Published: Updated:
F1第3戦バーレーンGP決勝レースを制したのは、フェラーリのセバスチャン・ベッテル。ベッテルは今季2勝目、通算44勝目の勝利を手にし、ドライバーズランキング単独のトップに躍り出た。フェラーリが開幕3戦中2戦で勝利したのは2008年以来となる9年ぶり。(CS放送中に川井氏が発言した2004年は誤り)
2位にはメルセデスのルイス・ハミルトン、3位にはポール・ポジションのバルテリ・ボッタスが続く結果となった。メルセデス勢はスーパーソフトタイヤのオーバーヒートに苦しんだ。
©F1
キミ・ライコネンは4位、レッドブル勢はダニエル・リカルドが5位、マックス・フェルスタッペンはブレーキのトラブルでレース序盤にリタイヤ。フェリペ・マッサはお見事6位に輝きウィリアムズにとって貴重なポイントを持ち帰った。マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソ、ストフェル・バンドーンは共にリタイヤという非常に厳しい結果に終わった。
数珠つなぎのレーススタート
気温24度、路面温度30度と週末を通して最も穏やかなコンディションの中始まった決勝レース。スタート直後は大きな混乱もなく、3位スタートのベッテルが若干タイヤスピンし失速したハミルトンを1コーナーでパス。ここ数戦スタート直後に驚異の順位アップを決めてきたアロンソは15位キープ。クビアトはコースオフして最下位に。8周目を終えた時点で上位12台が10秒以内という久しぶりの数珠つなぎのレース展開。
©F1 迅速な判断が功を奏したベッテル
上位勢で最初に仕掛けたのはフェラーリのベッテル。11周目にスーパーソフトタイヤに履き替え、先頭を走るボッタスのアンダーカットに動く。これを見たフェルスタッペン「思うに僕らもフェラーリみたいに何か行動する必要があるよ」と無線で訴え、すぐさまピットイン。ピットアウトした直後の13周目、4コーナーエンドで止まりきれず壁に激突。ブレーキの故障。
©SkySportsF1 壁に怒りをぶつけるフェルスタッペン
フェルスタッペンがマシンを降りた同じく13周目、トロ・ロッソのカルロス・サインツとウィリアムズのランス・ストロールが1コーナーでクラッシュ。ストロールはイン側にいたサインツを全く見ておらず、マシン右側を大きく破損。これで新人ストロールは3戦連続のリタイヤ。
ストロールは、中国GPでもコーナーイン側への不注意によってフォース・インディアのエステバン・オコンと接触しリタイヤを喫している。今回の一件ではサインツ側に非があるとして、次戦3グリッドペナルティーが課せられることになったが、筆者は要らぬレーシングアクシデントであると考えている。「失敗の最たるものは、失敗したことを自覚しないことである」とは19世紀イギリスの思想家トーマス・カーライルの言。18歳のカナダ人未成年にこの言葉を送りたい。
このアクシデントにより黄旗が振られセーフティーカーが出動。各車一気にピットインに動く。ここまでに、サインツ、ストロール、フェルスタッペン、マグヌッセンの4台がリタイヤ。
©F1
願ってもないセーフティーカーの出動に、メルセデス勢も2台揃ってピットイン。前を走っていたボッタスからピットに入るも、ボッタスとハミルトンとのギャップは僅か1秒。後ろを走行していたハミルトンはピットレーン入口で意図的に速度を下げ、前を行くボッタスとの間隔を広げつつ後続のリカルドをブロック。後にこれが審議の対象となり、不用意に失速したとして5秒ペナルティーを課せられることに。レース後ハミルトンは「自分で勝手に判断、チームに謝りたい」とコメント。
この間に、ベッテルはアンダーカットを成功させトップに躍り出る。これが勝負の決め手となった。ピットストップを終えた時点の順位は、首位ベッテル、2位ボッタス、3位リカルド、4位ハミルトンと続く。
タイヤに苦しんだPPボッタス
このピットストップで、メルセデスはボッタスに再びスーパーソフトタイヤを履かせる一方、ハミルトンにはソフトタイヤを装着させ2台で戦略を分けることに。デグラデーションに苦しんだ両者はこの後2回目のピットストップを行い共にソフトタイヤに履き替える。
アンダーステアとソフトタイヤの扱いに手こずったボッタス、ソフトタイヤを巧みに使いこなし、ボッタスよりも2秒近く速いラップを刻んだハミルトン。チームはハミルトンをボッタスの前に出し、先頭のベッテルを追わせることを決断。チームは48周目にチームオーダーを発動、ボッタスはハミルトンに道を譲ることに。ボッタスのF1初勝利の夢はここで完全に潰えた。
©F1
ボッタスが初めてポールを取ったこのバーレーンGPの事を忘れることはないだろう。しかしそれと同時に、初PPの翌日の決勝でチームメイトに道を譲らされたことは決して忘れはしないだろう。レース後「チームオーダー程受け入れがたいことはない」とボッタスは失望をあらわにした。
