パルクフェルメ
パルクフェルメ(仏:Parc fermé)とは、モータースポーツにおけるマシンに対する不正作業防止のための「ルール」及び、そのルールが適用される「車両保管場所」、そしてルール適用された「状態」の3つを指し示す。
国際自動車連盟(FIA)管轄下のカテゴリーにおいては国際スポーティング・コード第2条5項で、F1においてはこれに加えてF1スポーティング・レギュレーション第34条で規定されている。
予選~決勝間でのセットアップ変更を禁止
予選から決勝までの間におけるクルマの変更・改良を禁止するための仕組み、ルールがパルクフェルメだ。
F1においては予選で一旦ピットレーンからコースへと出た瞬間に、マシンは”パルクフェルメ下にあるもの”とみなされ、決勝スタートまでそれが継続される。予選Q1不参加車両に関しては、Q1終了時点からパルクフェルメ状態にあると見なされる。
例外を除いて予選後は翌日の決勝フォーメーションラップ開始の5時間10分前まで(夜間パルクフェルメ)、カバーをかけての保管(封印)が義務付けられる。
以前は全チームのマシンが周りを柵で覆われたパドック内のある区画に集められ、これをパルクフェルメと呼んでいたが、現在ではカメラとモーションセンサーによる遠隔監視が可能となり、予選後の車両は各チームガレージ内で保管されている。
なお決勝後の全車、及び予選Q3進出車両はガレージに戻る前に、以前のような車両保管場所としてのパルクフェルメにクルマを停める事になる。通常、物理的な意味でのパルクフェルメはピットレーン端のFIAガレージに一番近い場所に用意される。
物理的パルクフェルメには原則として競技役員以外足を踏み入れることはできない。とは言え停止直後のマシンには冷却ファンの取り付けなどの措置が必要であり、各チームはメカニック3名までをエリア内に派遣する事が認められている。なお監視のために各車両につき車両検査委員が1名が割り当てられる。
F1のパルクフェルメ規定の詳細についてはF1レギュレーション解説「パルクフェルメ編」を参照されたい。
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パルクフェルメで許可される主な作業
パルクフェルメ下においては、エンジンの始動や燃料の出し入れ、タイヤの空気圧チェックやフロントウイングのフラップ調整など、修理や準備などの僅かなものを除いて、マシンへの作業が原則として禁止される。
- エンジンの始動
- 燃料補給と除去
- ホイールの脱着
- 空気圧やシリンダー圧等の確認
- バッテリー交換
- クーラントやエンジンオイルの排出
- フラップ調整
- 清掃やデカール交換
- 事故による破損箇所の修理
上記以外の作業については、書面申請によって、FIAテクニカルデリゲートの承認が得られれば作業可能。ただしパーツ交換を含む作業の場合は、交換前と同一仕様のものに限られる。
つまりクラッシュなどのアクシデントによって大掛かりな車両修復が必要となる場合、元のパーツと同一仕様であれば問題なく修理または交換できるが、ストックが不足していて旧仕様しかない場合はパルクフェルメ違反となる。
パルクフェルメ下でマシンを変更した場合、あるいはサスペンションのセットアップ変更を行った場合は、グリッド降格ではなく問答無用でピットレーンスタートが義務付けられる。
例外として、予選から決勝までの間にコンディションが大幅に変化した場合には、安全上の理由から禁止作業が緩和され、気象条件の変更によって大きな影響を受けるラジエーターダクト、ブレーキ系への作業が許可される。
気温によって異なる種類の使用が求められるヘッドレストも同様だ。F1ではヘッドレストのフォーム材を3種類設定している。気温15℃以下のコンディションでは淡い青色のものが、気温15〜30℃の場合はピンク色のものが、そして30℃以上の場合は青色のヘッドレストの使用が求められている。