イエローフラッグ / 黄旗

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イエローフラッグ(英:yellow flag )とは、クラッシュなどコース上に危険な状況が発生した際にドライバーに知らせるために振られる黄色い旗のことで、イエローフラッグが振られた区間は減速が義務付けられ、グリーンフラッグが振られている地点までは追い越しが禁止される。単に「黄旗」とも呼ばれる。

なお物理的な旗だけでなく、フィメントランプと反射装置を使用したもの、あるいはLEDを使用したパネルを黄色に灯火させることによって合わせて、イエローフラッグの指示をドライバーに伝達する。ただしライトパネルはあくまでも補助的なもので、旗が優先される。

イエローフラッグが提示されるのは原則として、危険箇所直前のマーシャルポストのみだが、レースディレクターの指示により複数のポストで振られることもある。

なおセーフティーカー(SC)が導入された場合もマーシャルポストで「SC」と書かれたボードの提示と合わせてイエローフラッグが振られる。SCがピットレーンに戻ると同時にこれらは撤去される。

セーフティーカー・ボードとイエローフラッグ、2018年6月24日F1フランスGPにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

セーフティーカー・ボードとイエローフラッグ、2018年6月24日F1フランスGPにて

イエローフラッグに関しては、国際モータースポーツ競技規則付則H第2条5項5.1で規定されている。

1本旗と2本旗による意味の違い

いずれもコース上に何らかの危険がある事を知らせて減速を促すが、旗1本と2本では意味が異なる。一般に1本の旗が振られる事を「シングルイエロー」、2本の場合は「ダブルイエロー」と呼ばれる。

シングルイエロー

コース脇、あるいはコース上の一部に危険箇所がある事を知らせる。追い越しは禁止され、減速した上で進路変更する準備をしなくてはならない。

ダブルイエロー

全体あるいは部分的にコースが塞がれている危険箇所がある事を知らせる。

追い越しは禁止され、車速を「大幅に落とす」事が要求される。その上でドライバーは、進路変更あるいは「停車」の準備をしなくてはならない。

ダブルイエローが振られた場合、予選やフリー走行においては当該ラップを放棄しなくてはならない。

フルコースイエロー(FCY)

コース全区間で車速制限が行われる場合は「フルコース・イエロー」が指示される。これはシングルイエローと「FCY」と書かれたボードによってドライバーに伝達される。

無視した場合のペナルティ

イエローフラッグを無視した場合、スチュワードの判断によりペナルティが科せられる事もある。黄旗無視は安全に関わる重大な違反であるため、重いペナルティが科される傾向にある。

例えば2019年のF1メキシコGP予選ではシングルイエローを無視したマックス・フェルスタッペンがポールポジションを剥奪された。ダブルイエロー無視としては、同年のバーレーンGP予選でセバスチャン・ベッテルが5グリッド降格を受けた。

自動ラップタイム抹消システム

同様のシステムはロードレース世界選手権(MotoGP)でも採用されている。これはダブルイエローの提示と同時に自動的にラップタイムが削除されるもので、この間にクラッシュしたライダーにはタイム抹消と合わせてペナルティが科せられる。