ヤス・マリーナ・サーキットのピットレーンを走行するマクラーレンのカルロス・サインツ、2020年F1アブダビGP

F1アブダビGP:コンスト3位懸かるマクラーレン…スチュワード、低速走行疑惑のサインツへの裁定を発表

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マクラーレン・レーシングの2020 F1世界選手権コンストラクターチャンピオンシップ3位が確定した。

好敵手レーシングポイント勢がリタイヤと10位に留まった一方、ランド・ノリスが5位、カルロス・サインツが6位入賞を果たし、総合3位の座を奪還したマクラーレンであったが、ピットレーンでの一件が審議となっていたため、最終結果が棚上げとなっていた。

セルジオ・ペレスの不遇なマシンストップによりバーチャル・セーフティーカーが導入された10周目、マクラーレンは2台のMCL35を同時にピットストップさせたが、レースディレクターはノリスに続いてピットレーンに進入したサインツが「不必要に低速で走行した」と報告。審議の対象となっていた。

ピットレーンへのアプローチに際しての並びは、ノリス、サインツ、ランス・ストロールとなっており、いずれの車間もさほど離れてはいなかった。

ダブルストップの際は、前のクルマの作業が終わらずに後続車両がタイムを失う事が多々ある。一件は、スタックするのを避けるためにサインツが故意に車速を落とし、これによってストロールを妨害するチーム戦略である可能性があったわけだ。

だが、チームからサインツへの指示はなく、また、ストロールがタイムをロスした事実も確認されなかった。

スチュワードは映像証拠、無線通信、テレメトリーデータを確認し、サインツ(55号車)とストロール(18号車)、そしてチームの代表者への聴取を行い、お咎めなしの裁定を下した。そしてその理由を次のように説明した。

「55号車は、ピット入り口に近づいていた18号車の2.4秒前を走行している事をチームから知らされていた。チームからの減速指示はなかった」

「ピットレーンの開始地点に向けて55号車は通常通りに加速し、ライン直前に制動して一旦80km/h以下まで速度を落とし、その後80km/hまで速度を上げた。これは18号車も同様だ」

「55号車はピットレーン内を80km/hで走行していたが、約5秒後に70km/hを下回った。この結果、55号車は80km/hを維持していた場合よりも0.6秒ほど遅れてピットに停止したと推定される」

「この時点で5号車(4号車ノリスの誤りと思われる)はピットストップを終えていたため、この行為が”ダブルスタック”の回避という結果をチームにもたらしたとは考えていない」

「映像からはこの時のピットレーンには他のチームのスタッフが大勢いた事が確認されており、我々はこうした状況に注意を払っていたとの55号車のドライバーの説明を了承している」

「18号車は、ごく短時間(約1秒)を除いてピットレーン内で80km/hの速度を維持していたため、55号車の行動が大きな影響を与えたとは考えていない」

「また、ピットストップ後の両車の相対速度も確認したが、こちらに関しても55号車が不必要に走行していたような形跡は認められなかった」

「通常、スチュワードはレース中にこうした判断を下す事が多いが、今回の場合は必要なテレメトリーデータがフィニッシュ直前になるまで入手できなかった」

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