2020年F1アブダビGP決勝レースでトップチェッカーを受けるレッドブル・ホンダRB16copyright Red Bull Content Pool

フェルスタッペンが最終戦で圧勝!皮肉にも来季僚友候補のペレスが勝利を後押し / F1アブダビGP《決勝》結果とダイジェスト

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2020シーズンFIA-F1世界選手権 最終第17戦アブダビGP決勝レースが12月13日にヤス・マリーナ・サーキットで行われ、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが堂々のポール・トゥ・ウインを果たした。

勝敗は序盤に決した。皮肉にもフェルスタッペンの圧勝を後押ししたのは、来季チームメイト候補に名が上がっているセルジオ・ペレスだった。

10周目、ICE(内燃エンジン)を含む主要3コンポーネントの交換によって降格19番グリッドからスタートし、誰よりも高いエンジン出力を武器にポジションを上げ、10周目に14番手を走行していたペレスがメカニカルトラブルでマシンを停める事となり、セーフティーカー(SC)が導入された。

残念ながら、30歳のメキシコ人ドライバーは7年に渡るレーシングポイント(旧フォース・インディア)でのキャリアを不遇のリタイヤで終える事となった。チームとの契約は今季を以て解消され、現時点では来季シートは発表されていないが、レッドブル・ホンダ入りの噂が加速している。

アブダビとしては極めて珍しいSCが導入された事で、メルセデスの戦略オプションは消滅した。

このコースはオーバーテイクが困難なため、2-3番手スタートのメルセデス勢にとっての唯一の勝機は2台を使ったタイヤ戦略にあった。だが、SCの導入時にステイアウトを選択するインセンティブは皆無であり、メルセデス勢はダブルストップを敢行。これにより、フェルスタッペンの勝利への道が一気に切り開かれる事となった。

フェルスタッペンは最後までメルセデスの接近を一度も許さず、後続に16秒差を付けてトップチェッカーを受けた。優勝に加えて、ポールポジションと全周リードを記録する圧勝だった。終盤には「必要ならエンジンの出力落とすけど?」との余裕すら見せた。

なお、フェルスタッペンはファイナルラップまでファステストラップを維持していたが、ルノーのダニエル・リカルドが1分40秒926を飾り7位フィニッシュ。かつてのチームメイトからボーナスポイントを奪い去ってみせた。

ルノーはエステバン・オコンが9位フィニッシュを果たした事で最終戦をダブル入賞で飾り、コンストラクター5位を手にした。

表彰台の上で優勝トロフィーを掲げるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2020年F1アブダビGP
© Red Bull Content Pool

MGU-Kの信頼性に不安を抱え、当初の計画よりもパワーユニットの出力を落としてのレースに臨んだメルセデス勢は、バルテリ・ボッタスが2位、ルイス・ハミルトンが3位に終わった。

ただし、タイムを失っていたのはストレート区間ではなく、出力抑制の影響は極めて軽微だった。

チーム代表のトト・ウォルフは苦戦の原因について、2台共がアンダーステアに苦しみ、肝心の最終セクターだけでなく、セクター2の始まり、つまり左右左と続く低速のターン5からターン7でもかなりのタイムを失っていたと説明した。

アルファタウリ・ホンダ勢は、ダニール・クビアトがSC導入時のピットストップの際にポジションを落とし無念の11位に終わった一方、ピエール・ガスリーは28周目にランス・ストロールを、30周目にシャルル・ルクレールを、そして32周目にはセバスチャン・ベッテルを交わし、8位でチェッカーフラッグを受けた。ホンダエンジン勢としては3台入賞でのシーズン幕締めとなった。

期待のペレスがリタイヤに終わり、同じRP20を駆るランス・ストロールが10位に留まったのとは対照的に、ランド・ノリスが5位、カルロス・サインツが6位のダブル入賞を飾ったマクラーレンは、レーシングポイントからコンストラクター3位の座を奪還した。

なおダブルストップを敢行した際に、不必要にピットレーンを低速走行したとしてサインツが審議の対象となった、スチュワードはレース後にお咎めなしの裁定を下した

今季予選の全てでチームメイトに敗北したフェルスタッペンの僚友アレックス・アルボンは5番グリッドからスタートし、6周目にノリスを交わして4番手に浮上。最終盤には3位ハミルトンの2秒以内に迫ったものの、仕掛けるには至らず4位でフィニッシュした。

前日12日(土)に開催された予選では、フェルスタッペンが今季初、通算3度目のポールポジションを獲得。1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入された2014年以降、ヤス・マリーナ・サーキットはメルセデスが全ポール、全勝を独占してきた”牙城”であったが、この記録をレッドブル・ホンダが打ち破った。更にはF1史上最多記録を更新中であったメルセデスによる39戦連続リードラップ記録に終止符を打った

決勝は、日本時間13日(日)22時10分にブラックアウトを迎え、1周5,554mのコースを55周する事で争われた。現地ヤス島は晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温23.5℃、路面31℃、湿度50.4%のドライコンディションで開始された。

2020年F1アブダビGP決勝レーススタート直後のホームストレートの様子
© Red Bull Content Pool

すっかり見慣れた観客不在のグランドスタンドを前に、レース前セレモニーではこちらも恒例の反人種差別への意思表示が行われ、チェッカーフラッグ後にはチャンピオンチームがドーナツターンを描いた。

供給されたのは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンド。Q3進出組の5台を除きソフトを履く者はなく、リカルド(11番手)、ベッテル(13番手)、ペレス(19番手)、マグヌッセン(20番手)はハードを履いてグリッドに着いた。

ここ数戦はオープニングラップで混乱が発生していたが、この日は全車クリーンにターン1を駆け抜け、トップ8はポジションキープで1周目を終えた。

ペレスのトラブルを受け、レースコントロールは10周目にバーチャルセーフティカーを導入。上位勢の多くはハードタイヤに履き替えたが、リカルドとフェラーリ勢、ジョビナッツィ、マグヌッセンはステイアウトを選択した。VSCはその後セーフティーカーに切り替えられ、12周目にリスタートを迎えた。

ステイアウト組がアドバンテージを得る事はなかった。

シャルル・ルクレールは22周目にピットストップを行い最後尾19番手に。1周目にルクレールを交わしてポイント圏内を走行していたセバスチャン・ベッテルは35周目までスティントを引っ張る事となり、ルクレールに対して13秒近くを失った。最終的にルクレールは13位、6年間に渡る跳馬でのラストレースとなったベッテルは14位で赤いマシンに別れを告げる事となった。

ハースを去り来季IMSAへと転向するF1ラストレースのケビン・マグヌッセン(ハース)は、最後尾スタートながらも1周目に3ポジションアップの17番手に浮上したが、VF-20にはこれを維持できる競争力はなく最終18位でレースを終えた。

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