レッドフラッグ / 赤旗
レッド・フラッグ(英:red flag)とは、何らかの事故やアクシデント、コンディションの悪化などの理由によってセッション続行が不可能とレースディレクターが判断した場合に中断を知らせる為に振られる赤色の旗のこと。「赤旗」とも呼ばれる。
国際自動車連盟(FIA)管轄下のレースにおいてはサイズと色指定が厳格化されており、80cm✕100cm以上の旗にパントン186Cで着色する事が義務付けられている。
レースディレクターがセッション中断を決断すると、コース上に複数箇所あるマーシャルポストで赤旗が振られると共に、同じくコースに設置されたライトパネルが赤色に点灯する。
通知がなされるとピットレーン出口が閉鎖され、ドライバーは徐行しながら直ちにピットに戻らなければならない。追い抜きは禁止される。
直ちにピットに戻らなければならない旗には他に黒旗があるが、赤旗がサーキット全体の安全確保のために使用されるのに対し、黒旗は規定違反等の理由によって特定マシン・ドライバーを強制的にピットに戻させるために使用される。
F1において、赤旗はセッションの種別に応じてその意味が若干異なる。
フリー走行の場合
全車は直ちに減速し、低速で各自のピットに戻らなければならない。走行が中断される一方、時計の針はそのまま進行となる。つまり、60分間のセッションの内、赤旗中断が30分に及ぶ場合、実質的な走行時間は30分となる。
予選の場合
対照的に予選の場合は時計の針が一時停止される。各車減速してピットに戻らなければならない点は同じ。中断された分だけ延長される。
決勝レースの場合
レースの場合はプラクティス同様に時計は停止されないものの、中断時間分だけレースの最大時間が延長される(通常は2時間)。
レース再開に際しては、再開時刻の少なくとも10分前に各チームに通知がなされる。レース再開3分前の時点でホイールを装着していない場合はペナルティの対象となる。
再開時の並びはレース中断前の最終順位。レース中断時にピットにいたマシンはレース中断前の並び順で隊列に加わる。なおガレージ内にいたマシンはピットレーンでの再スタートとなる。
赤旗中に許可される作業
- エンジンの始動および準備
- 圧縮ガスの追加
- ウォーマーなどの認可済み冷却・加熱装置の着脱
- 前後ブレーキダクトの変更
- ラジエーターダクトの変更
- ドライバーの快適性のための変更
- ホイールおよびタイヤの変更
- 事故による破損箇所の修復
- フロントウイングの空力調整
レースが再開できない場合
赤旗による”中止時の周回数”によって配分されるポイントが変わる。
レース距離の75%以上が完了していればフルポイントが与えられるが、そうでない場合は以下の区分によって異なるポイント配分が行われる。詳しくは「F1ポイントシステム」を参照されたい。
- 2周未満
- 2周以上~規定周回数の25%未満の場合
- 25%以上、50%未満を消化した場合
- 50%以上、75%未満を消化した場合
なおレースの90%以上を完了したドライバーは、チェッカー時の走行状態を問わず完走扱いとなる。
いずれの場合も、レース中断合図が出された周回の1つ前の周回が終了した時点の結果が採用される。
レース再開方法
通常はスタンディングスタートで再開されるが、セーフティーカー先導による再開前のフォーメーションラップで、路面の状態がスタンディングスタートに適していないと判断された場合はローリングスタートとなる。
これは公式メッセージシステム上でチーム側に通知されると共に、ライトパネルにおいて「RS」と表示される事でドライバーにも通知される。