキャリア初の表彰台を獲得した。予選ではジョージ・ラッセルやシャルル・ルクレールを上回って4番手に食い込み、その勢いを決勝でも維持。ルーキーとして特筆すべき落ち着きをもって後続を抑えつつ、マックス・フェルスタッペンの背後で安定した走りを見せた。

元ルノーF1ドライバーのジョリオン・パーマーは、この快挙について「これまで目にしてきた速さに加え、レースごとに磨かれている一貫性および重圧下での度胸を証明した」とハジャーを称賛した。

キャリア初の3位フィニッシュを経てパルクフェルメでガッツポーズを取るアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年8月31日(日) F1オランダGP決勝(ザントフォールト・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

キャリア初の3位フィニッシュを経てパルクフェルメでガッツポーズを取るアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年8月31日(日) F1オランダGP決勝(ザントフォールト・サーキット)

予選で光るハジャーの才能

ハジャーは今季、15戦中9戦で予選Q3に進出しており、チームメイトのリアム・ローソンに対しても10勝3敗と大きくリードしている。

パーマーはF1公式サイトに寄稿したコラムの中で、「トップチーム以外で最も優れた予選ドライバーだ」と指摘し、予選での抜群のパフォーマンスが「印象的なデビューシーズンを築く基盤のひとつ」になっていると分析した。

加えて「現在のように競争が激化している状況では、予選で最終アタックを完璧にまとめる力がこれまで以上に重要だ。この点でハジャーは(オランダGPにおいて)F1屈指の予選ドライバーたちを上回った」と強調した。

デビュー戦となった開幕オーストラリアGPでは、フォーメーションラップでクラッシュする失態もあったが、その後は立て直し、第2戦中国GPでは当時のチームメートである角田裕毅を上回り、第3戦日本GPで初入賞を果たした。以降も安定して結果を積み重ねている。

昇格に潜むリスクと可能性

一方でRB21は、セットアップおよびドライビングの両面で作動ウインドウが極端に狭いことが知られている。パーマーは「レッドブルのマシンはドライビングの面で扱いが難しいだけでなく、セットアップを通してピーク性能を引き出すのも非常に難しい」と述べ、昇格のハードルを強調した。

実際、角田はフェルスタッペンのチームメイトとしてレッドブルに昇格して以降、劇的にパフォーマンスを落とし、対照的にローソンはレーシング・ブルズ降格後に安定感を取り戻した経緯がある。

それでもパーマーは、かなり控えめな表現ながらも、角田やローソンと比べてハジャーは「より有望な存在になり得るように見える」と評価し、「予選での1ラップペースは決定的な強みだ。それにザントフォールトでは速いクルマに迫られても動じず、ミスなくフェルスタッペンの背後をキープして表彰台を獲得した」と評価した。

一方で、「彼が持つ生来の攻撃的なドライビングスタイルは、滑らかで精密な操作が求められるRB21には合わないかもしれない」とも指摘。今シーズン中に角田と交代するような展開となれば「自信を失うリスクもある」と警鐘を鳴らした。

ドライバーズパレードで談笑するマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)とアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年6月1日(日) F1スペインGP決勝(カタロニア・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ドライバーズパレードで談笑するマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)とアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年6月1日(日) F1スペインGP決勝(カタロニア・サーキット)

2026年、新規則導入がもたらす好機

ただし、RB21が現役であり続けるのは残り9戦のみ。現行マシンは導入から4シーズン目を迎えており、経験値の差からフェルスタッペンに優位性があるのは必然だ。だが2026年シーズンからは新たな技術規則に基づく次世代マシンが導入され、対等な条件でシーズンに臨むことが可能となる。

パーマーは「来年はレギュレーションが変わり、マシンの特性も完全に変わる。来年でないなら、いつが昇格の好機だというのか?」と問いかけ、「昇格は当然の流れに思える。特に角田裕毅の苦戦が続いている今、その見通しはオランダGPを経てますます高まっていると言わざるを得ない」と分析した。

さらに「リスクがあるキャリア上の選択であることに疑いはないが、レッドブル傘下のドライバーが勝利やタイトルを夢見るなら、いつかは踏み出さなければならない道だ」と語り、角田やローソンの苦戦を目の当たりにして昇格に慎重な姿勢を見せてきたハジャーの背中を押した。

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