パドックを歩くカルロス・サインツ(ウィリアムズ)、2025年8月29日(金) F1オランダGPフリー走行(ザントフォールト・サーキット)
Courtesy Of Williams

ウィリアムズがFIAへ再審請求―サインツ「お粗末な裁定」を批判、スチュワードの”誤審”を確信?

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2025年F1第15戦オランダGPでカルロス・サインツに科されたペナルティをめぐり、ウィリアムズは第16戦イタリアGPの開幕に先立ち、再審請求権を行使した。今後、国際自動車連盟(FIA)は申請を受理するか否かを判断する。

サインツはセーフティーカー明けのターン1でアウト側から仕掛けた際、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)と接触した。オンボード映像には、ローソンがミラーを確認した直後に修正舵を当て、サインツの進路へ流れていく様子が収められており、これが接触の直接的な原因と見受けられた。

しかしながら、ペドロ・ラミーを含む競技審判団はドライビング標準ガイドラインを根拠に「コーナーの権利はローソンにあった」とし、サインツに「全責任または大部分の責任がある」と結論付けた。判断時点で一部のオンボード映像が未入手だった可能性もある。

イタリアGPに先立ちサインツは、オランダでの聴聞について振り返り「スチュワードも決定が最善ではなかったと気づいたはずだと確信した」と述べ、「非常にお粗末な裁定で、誤った判断だったと強く信じている」と不満を隠さなかった。

さらに「今回の件は十分な検証なく拙速に判断を下した結果だ。ルールブックの規則をそのまま適用するというのなら、僕にペナルティを科したくなる理由も理解できる余地があるかもしれない。でもオンボード映像を分析すれば、僕にペナルティを科すべきでないことはハッキリと分かるはずだ」と指摘した。

再審請求の手続きと条件

再審請求権は「競技中に利用できなかった重要かつ関連する新たな証拠」が事後に見つかった場合、スチュワードの決定の再審理を求めることができる制度だ。

ただし、実際に再審理に持ち込むためには、まず聴聞で新たな証拠を提出し、それが重大かつ関連性が高いとスチュワードに認めさせなければならない。

再審請求は競技終了後96時間以内に申請しなければならない。ウィリアムズは期限内の9月4日に手続きを済ませた。同チームは声明で「カルロスのペナルティに関してFIAへ再審請求を提出した。我々が今後どう戦うべきか理解する上で重要であり、前向きな結果を期待している」と発表した。

裁定の一貫性に疑問符

サインツは今回の件を契機に「F1には常任スチュワードが必要だ」との持論を改めて展開した。「規則が複雑だからこそ、同じ人物が継続的に判断すべきだ」と述べ、裁定の一貫性を欠いていると批判した。

さらにルイス・ハミルトンの事例も引き合いに出し、「ルイスの場合は逆に決定が遅すぎた」と指摘した。ハミルトンはオランダGP前のレコノサンス・ラップでダブルイエローを無視したとして5グリッド降格処分を受けたが、裁定が遅れた結果、処分はオランダではなくイタリアGPで適用されることとなった。

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