ラップリーダーのベッテルに対して驚異的な追い上げを見せたハミルトンだが、順位を入れ替えた48周目の時点で両者の差は10秒近くもあり、ベッテルはそのまま逃げ切り今季2勝目を挙げた。
最悪のダブルリタイヤ、マクラーレン・ホンダ
マクラーレン・ホンダのストフェル・バンドーンは、MGU-Hからの水漏れでフォーメーションラップすら走れずガレージイン。今季新投入のベアリングのトラブルの模様。
予選でPUトラブルに見舞われたアロンソはエンジンを丸ごと交換して決勝に挑んだ。
27周目、トロ・ロッソのダニール・クビアトとルノーのジョリオン・パーマーにホームストレートで立て続けにオーバーテイクされたアロンソは「こんなパワー不足でレースをするのは人生初めてだ!」と無線で怒鳴り怒りをぶちまける。
マクラーレン・ホンダとして今季初完走まで残り2周に迫った55周目、ブルーフラッグによりハミルトンに道を譲るためレーシングラインを外れたアロンソのマシンにトラブルが発生。残り1周というところでマシンを降りた。アロンソは第2戦中国GPでもレーシングラインを外れた時にドライブシャフトを破損しており、今回も似たような状況の中でのトラブル発生となったところが気になる所。MGU-Hに関しては”砂”がトラブルの原因である可能性が高いのではないだろうか。
©F1
接触により走行不能に陥ったサインツとストロール、トラブルによりマシンを降りたエリクソン、フェルスタッペン、マグヌッセン、アロンソ。そして出走すら出来なかったバンドーン。全20台の内7台がリタイヤを喫するという厳しいレースとなった。
2017年F1第3戦バーレーンGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | Pts |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | ベッテル | フェラーリ | 57 | 1:33:53.374 | 25 |
2 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 57 | +6.660 | 18 |
3 | 77 | ボッタス | メルセデス | 57 | +20.397 | 15 |
4 | 7 | ライコネン | フェラーリ | 57 | +22.475 | 12 |
5 | 3 | リカルド | レッドブル | 57 | +39.346 | 10 |
6 | 19 | マッサ | ウィリアムズ | 57 | +54.326 | 8 |
7 | 11 | ペレス | フォースインディア | 57 | +62.606 | 6 |
8 | 8 | グロージャン | ハース | 57 | +74.865 | 4 |
9 | 27 | ヒュルケンベルグ | ルノー | 57 | +80.188 | 2 |
10 | 31 | オコン | フォースインディア | 57 | +95.711 | 1 |
11 | 94 | ウェーレイン | ザウバー | 56 | +1 lap | 0 |
12 | 26 | クビアト | トロロッソ | 56 | +1 lap | 0 |
13 | 30 | パーマー | ルノー | 56 | +1 lap | 0 |
14 | 14 | アロンソ | マクラーレン | 54 | DNF | 0 |
NC | 9 | エリクソン | ザウバー | 50 | DNF | 0 |
NC | 55 | サインツ | トロロッソ | 12 | DNF | 0 |
NC | 18 | ストロール | ウィリアムズ | 12 | DNF | 0 |
NC | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 11 | DNF | 0 |
NC | 20 | マグヌッセン | ハース | 8 | DNF | 0 |
NC | 2 | バンドーン | マクラーレン | 0 | DNS | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 24℃ |
路面温度 | 30℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1バーレーンGP |
---|---|
レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | バーレーン・インターナショナル・サーキット |
---|---|
設立 | 2004年 |
全長 | 5412m |
コーナー数 | 15 |
周回方向 | 時計回り |